朝から、予定通りの雨が降っていた。「喜平谷まで行って、確認して決めようか!」と、歩き出す。大した高度は上がらないので、順調に大崩山荘〜わく塚分
岐〜喜平谷越分岐を迎える。河原に降り、水位が高いのか、確認のしようも無く、そのまま挑戦せずして帰るのも諦めがつかず、行ける所まで・・・、無理はし
ない・・・と、上流を目指す。
とにかく、祝子川のスケールは大きい!1個の岩・・・大岩を乗り越すのに。ロープが必要にもなる。ゴルジュへの手前は、幅の広いナメ床・・・岩盤の大き
さには圧倒されるばかりだ!そして、両側に岸壁が迫り、前を塞がれると、左壁を人工で越え、樹林帯を登り、滝上の河原に懸垂下降する。もう、そこは、閉塞
感いっぱいのゴルジュの真っ只中であった。両岸?100m越す巨大岸壁がそそり立ち、大岩が3連でこちらに向ってくるかのごとく行く手を押さえている。淵
を泳ぎ、大きな倒木を利用して登ると、大岩の上に立ち乗り越す。急な流れを横切ると、有名な「30cmの噴出滝」であるが、事前に他の人の写真で確認して
いたより、波立ち、滝の幅が広く見える。取り付き、泳ぎ始めて、ようやく水量の多さと、水圧の大きさを知る事になった。そして、もっと私達に恐怖を与えた
のは、その水温である。小松の親分が5mも進まず、戻り「ムリ!」だと宣言した。続く私も、流れの右から取り付き、しばらく泳ぐが、だんだん水圧で前に進
まなくなり、水温は何か今までに経験の無い、なんとも異様な体調へと感じさせられた。戻りかけていた、o-baくんにも、挑戦しておかないと諦めがつかな
いよ!と、流れへ送り出し、チームとしての敗退・・・いや、撤退を決定する。
撤退に、しばし気持ちを入れ直し、緊張感を高める。事故があっては何にもならない!これから夕方に向かい降雨量が増える事も理解していた。落ち着いて、
素早く行動する事に終始し、抜け出す。ゴルジュから抜け出し、谷が開け、明るさと樹木にホッとさせられた。行動食で腹を満たし、登山口まで戻り、冷えた体
を「美人の湯」に浸した。
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