水流渓人「hot-news」

2004年12月23日 「水流一家・・・霧島の矢岳へ」宮崎県
 


   

 
いつもながら大袈裟なタイトルから始まるのが・・・主。
山岳会の納会が終れば、家族での山納めも・・・と計画した。
家族での登山も、皆が行きたい訳でもない・・・みたい。
  

矢岳・1131m
  
高原町の霧島川から見る左・高千穂峰、右・矢岳
矢岳登山口から登らず・・・→ 林道から行ってみた。
   

 矢岳は、2000年6月2001年7月に登っている。あの時は、確か登山口は林道側からだった・・・。たぶん合流するわい!なんて思い歩き始めると、なんと林道はずっと奥までのびていた。「なんか、趣に欠けるなぁ・・・。」なんて、林道の途中から右や左を覗きながら歩いていたら、やっぱり以前の道と違う事が判る・・・。が、右に沢があるので方向は大丈夫・・・と進む!

   
あちゃー!林道が行き止まり。 なんとか、登山道に合流!
 

 林道止めに立ち止まり、右の沢を私1人で覗きに行く・・・!下方に立派な堰堤が出来ているのが見える。ははぁ〜ん!この林道は、あの堰堤の為だなぁ・・・。ちと、複雑な気持も感じながら・・・。気がつくと登山道はどこなんだぁ〜状態。案ずるより生むが安し・・・。詳しい先輩に電話・・・、奥さんが電話に出て、近道だからそのまままっすぐ行きなさぁーい!

 
一旦沢に下りて登り始める。   
 

 家族で歩く・・・しかも全員で・・・。今年最後の山歩きになる。家族をもっと身近に感じたくて始めた『家族登山』である。子供の成長と共に、子供はされを否定しはじめた。それも成長と感じている。でも、どうしても続けて行きたい気持一杯・・・しかも、今回はそれをどうしても誇示したかった。
 長男は、数日前からウィルス性の胃腸炎になった。顔色が蒼白で辛そうにしているが、弱音を吐かないで耐えていた。次女も長女も女性特有の現象。長女はストックにすがりながら痛い腹をかばう様に歩いた。どうしてそこまでしないといけないのか激怒していた。次女は寡黙に、私の気持に気遣いながら我慢してくれた。私には、いつでも引き返す気持はあった。でも、2週間前に「子宮筋腫」と診断されたママが頑張っていた。手術の必要は無いとの診断だが、ひどい腰痛を押しても家族の絆を優先してくれた。ダブルストックで、とにかくゆっくりと前に足を進めた。そのママが歩いている間は、この山行を中止する訳にはいかなかった。もし、歩けない子供が出れば私は背負ってでも歩いたに違いない。文句ばかり言う長女を、とうとうママが叱った。思い切り強い態度で叱った。

   
遅れる後続を次男が待つ・・・ 樹間から高千穂峰が見え始めた。
  
辛い歩きが続く・・・ もうすぐ山頂だ。
   

 ママに気合いを入れられた長女は、吹っ切れたようにしっかりとした歩きになった。私と次男は先行し、山頂でお湯を沸かして待つ事にした。左に霧島連山、右に小林盆地を眺めながら、山頂間近の気持良い尾根道を歩いた。歩きながら、ずいぶん考えた。『山』だけが家族の絆をつなぐキーワードでは無い・・・と、しかしそれは始めた頃から判っている事だった。止める事は簡単だ。家族のリーダーとして私はどう判断したらいいのか迷っていた。
 後続のママ・長女・次女・長男が到着した。まだ湯を沸かす準備すらしていないまま迎えた。「さぁ!皆で記念撮影をして、熱いカップラーメンを食べようぜ!」・・・と、いつもの様に、いつものママが掛け声をかけた。そして、いつもの様に冷たい風の吹く山頂で、鼻水を垂らしながらラーメンを全員ですすった。いつもの様に、皆が笑顔で・・・、いつもの様にママがいて、子供達がいた。その日、私には風景が目に入っていなかった。深い幸せは、きっと家族皆に通じると思っている。だから、『山』でなくてもいいのだが・・・、たぶん、『山』なのだと思う。

   
山頂からのパノラマ・・・霧島が一望できる(写真クリックで拡大します。)
こんな笑顔の家族写真はめったにない。手前の枝がフラッシュで光ってしまったが・・・
  

仲良く4人で下山する子供達・・・宝物である。
   
次女・次男・長男・長女と続く 最後にママが下山してきた
  

 日が1日進めば年が明けるのだろう・・・。今年最後だからと、別段構える事もあるまい・・・。私はママの病気を知って少しうろたえてしまった。何をどうしたらいいのか、どう何をしたらいいのか浮ついた日々が過ぎていた。でも、休みに家族全員で歩く事を、いつもの様に選んでくれたママがいとおしくてたまらなかった。それに従ってくれた子供達がたくましくて嬉しかった。やはり、これを節目としなくてはいけない気がした。そして、あの頃・・・家族で歩こうと山を登り始めた頃の気持をもう一度思い出しながら、来年を迎えたいと思った。
 

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