ママが弁当を作ってくれたが、結局、ママは自宅待機にした。次女と長男と、自宅を出ると30分で尾鈴キャンプ場入り口の駐車場だ。たいそうに構えなくて
も、こんなに近くに大自然がある。そう、尾鈴に固有の花咲く時期がきた。その価値を、子供達はどう感じるのかはさておいて、見せておく事が大切な気がして
いる。
遊歩道を歩く。沢を左に感じながら、前を歩く子供達の成長を感じながら・・・。手を引かなくても、足元を気遣わなくても、私よりけいかいに歩いている。
私は、まだ痛む膝をかばいながら、それでも子供達には気づかれぬように歩いているつもりである。ふっと、向こうに『すだれ滝』が見えてきた。「あの滝、冬
は凍るんだよナァ〜!」という私の言葉を聞いて、二人が嬉しそうに眺めた。『さぎりの滝』の横にあるトンネル・・・声を出して遊ぶのは定番。
中学3年の長男、高校2年の次女、大声で歌いながら歩く。よく覚えているな!と感心するほど、途切れずに歌う。祭日なのに、人に出合わないナァ〜と思っ
ていたら、女性の6人グループに出会い、急に黙る子供も可笑しい。少し上の渡渉位置の丸太橋が流されているから引き換えしてきた!とおっしゃられていた。
まぁ、自分の目で確認して来ます!と告げすれ違う。そのとおりに丸太橋は片方だけが岸についたままで流れと平行になっていた。よく見ると、浅い部分をつな
いで歩けそうなので、渡ると靴に水が入らずに渡れた。ひょいひょいと二人も付いて来た。沢づたいに、キバナノツキヌハホトトギス(尾鈴固有)を眺めること
が出来た。
「ここ、来たことがある?」と、次女が聞いたが、初めてだと思う。白滝の75mの落差を流れ下る水を眺めながら、お弁当を食べた。腰掛けている岩の周辺
には、今度はキバナノホトトギス(宮崎)が咲いていた。花や水や、自然の中にあるものを、自分の知識と感性で話す子供の話は、実に興味深い。もう、私には
理解できない事も多くなってきていた。
帰り道、黙って歩くのはいつもの事だが、三人三様に何が考えながら歩いているんだと思う。考えていて、突然に自分の世界の中の会話をするから、噛み合わ
なくて余計楽しい。なんか、山歩きの印象が無いまま車に戻ってしまった。でも、意外と子供達はたくさんの事を覚えている。登山日記になってねーなー。
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