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投稿レポート

2001/10/6〜8
西都山岳会「NAMAさん

このレポート・写真の著作権は、「NAMA」さんにあります。
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10月度ミツバレポート

「石鎚登山報告」

参加者 北壁クライミング NAMA・イッシー・マッキー・川キョン・M田
      ハイキング隊   
Z家・倉ちゃん・よしよし・しのB・ワッダ・チー・イッキ・ヨネちゃん・ジッチャン
      高知県案内隊  
O林氏(フリー61歳)・K島氏(フリー71歳)・M田氏(高知アルペン)
                      S村氏/Y崎さん(高知労山)・W辺氏


一般道より


雲海に浮かぶ「瓶ガ森」

 
 「10月の第1週、これが最高だがね、NAMAさん来ないかね石鎚へ。」「何が良いんですか?」「紅葉がさ、10月の第1週に限る。石鎚北壁へ一緒に登ろう?」「わかりました、行きます」。〜〜これが3ヶ月前のスイスでのO林さんとの約束だった。
 当初は、私とマッキーとM田さんの3人の予定だったが、会の例会で四国の石鎚山にクライミンに行くと言ったら、私も,俺もと14人にもなってしまった。
 
 5日の夜9時前に、何時エンストするとも分からない川キョンのランクル70(6日には帰る予定)を含め、ランクル100とステップワゴン(M田)に分乗し、西都から一路臼杵港へと向かった。
 23時55分発の八幡浜行きのフェリ−にかろうじて間に合い乗船。真夜中での2時間30分の船旅は、あっとゆうまに八幡浜港に着き、皆さんゆっくり眠れなかったみたいだ。港のすぐそばのコンビニで朝食と昼飯を仕入れ、約束の場所、土小屋へと向かった(3時頃)。
 八幡浜から石鎚へのアクセスは良くなく国道の継ぎはぎで、結構細い山道を走らなければならない。それでも5時半頃には石鎚スカイラインの入口に着いた。が、ゲ−トが閉まったままだった。7時にオ−プン(クロ−ズは18時)ということで、それまで眠ることにした。
 7時きっかりにゲ−トが開き、並んでいた順(2番目〜)に出発した。30分ほどで土小屋に着いたが不思議なことに、2番目くらいに出発したのに上のほうの駐車場はいっぱいになっていた。

久しぶりの再会であった。ニコニコ顔のO林さんに気持ちよく迎えられ安心した。彼のそばに美人の女性(Y崎さん)がいたのには、驚いた。なぜなら、「ブスでも女性が一緒なら楽しい」と、言っていたからだ。おまけに、ハイキング隊(石鎚山登山)のガイド役(S村氏・高知労山)まで準備していただき、感謝の気持ちで胸がいっぱいになった。ハイキング隊のことは一切心配せずに、北壁のクライミングができると思うと、ハイな気分になっていく自分がわかった。

{これは余談だが、高知アルペンクラブ員でガイドをしている人の話「今日は,宮崎交通のバスツア−の60人をガイドするんですよ」}


東稜


紅葉の北壁

 
 天候は晴れ、風なし、絶好のクライミング・登山日和だ。クライミング隊は、NAMA・イッシー・マッキー・川キョン・M田の5人と、O林さんとY崎さんの7人となった。その他は、一般道からの石鎚山登山となった。

 土小屋から1時間も歩くと、右側遠方の瓶が森が、雲の上にぽっかりと浮かんでいた。すばらしい雲海だ。前方の方に目をやると、これまた秋真っ盛りの紅葉の世界だ。O林さんを疑っていたわけではないけれど、こんなにも鮮やかな紅葉がこの時期に見られるとは、われら南国宮崎人にとってはビックリした次第だ。紅葉の真っ盛りの中に東稜が見えてきた。急峻で岩肌の出たとっても美しい尾根だ。尾根の取り付きには登山禁止の札が立っている。ここを杉村さんがハイキング隊を案内してくれると聞いて、再び感謝。後ろを歩いて来ている仲間みんなの喜ぶ顔が浮かんだ。
 土小屋から2時間ほどで、二の鎖場に着いた。二の鎖場を登り、三の鎖場の取り付き地点にある小屋の後ろが、北壁への取り付だ。小屋の下を通り抜け、かろうじて残っている踏み後を辿ってゆくと北壁の真下に着く。天狗の一番高い所に出るのがダイレクトル−トだ。見上げると結構たっている。一番先に登らしてくれると言うので、わくわくるんるんだ。1ピッチ目は、角度はきついが壁の弱みを巧みについた楽しいフリ−クライムだ。(40mくらい)。ビレ−点から見下ろす景色は最高の一語に尽きる。遠くの瓶が森をぽっかり浮かせている雲海は、われらの足元にまで及び、雲海上に浮かぶ紅葉と岩肌の石鎚山を浮かび上がらせている。セカンドで登ってくる仲間を、隠したり見せたりしながらも、それ以上は決して上に上がってこなかった。
 そして、その中の壁に取り付き、クライミングを楽しんでいる自分はいったいなんなのだろう。こんな体験は、クライミングを始めて32年、初めてのことだった。 
 2ピッチ目は、アブミを使って登る人口クライミングル−トだ。スラブだが凹カクのようなル−トで、スラブの外のリッジに左足を乗せて登れば、A0で登れるこれまた快適なル−トだ。(20mくらい)登攀終了地点に上がるとハイキング隊が待っていてくれた。
 頂上には、S村さんと明日一緒にクライミングしてくれるM田さん(高知アルペンクラブ45歳)が偶然にも一緒になり、ビレ−の手伝いをしてくれた。頂上に着くとハイキング隊も興奮しており、しきりと紅葉のすばらしさを話していた。
「墓場尾根の紅葉はもの〜すげ!!すばらしいよ」と、よしよしさん


雲上のO林氏61歳


サービスポーズ(写真提供:Falconさん)

 
 天狗から東のほうに数分行くと墓場尾根が見えてくる。少し南のほうに下って岩間から墓場尾根を覗くと我が目を疑うような、鮮やかな紅葉が一面に広がっていた。 墓場尾根とは天狗から東稜にかかるところから南に下っている尾根のことだ。そして、その尾根の少し下に墓石のように林立している岩がある。
 ハイキング隊が登った東稜を下る事にした。最初は岩場の下りで、初心者ならロ−プが要るだろう個所が2・3あった。いくつかの岩峰を巻きながら急で滑りそうな熊笹の中を下る。右側に見る熊笹のルンゼは九州では見たことのない一面熊笹の広い急斜面だ。(スノボで滑りたくなった)

 1時間ちょっとで一般登山道に出、そこから1時間と少しで土小屋に着いた。

 土小屋から車で、3分の所にあるよさこい峠に着いた我々は、すぐに車から荷を降ろしキャンプの準備を始めた。荷物を下ろした川キョンのぼろ車は、いきなり厳しい東稜を登って、更年期障害をぶりかえしたワッダさんを連れて、帰途についた。
テントを張った我等は、すぐ近くの国民宿舎に風呂入りに行った。
 風呂に行かず、すぐに酒に浸っていたO林さんS村さんを、われらのテントに呼び、総勢15名がヨウレイカのテント内に入った。サイコロステ−キと野菜炒めの楽しいパ−テイ−が始まった。昨夜からの睡眠不足と疲れで、高知の3人には悪いが21時過ぎにはパ−テイ−は終了した。
 高知の男2人はもの足りず、夜中まで飲んでいたみたいだ。(可愛そうなのはY崎さんだった)。


ダイレクトルートを行く、K島氏71歳


カンテルート・NAMA

 10月7日6時起床
 今日は、昨夜遅くに我らのために駆けつけてくれた二人を紹介しよう。
 一人は、71歳で現役クライマ−のO島氏、クライミングを近年始めたW辺氏。彼はソフトボ−ルで肋骨を折っているらしく、今回は尾根歩きの案内をS村さんとしてくれるそうだ。もう一人、朝駆けつけてくれた人がいる。彼は、昨日頂上で偶然会った人で、日本山岳ガイド連盟の認定ガイドであり、高知アルペンクラブのM田氏だ。
 朝8時の土小屋は、車と登山客で昨日よりも賑わっていた。2時間30分近くもかけて、しかも、2日続けてアプロ−チの長い岩に取り付くのは、3年前の谷川岳以来のことだ。だが、ここ石鎚は土小屋の(1500mくらい)標高が高いので時間のかかる割にはのぼりが少ない。よって、そんなにきついアプロ−チとは思わなかった。
 今日のメンバ−割は、NAMAとm田・M田さん、マッキーとイッシーの2パ−テイ−がトイル−トを登り、昨日アブミをm田さんに貸したばっかりに、クライミングが出来なかったY崎さんと、O林さんK島さんがダイレクトル−トを攀じることになった。
 天気は、昨日と打って変わって雲ひとつない青空、もちろん雲海もない。
今日もトップを行かせてくれるという。トイル−トってどんなんだろう、名前からして戸惑っている。取り付きは、小屋からすぐのところを藪を漕いで10mくらい上がった所から取り付く。草つきをトラバ−ス気味に上部の凹角を目指して上がってゆく。2ピッチ目は左のスラブを避けて凹角に入りそこを上がりきった所が終了点。長さが、比叡とか小積の岩に比べたら物足りない。しかし、高度感と景色はすごくよかった。
 クライミング途中、ダイレクトル−トを攀じっているK島さんを見た。しかもリ−ドをしている。今朝会ったときからビックリはしていたのだが、しゃきっとした体つきに、ぱりっとした顔肌。とても71歳と思えない方だ。そのK島さんが、僕らと全く変わらないスタイルで岩を登っている。すばらしいことだ。もちろんわれらがO林(61歳)さんも上手い。彼らは、私の新たな人生の目標となった。


トイル−トは、天狗岩の一番手前のコルみたいな所に出てくるル−トで最期が深く入りこんだ凹角になっている。その凹角が、雨どいに似ている所から、トイル−トと命名されたそうだ。このル−トはダイレクトル−トにわりと似ているが、グレ−ドは少し落ちる。クライミング3回目のイッシーも、セカンドのせいもあるが、なんなく上がってきた。
 
このル−トのすばらしさは他にもあった。終了点のビレ−個所は、縦走路の少しくびれた所でやや危険個所?めいた所だ。そこを通るハイカ−達の格好がとても面白い。男なのに這って通るもの、女性に手を引かれて通るもの(子供は飛んでゆくのに)。それに、質問攻め。「そこを何故下るんですか?」と馬鹿な質問。「何してるんですか?」と、まともな質問「これから女性が登ってきますよ」「ワ−凄い、この前テレビに出た人ですか?」「?」。。。。。真樹子さんとイッシーの姿を見て「ワ,ワ,ワ!!。ス,ス,凄い!!。ホンマもんや!!ホンマもんや。テレビでしか見たことないのにホンマもんを見た!!。」〜と。通行人の格好もしゃべりも面白くてたまらない。何かの主人公になったみたいだった。
登攀終了14:00


カンテルート

 下山途中にM田さんが「今夜はここら雨になるな〜」と言った。O林さんが「ここから1時間半ほど下った所に私達の山小屋があるがそこにいきませんか」と私に聞いてきた。

 風の強く吹く寒いよさこい峠のテントをたたみ、O林さんの自宅近くの山小屋へと出発したのが午後5時を少し過ぎていた。O林さんの自宅といっても、仁淀川上流の山の中。小さい沢の横に立っている小屋は、三角屋根の可愛いい小さな家だった。3.5坪のこの家は、ヨウレイカハウスより広く、総勢18人を一堂に会して楽しませてくれるには、少しきついが十分だった。今夜じゅうに帰らなければならなったm田さんも、無理して、朝帰るということで付き合ってくれた。

 山小屋での楽しい語らいは尽きず、午前1時になっても終わろうとしなかった。
 
 飲むわ、飲むわ!【高知人】。しゃべるわ、しゃべるわ【宮崎人】
こんなにも飲むとは、高知の人は酒豪ぞろいだ!!。うちの酒豪のZ家さん、フーチャンは飲まない部類に入るかもしれない。おかげで、私の声が枯れて、のどが痛い。5日たっても声がかすれている。酒を飲むのに比例して、人のいいのも超がつく。何から何まで気を使っていただき、こんなに楽しい登山旅行は初めてだと参加した全員が感謝している。
 O林さん、K島さん、S村さん、M田さん、W辺さん、Y崎さんホントにありがとうございました。
  

石鎚山とろとろ登山

(石鎚山・瓶が森−男山、女山・伊予富士) 
報告 ジッチャン


登攀を終えて・・


墓場尾根の紅葉

10月6日(土)
8:10土小屋発―10:10東稜基部―11:00墓場尾根(大砲岩)―12:10天狗岩(昼食)
13:00下山―石鎚山頂白石小屋―14:30東稜基部―15:40土小屋着
 O林氏の計らいで高知山岳会のS村氏にハイキング組の案内をしていただくことになった。少し歩いては、一寸休憩の繰り返しに嫌な顔もせずS村氏は、付き合う羽目になる。タイムを気にせずマイペースに歩く私たち。やっぱ山は、景色を楽しみながら歩かなくちゃね〜、下界では見られない紅葉を堪能し、広がる雲海の美しさに感激していた。

 S村氏は、そんな私たちを一般ルートでない東稜ルートへ案内してくれた。
「ここに荷物を置いて、下の岩場に行きましょう。見事な紅葉ですから、ここまで来たら見ないと損です。」
そんな言葉に騙されて?? 恐々と墓場尾根に向かう。しかし、地元の人が薦めるだけあって、すばらしい景色だった。怖がっていたメンバーもその景色に怖さを忘れ、写真撮影となった。
 それからも美しい紅葉を楽しみながら天狗岩に到着する。ここは、今回のツアーのメイン岩登り組との合流点でもあり、昼食を摂りながら、岩登り組を待つこととなった。
昼食後、岩を這い上がってくるメンバーをはらはらどきどきで上から覗いていたが、とろとろ登山隊である私たちは、帰着時間を考え早々と下山を開始する。しかし、トイレの場所を間違えた一人が抜け駆けして、鎖場を下りていった。他のメンバーの心配を他所に「面白かった。面白かった。」を連発する彼女に皆あきれていたが、無事を確認してホッとした。(ここが、とろとろ登山隊の寛大な所です。)
 下山とともに霧が出てきて、幻想的な景色をかもし出す。霧の中の紅葉もおつなもんだね。と言いながらも、吐く息が白くなり、寒さに震えだした。下山時にはじめて知ったのだが、私たちが登ったルートは、通行禁止ルートでそのお知らせ看板が、何箇所かに設置してあった。宮交観光ツアーの60人近い団体が、どうりで私たちの近くにいないと思った。それを知って、さらに満足度をアップさせたのだった。


瓶ケ森


西黒森の尾根

10月7日(日)
午前の部(瓶ヶ森西黒森コース) 
8:25瓶ヶ森登山口―8:52男山山頂―9:10女山山頂―10:26西黒森着―11:10神鳴池着
午後の部(伊予富士コース)
12:38寒風山登山口発―13:30桑瀬峠―14:52伊予富士山頂―15:40水場着


 本日は、S村氏に加えて肋骨骨折のクライマー渡辺氏の案内で、とろとろ登山隊は歩く。瓶ヶ森登山口では、瓶壺に水を汲みに来られた修験者数名と出会った。テレビでしか見たことのない光景になんだかわくわくしてしまった。このコースは、一面に広がるイシヅチザサで見晴らしがよく気持いい。まるで,芝生でも生えているのでは、ないかと思うほどである。本来この二つのコースは、縦走コースなのだが、とろとろ登山隊には、時間的に余裕がない為、両氏の配慮で車を回していただき、午前と午後の部に分けて登った。尾根コースで風が強く、休憩時には、寒いくらいだったが、前日同様紅葉の美しいコースに満足した。しかし、2日目で疲れていたのか、少々体に不調を訴えるものもあり、日ごろのトレーニングの少なさを反省する部分が見られた。
 今回、高知山岳会のメンバーの協力があったからこそ安全で、楽しい登山をさせてもらうことが出来たが、これからもっと山を楽しみたければ、トレーニングは必須だとつくづく感じさせられた。
 この2日間、高知山岳会の方々には、本当に良くして頂き、景色だけでなく山の仲間のすばらしさも味あわせてもらった。高知山岳会の皆様に感謝して、今回の報告を終わりたい。

      

  

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