私の山行記録には、いつも背景がある。それを書いたり、わざと書かずに淡々と状況のみ記する時もある。時には、登山と関係のない事をつらつらと書いたり
する・・・わざとだが・・・。性分は「ひねくれ者」であり、ひねくれ=魅力的という感覚が、私の中には大いにある。大体、山が好きで、岩や沢が好き
で・・・という人は、「ひねくれ」・・・「魅力的」な人が多い気がする。でも、好きに書かねば「水流渓人の登山日記」ならない。登山記録、登山ガイドでは
ない事を主張する、「ささやかな主張」なんである。
今にも雨が落ちてきそうな空。下山してくる甑岳登山口には、寒い風がふいていた。支度を整え、じんさんの車で「七折の滝」の看板まで戻る。橋の架かる道
路より下流に入渓すると、橋下のツルツルの滝からの挑戦となる。なんとも複雑で楽しい流れが続く・・・、スケールはないが、「楽しむ」という点では優れも
のの石氷川である。滑って楽しい沢も珍しいよなぁ〜。もっと・・・と思う頃に滝は終わる。そして、穏やかな流れに「ヤマアジサイ」の咲く楽園の雰囲気に包
まれる。
読図というほどでもない地形だが、地図どおりに沢は分かれ、正面に「相聞の滝」が確認できた。降雨などで水量あるときのみの滝だそうだが、この時も流れ
はなかった。この滝で遡行も終了する。少し衣服が乾くまで・・・と、右の藪尾根へ入り支沢へと抜ける。行動食をとり、靴を履き替えようとするとザーっと通
り雨。森が深いので、このくらいの雨なら濡れることもない。そのまま沢横を詰めると、傾斜がなくなり甑岳への登山道に出た。なんとなく、沢を詰めると山頂
という状況が嬉しいので、そのまま山頂への登りを選ぶ。あいにく垂れた雲で遠望は利かないが、食事をするには十分な霧島の景観の中だ。
労働をして、休みに山へ行くという行為。ここ数年続けているが、果たして?と、屁理屈をこねたくなる。面白いのか楽しいのか、自分の芯で問答している。いつも、「感じる心」が大切だと思っているのに、無理矢理感じようとすると窮屈になる。
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