いよいよこの日がやってきた。家族で沢を詰め上がり、山頂を目指す。そこには、平坦でない沢を歩き、乗り越え、攀じり・・・と、多くの要素が含まれている。私達家族が取り組んできた「山」の技術が通用するのか・・・、問われる挑戦である。
次男4年、小さい体で一番大きな動きと体力を強いられる。私に確保されながらでも、滝を遡って行く事になる。彼サイズが市販されていないので、運動靴にフエルトを張り付けて自作した靴で歩く。大して泳げないので、ライフジャケットを着用する。
長男6年、兄弟の中でもクライミング能力と、泳ぐ能力はある。でも、彼が家族をサポートできるはずもなく、私の動きについていくだけの動きとなる。た
だ、体力と登る能力は充分なので、後は、私が安全に対する意識を持続し続けることで、彼の能力を引き出せる。
次女中2、長男よりクライミング能力はある。そして、最大の魅力は「ムードメーカー」「ペースメーカー」であると言う事。実に辛さを、すべて楽しさと興
味に転じて家族を引っ張り続けてくれた。やはり、彼女を守り続けなければならないのは、私の務めだ。
長女高1、この日が初めての沢登りとなる。体格はすでにママ以上であるが、まだまだ判断は出来ない。しばらく山へ行く回数激減なので、体力が心配であ
る。素直さを欠かなければ、チームとしてのマイナスにはならない。少し大人になりかけている精神と体格で、乗り越えられる事は間違いない。
ママ、この日の一番の心配である。自律神経から来る腰痛、その症状がゆえの、日頃の緩慢な動きによる筋肉の緩みが、この行程に付いて来れるか・・・。しかし、その我慢強さは見上げる物があり、子供達の精神的サポートは、彼女の重要な役割である。
沢に入り、家族のチームとしての団結は素晴らしかった。攻める遡行が出来たと思う。滝を目の前に、どこを登ってやろう!という視線である。水と岩だらけ
の世界を、皆でどう楽しもうか!という姿勢である。時間的な配分と、ルートファインディングさえ私が間違わなければ、山頂は約束されたような自信に溢れて
いた。そんな家族のメンバー一人一人が、私を勇気付けていたのは紛れも無い事実であった。山頂に立ってみれば、私達のやってきた事を、いつもの様にやる事
だけで、そこに立っている気さえした。しかし、しばらくするとその自信はまた、不安にも転じていく・・・「あれは、ひょっとして偶然だけの重なりたったの
では・・・?」と。でも私はその事を謙虚に受け止めようと思っている。受け止めることで、次への大きな基盤となりえることを願っているからだ!そう、次へ
の大きなステップへの足がかりとなるはずだ!
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