確かに西都を出るときにはフロントガラスに雨が落ちていた。「納会クライミング」と称していたので、岩が濡れていれば「鍋」でもして、来年を語れば良いな!と、比叡へ向かう。なんと、青空になり、しばし岩の乾きを待ち、2パーティに分かれて取り付く。
私は、O-baくんとつながり、彼の2度目の比叡のオンサイトリードに付き合う!本当に爽やかな青年で、一日中気持ちいい。2Pから、小松の親分パー
ティと別れノーマルへ。3Pとなるカンテ5級へと向かう。核心は中間部の傾斜のきつい所・・・。どう処理するか?と楽しみにO-baくんを見上げながらビ
レーする。左方にフレンズでバックアップを取り、ステミング気味に凹角を上がりクラックを捕らえていた。良く開脚できるなぁ〜と、フォローすると、O-
baくんのセットしたフレンズをのんびり回収していたら、グイッとロープを張られてしまい凹角へ回り込むには宙吊り気味・・・、すでに少し上にいる状態に
なり、フォローは楽勝の核心部となった。亀の甲の基部に這い上がると、「お疲れ様です!いやぁ〜楽しいです。比叡はいいです。」と、寒風の中で彼の笑顔が
待ち構えていた。
亀の甲をスタートする。チムニー状から、浅い棚に這い上がるのが核心?・・・問題なくリードするO-baくんの横で、小松の親分がついにKYバリをRP
した。いやはや、両者、素晴らしいモチベーションで、こちらまで気合が入る。しかし、じんさんも川キョンも、人工ながら大したもんである!あれこれ言いな
がらも、登り上がってしまう。
O-baくんの核心部が来た。スーパールートのフェース5+級である。見上げながら、イメージしていたのか、しばし沈黙の後、「行きます!」と右上を開
始した。一旦、5m上の棚に立ち、フェースへととりかかる。ここは、正面の岩を抱く形で右の浅いクラックを利用するか、右に回り込んで凹角からフェースに
出るかである。私は、前者が楽だが、じっと見ていると、O-baくんは後者を選んで挑戦し始めていた。ロープの流れだけ注意したが、フェースに出てからの
彼は、実に落ち着いていた。
素晴らしい彼のリードだった。オンサイトリードは、一生に一度しかない。そんな場面に立ち会えて、そしてその感動を共有できて、今日の意味や意義が後押しされた。
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