前夜、黒嶽荘の駐車場にて車中泊する。翌朝、登山口がどこなのか、しばし探してみる。初めてのコースなので、緊張感も高まっていた。曇り空だか、たぶん、昼から好天すると信じ歩き始める。
黒嶽荘からは、いきなりのきつい登りが始まる。体調すぐれないママに合わせ、頻繁に休憩を繰り返しながら、なんとか前岳にたどり着いた。途中の森の濃
さ?深さ?素晴らしいが、遅いペース、降り出しそうな空、見えない景色・・・気持ちが重くなってしまう。しかし、時折追い越していく登山者を見る度、少し
前向きな気持ちにもなれた。とにかく、シャクナゲの多い登山道だ。
前岳で少し行動食を取り、歩き始めると雨になる。気温も下がり始めていたので、早めに雨具を着る。今年、買ったばかりのゴアテッククスは、蒸れも少な
く、足の上がりも上々である。結構、右に左にコースは変化する。目印は多いが、紅葉の落ち葉で踏み後は見難くなっている。景色が見渡せない事をしきりと悔
やんだりしていたが、遅いペースは、今度は計画コースの制覇さえ困難な雰囲気になり、そちらの方が気になる。本来なら、多くの登山者に会うのだろうが、本
当に少ない今日である。高塚山で記念撮影をすると、休憩ナシに、下り、天狗岩へと向かう。
天狗岩分岐から、少し遠く感じた。岩場の基部にママを残し、頂上が雲で覆われた天狗岩に、私だけが向かった。雨で滑りやすくなった岩だが、危険は感じな
い程度である。グイグイ登ると、ペンキで「天狗1556」と書かれた岩が見えた。登らず、次回にと、写真だけにおさめた。
風穴に到着し、減った腹を行動食で落ち着かせる。今日は、昼食タイムはナシだ!男池方面へ向かい、車道を歩いて戻ろうか?雨で、早くに暗くなるであろう
森・・・、迷いに迷い、ようやく強い気持ちで上峠方面へと向かう。起伏少ない森は、暗くなれば大変である。ペースを上げながら、ママに踏ん張りを促す。道
はバッチリ整備され、心配なく上峠へ導いてくれた。ようやく、森を楽しめる気持ちのゆとりが出来てきた雨堤で、黒岳縦走の感動が沸き始めた。林道から黒嶽
荘へも、立派な標識が設置されていた。黒嶽荘が見えれば、その山行は達成感と自信へと転じた。
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