子供達の1学期が始まって最初の祝祭日休みである。平日しか休めない私にも、祝祭日は休みなので、ようやく全員で出かけることがかなった。当然、
「えー、また山登り?」の声も出るのだが、公園や遊園地へはどうしても足が向かない。
天気予報が雨マークで、一時は中止しようとも思ったが、インターネットの予報で熊本県上村に晴れマークが出ていた。朝6時半に小雨交じりの米良街道を走
り、湯山へのトンネルを抜けると、予報通り青空が待っていた。半分登らなくてもいいかぁ・・・などと思っていた気持ちもどこへやら、ダート道の振動も心地
よくなるから不思議である。 白髪岳は、11月に次女・長男を連れて歩いている。冬枯れの登山道を歩きながら、その心地よい
自然林に、全ての季節歩きたいと思っていた。そして、今回は「新緑」を浴びての一日である。支度を整えると、子供達だけで先に行くよう指示した。そして、
私達が後に続く。平らになるところで子供達に追い付いた。猪の子伏である。一度も切られたことのないといわれる自然林・ブナ林・・・、林床を埋め尽くす
「ミヤマシキミ」「バイケイソウ」・・・、家族6人の会話が尽きることがない。気が付けば、歩くのが辛くて文句の多かった子供達が、遊びながらはしゃぎな
がら歩いている。最後尾を歩く私には、何物にも変えがたい光景であることは言うまでもない。
三池神社に着く頃には、ガスが出てきた。雨が落ちそうであるが山頂へ急ぐ。途中、スズタケの中に、「キイロスッポンダケ」を見つけた。長男・次男に、「おまえらのチンチンみたいやな!」と、受け狙いで言って見るも、あっけなく無視される。
ホワイトアウトした山頂にたどり着くと、少し風が冷たかった。時折、ガスが晴れて周辺の視界が広がるが、とうとう霧島や市房の展望は許されなかった。マ
マの準備したオニギリとおかず、そしてカップラーメンが、今日の昼食である。20年ぶりに使用する、通称「弁当箱」オプティマスのガスヒーターを予熱し点
火しお湯を沸かした。子供達は全開で遊び回る。枯れ枝を集めて「住処作り」をはじめている。ゆっくりとした昼食時間だった。
下山し始めると、また標高を100b下げた所で青空になる。私達家族にとっての山?それは、やはり辛いとか、困難とか、標高とか、そんなものでなく、
ゆっくりとした楽しめる山歩きなのかも知れない。白髪岳を歩いてつくづく思い返した。
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