水流渓人「hot-news」

2004年6月2日 「雌鉾岳・変則?大長征ルート登攀」宮崎県

 川キョン先輩と、4月の「美しいトラバースルート」に引き続き雌鉾へ
「春はあけぼの3P」〜「美しいトラバース3P」〜バンド〜「大滝左ルート2P」 合計375m
 

 降り出しそうな空を見ながら、県北を目指す。「3時から雨マークやったわぁ・・・。」と、夜勤明けで居眠りをコキながら、助手席の川キョン先輩がおっしゃる。中止なんて気持はサラサラ無いので、とにかく比叡方面を目指す。途中、門川町のコンビニで朝食用のパンを買い、かじりながら先を急ぐ・・・。
 朝から調子の悪いお腹に、変な味の「オンオンパン」みたいな、油の回ったまずいパン・・・、止めときゃいいのに、さらに「たまごサンド」みたいな変な味のマヨネーズ味のパン・・・さらに冷えたコーヒー。店内焼きを自負するコンビニのパンなので、いつもは美味しいはずだが、なんか油ギドギドのいつもでは考えられない出来上がりのパン・・・・・とうとう、我慢しきれず比叡のいつもの駐車場横トイレに駆け込む。あー、腹がユルイィ〜(-_-#)

  

上鹿川から左/雄鉾、右/雌鉾

「片トンネル」と書かれた名物箇所
「落石注意」どんな石が落ちるのだろう?

 
以前に続き、親切な「新設看板」 1P45m/5.3(III級?)春はあけぼのルート

 
 
案の定、最悪の事態だぁ〜(-_-#)。取り付きまでは、鉾岳への登山道を40分ほど歩くのだが、「むかつき」が最高潮となってきた。「むかつく」と言っても、川キョンにむかつくのではない。「むかつく=吐気」である。アプローチでバテバテも伴い、とうとう登山道脇にもどしてしまった。あのコンビニパンが、なんとも言えない油とともに完全に練られた状態・・・キッタネーナー(-_-#)ソコマデカクナ!少しスッとして歩き始めると、先行していた川キョンに追いついたのは取り付き地点だった。「ほら、ササユリが一杯咲いちょっわぁ〜!初めて見るわぁ〜!」と川キョンがうきうきしていた。空は今にも泣きそうな感じである。
 ハーネスをつけ、ギアをぶら下げ、ダブルロープをさばき結び、荷物を整え、スラブを見上げた。体勢を整えたクライミングギアを外し、リュックからトレペをつかみ水流ちゃんは、森へ消えた。戻り、取り付く前に看護士でもある川キョンに登攀中のモヨオシと介助(^^;)を頼み、登攀開始となる。それにしても寒い(-_-メ)
 

ささゆり あ〜、川キョンの傍らに咲くささゆりは、それにも増して美しく感じる?先輩、失礼(^^ゞ

 2P45m/5.9(V-級?)をフォローする川キョン。水流ちゃんは初めてのルートだったが、案外好きなスラブ。ほぼ、足のフリクションだけで登る感じである。ピンは3本程度。
 

 3P50m/5.9(V-級?)は、川キョンリードで松の木へ。ここから「美しいトラバース」のルートをたどり、中央バンドをトラバース登攀する。つるべで登るので、今日はトラバースの核心V-級は水流ちゃんである。今日は、なんだか調子良く、ペタペタ登るリズムも調子良くスペタスペタと行く?ナンノコッチャ
 5月の連休に、山岳会の山行でもここを登っている川キョンであるが、雨がザァザァ降りとなり敗退している。その時は、川キョンが2人の女性会員をリードし大長征を・・・という予定であったが、雨の中「敗退懸垂下降」でなく、なんとこのトラバースをクライムダウンしたというから驚きである。アナオソロシヤq(-_-)bad!!
 5月に登った「美しいトラバース」のアブミルートを上に見ながら、バンドをさらに大滝方面へ行く。ささゆりがあちこちのテラスの草に混じり顔を覗かせている。

 

中央バンド核心の段違い乗り越しV-、最高の撮影ポイントでもある。

大滝左ルートへ。水流ちゃんリードでV級30m。

 
 いよいよ、ここを直上する2ピッチで「1の坊主」へたどり着く。私は2年前に連れて来てもらったこのピッチが怖かった・・・スリップ、テンション。傾斜、ホールド、ともに私には衝撃だった。迫る高度感の中で、クライミングそのものに恐れを成した記憶もどこかに残っていた。そして、川キョンも初めてのリードとなる。つるべなので、私が30m/V級、川キョンが45m/V+級となる。
 遠く雷の音が響き、ポツポツと雨粒が落ち始める。こんな結晶粒拾いの直上中にザァ〜っと来られたら・・・と、早々に行動食を口に押し込む。ようやく、嘔吐・下痢の症状から脱する事が出来た。
 
 私は正直、見上げて不思議に思っていた。あの時のルートなのだろうか?と疑っていた。傾斜が緩く見えた。ホールドがたくさん見えた。あっさり平行ピンに到達し、草付のささゆりを見ていた。下の川キョンへ「なんか簡単に登れたがぁ・・。」と漏らしてしまった。漏らした言葉とともに満足感に満たされていた。
 川キョンは次のリードを控え、緊張の面持ち・・・。川キョンは緊張すると、私にまで敬語を使うカワイイ先輩なのだ。「ハイッ!」となんだか訳のわからぬ返事を多発しながら、気休めでかけたフレンズも抜け落ち、薄いフレークに挟まりかけたロープそのまま(◎_◎)にスタスタリードしてしまう・・・超カワイイ大先輩なのでもある。アッブネー(^o^;)フォローする私が上がり始めると、案の定赤いロープが引っ掛かる・・・だから、アルパインはダブルロープなんだなぁ・・・と反省しきり・・・。しかし、このルートでロープを引っ掛けるとは、山岳会のnama会長に知れたら、また大きな雷が落ちる事確実なので、川キョンの名誉にかけても内緒にしておこう・・・と、後輩の水流ちゃんは思うのだ(^_^ゞ
 

最終ピッチV+をリードする川キョン 核心部を抜け、1の坊主基部へ
   

 なぁ〜んか、とりつかれていた物がすぅーっと抜けたクライミングである。「春はあけぼの〜大長征」は、また1つリード可能なルートを決定付ける1日であった。1の坊主〜3の坊主の基部をたどりながら、懸垂下降地点を歩き、最近覚えた「半マストノット」を環付カラビナにセットし8環を使わず懸垂下降してみた。ギアをリュックに収納し、昼飯を食べて下降路に向かう。たくさんの花に出会いながら、フィックスロープをたどり取り付き位置に戻ってきた。後は、登山道をてこてこ歩いて車に戻った。 
 

満面の笑みを浮かべると目が無くなる川キョンと・・・終了点にて
   
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