水流渓人・投稿レポート「北岳バットレス/第4尾根主稜(V級)」投稿者:キーボウさん
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2002/08/07「キーボウさん」
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北岳バットレス(第4尾根主稜・・・V級) |
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【日 時】2002年7月17日〜21日
【 メンバー 】山姫さん、キーボウ
【 山 域 】南アルプス北部(山梨県)
【 地 図 】鳳凰山、仙丈ヶ岳(1/25000)
【ガイドブック 】日本の岩場-上(山と渓谷社)
【コースタイム】
7月17日(木)
広河原(5:00) ----白根御池小屋(7:50)----(アプローチの偵察)
8月18日(金)
雨のため一日中停滞
8月20日(土)
白根御池小屋(2:50)----下部岩壁取付(6:10/6:30)----4尾根取付(8:15/8:30)----終了点(10:50/11:20)----北岳山頂(11:50/12:00)----肩の小屋(12:20)----白根御池小屋(13:10/14:05)---広河原(15:30)
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北岳の位置→マピオン地図
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今年も、昨年に引き続き中央の岩場を目指しました(昨年は前穂北尾根)。昨年より少しはグレードアップしたルートです。
17日の夜、山姫さんの誕生日割引の1万円の航空券で羽田に向かいました。23時50分発の急行「アルプス号」にのり甲府へ、まだ夏山シーズンにはちょっとだけ早いので乗客は多くありません。甲府には2時に到着、朝9時発のバス迄待つつもりでしたが、同じ列車に乗っておられた山口県の夫婦の方達とタクシーに同乗し広河原に向かいました。広河原ではゆっくり休めないので、明るくなるとそうそうに白根御池小屋を目指しました。この日の天気は上々、明日迄もってくれたら良いのにと思いながら・・・。
小屋前の高台にテント設営、ここから北岳が望めるがあまり迫力はない。少し休んだ後、下部岩壁入り口迄の偵察に出かけました。これはと思う踏み後を辿り、雪渓の終了点に近付きました。Bガリー大滝がこれかな?と思うのですがいまいち自信が持てません。4尾根の顕著なピークはガスの中にあり位置関係が掴めない。次に、もう少し上のガレ場を詰めてみます。雪渓を詰めた所に立ちはだかる岩壁、このあたりが十字クラックのようだ。位置を確信し、御池小屋に戻った。テン場ではあちこちにテントが設営してある。隣のテントは大分大学の学生とのこと、明日から肩の小屋でアルバイトらしい。ゆっくり夕食をとり明日に備えることとした。
翌19日は雨、残念だが一日停滞。隣には新しいテントが張られた。閑なので早速話を聞きに行くと、大阪の岩屋さんのカップルとのこと。彼らはピラミッドフェースからDガリー奥壁を目指すようだ。僕達が調べたアプローチの正しいことを再確認した。夕方には鳳凰三山が望め、明日の好天を約束しているようだ。でも、明日は土曜日、バットレスは行列ができるほど人が多いとのことでダッシュで取り付くために早々に就寝。
翌20日は好天の兆し、2時に起床、3時前にはスタートした。大阪のカップルもほぼ同時にスタート。大樺沢上部に差し掛かると東の空が赤い、流れる雲が早い。どんどん形を変え、晴れていくのも時間の問題だ。大阪のカップルはといえば、一人は腰を、一人は膝を故障しているとのことでペースが遅い、僕達は先行することとする。
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D沢のがれ場をつめ右側のブッシュ帯を越え雪渓中央部の草付を詰める、下部岩壁まで20mくらい雪渓が露出している。かなり急な斜面なので軽アイゼンを装着、キックステップで足場を確保し、一歩一歩慎重に詰める。雪渓が途切れると岩との間に50cmばかりのシュルントが開いている。雪渓の端に座り込んで足を伸ばすとなんとか岩に引っかかった。ここは十字クラックの下の少し左側あたりのようだ。 下部はかなり濡れている。登るルートを探しているうちに、若者4人組みに追いつかれた。彼らは5尾根支稜から取り付くとのことで、我々はDガリー大滝を登ることとした。あまり乾いていない上にちょっとしたことで落石が起きる。 |
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1ピッチ目は僕がリード、探せばピンも見つかる、2ピッチ目はつるべで姫がリード、ピッチを短く切って、ようやく緩傾斜帯に到着、ちょっとしたことで落石発生、ひやひやものだ。ここから右にトラバース。濡れていてちょっといやらしい場所もなんなくクリア、ブッシュ帯に入る。実際はブッシュの中ほどから直上するのだろうが、通り抜けてCガリー側まで来てしまった。しかしそこには赤いペンキで4尾根と書いて矢印が書かれている。これなら分かり易い。がれがれのガリーを登るとIV級のフェース、しかし、べちゃべちゃに濡れている。ここはロープを出して慎重に通過。後から来た若者二人組はフリーで通過、追い越されてしまった。やっとのことで4尾根のスタート地点であるテラスに到着。この時点で空は快晴。今からのクライミングの素晴らしさが期待される。 |
左のDガリーには、かもしかが一頭、こんな壁を歩けるとはたいしたものだ。落石を落とすことなくトラバースして5尾根の向こうに消えた。若者二人組は復帰山行とのこと、一人が中央稜で20m落下、怪我から回復した最初のクライミングなので4尾根を選んだとのこと。さわやかな若者達だ。九州には少ないぞ。その若者達が先行した後にまた一人クライマーがテラスに到着。
我々は二番手でスタートすることとした。いきなり、V-のクラック、しかも大勢の人が登るので壁はつるつるに磨かれたようになっている。早速チョークをつけてしまった。V級でチョークを使うなんて始めて、足をクラックに捻りこんで登る。ここが4尾根の核心だそうだ。ピンは適当なところにあるので安心。1ピッチ目を登り終えたところで後から来たクライマーに抜かれる。なんとフリーソロだ。先行してあっという間に見えなくなってしまった。ここからは易しいルートの連続。山姫さんとつるべで登る。背中の富士山がますます大きくなってくる。 |
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【投稿・キーボウさん】
ご寄稿いただきましたキーボウさんには深く感謝致します。水流渓人
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