林田温泉の近くから日添林道へ入り、入渓地となる「手洗橋」を通り過ぎて、ゴールとなる「山之城温泉」へのゲート近くに車を止める。支度をしていると、
森林局の車が止まり、どこに行くのか?と尋ねられた。多分、ゲートを閉じているぐらいだから、温泉の湧く沢への立ち入りを禁止する旨を告げられたが、「沢
登りです!橋まで戻り、温泉手前で林道に上がり、ここに戻ります!」と言うと、判ったような判らなかった様な様子で立ち去られた。当然、「有毒ガスにて立
ち入り禁止」の看板だらけだから、勝手に無謀に危険承知で自己責任で行く行為である事を認めている。
林道を戻り、手洗橋からすぐ沢に入るが、堰堤を2つ越すまでは、右上の踏み跡をたどるほうが良かった。新しい堰堤を過ぎ、再入渓するとすぐに淵があり泳
いで取り付く。水はぬるめで楽しいばかりである。積極的にロープを出す事で、よりスリルを安全に楽しめる。淵も出来るだけ泳ぎ水に親しむと、その沢登り自
体の満足度が上がる。数箇所、登れず巻く箇所もあるが、全体的には明るく楽しい沢である。半分を過ぎると、堰堤の淵もコバルトブルーの水になってくる。急
ぐ事も無いので、時々プカプカ浮いてみたり、瀬でチャプチャプと寝転がってみたりする。そして、トロッコ跡を過ぎると、沢を林道が横切り、硫黄の匂いがき
つくなり温泉の噴出す河原に到着である。
割らずにリュックで運んだ卵を、ふつふつと湧き出す温泉の近くに浸けて、しばし入浴気分でうっとりする。ハーネスもズボンも川底に沈殿した硫黄の結晶で
真っ白になっていた。空も青空になり、良い夏休みになったと思う。林道を駐車位置に戻り、「温泉卵」と「カップめん」で締めくくった。
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