アナキン・スカイウォーカーが気になって仕方ない朝だった。宇目へ向かう道路は、実に心を重くしていた。じんさんとは、緒方町「原尻の滝」道の駅での待
ち合わせだ。朝、遅れてきた川キョン・・・。ゴメンゴメン!は、毎度の事だが、それを大反省もしている彼女なので、同級生トリオとしては寛大な容赦をして
いる。
元はジェダイの騎士の一人であったアナキン・スカイウォーカーだが、シスの暗黒卿「ダース・シディアス」にそそのかされ、フォースの暗黒面に魅了されて
いく・・・。私は、フォースをあやつれる男でもない(アタリマエダノクラッカーダロ・・・!)が、ライトセイバーも操れない。そんな私が、九折から傾
山を目指そうと思い立ち・・・しかも「三ツ坊主」を経由してのコースである。辛い登りを始めた訳だが、私は何かに怯えてばかりいた。自分でここまで成長し
た訳ではないことは明白で・・・、山を歩き始め、クライマーみたいな顔を
して、何を語るか!このアホハゲ男が、HPの記録を周囲に囃し立てられ、欠員で引き受けた山の会の会長・・・。間違いなくアナキン・スカイウォーカーが刃
を向けた、かつての師である「オビ=ワン・ケノービー」に左手・両足を切り落とされ、溶岩に飲み込まれそうになっている場面ばかりが重なり、頭を駆け巡っ
ていた。私は、ベイダー卿よろしく、サイボーグ手術を受けることはない。あの、インペリアルマーチとともに颯爽と歩く「ダース・ベイダー」の、威圧感と悲
しみ・・・身に着けているヘルメット、マスク、装甲服、マントは、いずれもフォースの暗黒面を象徴しているのだろうか・・・あの黒。そして、もっと黒い私
の内面である。詫びるかの様に、重い足かせを取り付けられた気分の重い足取りである。(タンニ、タイリョクガナイダケデアルガ・・・)
岩場に達した頃、少し気分が軽くなりルーク・スカイウォーカーが、C-3PO・R2−D2を従え風を切る気分になってきた。かつて、アナキン・スカイ
ウォーカーとバメド・アミダラに間に双子として生まれた事を、その時はまだ知ることもないルークの様にだ!!三ツ坊主、二ツ坊主、五葉塚と歩く頃は、誕生
後すぐオビ=ワン・ケノービに、惑星タトゥイーンのラーズ夫妻に預けられて育てられた頃の様にだ!!いくつもアップダウンを繰り返す私達は、いや私は、ど
の頂でレイア姫と出会えるのか?と、期待に胸膨らませていた。辛い登りが、憎きダース・ベイダーだと苦しみ続け、自分の父であることも・・・、ましてやレ
イア姫が双子の妹であることなど・・・まったく知らないない頃の様にだ!!!
そして、とうとう傾山の山頂に立った。私の中には、ハン・ソロと歩をともにして戦士達の中をさっそうと過ぎていく姿が見え、耳にはチューバッカの雄たけ
びが響いていた。6時間の道のりだ。20分程度で、昼食を終えると、後は宇宙をワープするファルコン号に乗った気分で下山するものと思っていた。しかし、
九折小屋分岐まで1時間、さらに3時間の下りが待ち受けていた。でも、右にアップダウンを繰り返した、三ツ坊主達は、「デス・スター」には映ってはいな
かった。
痛い足を引きずるように下山した同級生トリオは、デス・スター破壊計画を成し得た戦士の様に、鉱山跡への川沿いの道を歩いた。「ルーク=水流渓人、ハ
ン・ソロ=じん、チューバッカ=川キョン」だろか?・・・「ルーク=水流渓人、チューバッカ=じん、C-3PO=川キョン」だろか?・・・いや、「ルーク
=水流渓人、R2-D2=じん、C−3PO=川キョン」だな!!じゃ、ダース・ベイダーは誰で、レイア姫は誰なんだ??ますます判らなくなる祖母・傾山系
へは、何度も足を運び、解明しなくてはならない・・・。
|