「ついに」・・・という言葉がピッタリな感動である。そう、ついに家族と「通称:1スラ」を登ることが出来た。中学2年になった長男の腕力は、私を止める
にふさわしい力を持つようになった。取り付きとなる比叡登山口のトイレ横駐車場で身支度を整えた。怖がることも無く、淡々と準備を進める息子を見ている
と、男同士の付き合いが出来るようになった気がした。
1Pスラブ/50m/4級
雨
後の乾きを待ってのスタートだが、1Pはジクジクとしていた。濡れながら登った経験もあり、落ち着いてスタートする。簡単な凹角を5m程上ると、ホールド
豊富な階段状のスラブとなる。誰が打ち足したかハンガーボルトが2箇所増えていた。他にもあちこちにボルトを打ち込んだ跡ががある。比叡の初登であるこの
ルート上に、失礼極まりない行為に思える。立ち木でビレーし、息子を迎える。そのまま、ノーマルカンテへブッシュを移動。
2Pカンテ/45m/5−級
実に好きなルートだ。体が宙に放り出される感じが、とてもスリリングで、核心となる凹角気味のムーブが微妙だが、50cm程体を上げれば、すべて解決する。テラスに登り上がり、フォローを確保。問題なく登ってピースサイン!テラスで、お茶を飲む。
2P亀の甲スラブ/35m/4+級
ちょっとしたチムニーから棚に登り上がる所がポイント!ここにもハーケンの打ち足しがある。グッと右に回りこみ、特徴的な亀裂の入るスラブを快適に登
る。シングル10.5mmロープは、滑りが悪く重くなる。岩角のロープのひっかかりにも要注意である。問題なくテラスへ抜けるが、息子はギアの回収に手間
取り、しばし動きが止まった。棚から右に回りこまず直上してきた。
3Pバンド/30m/4+級
バンドを右に行き、コーナーを直上する。楽しい。
4Pスラブ/20m/4−級
フリクションバッチリのスラブを登ると、スーパールート核心部の取り付きテラスに立つ。
5Pフェース/40m/5+級
「後、何ピッチ?」と長男に聞かれる。「お父さん、ここは落ちるかも?」と言いつつ登りはじめる。以前、
クライミングを始めた頃、リードで落ちた経験のある場所だ。落ち着いて行けば数メートル先の棚まで何てことはない。棚に上がると、岩を抱くようにずり上
がって行く。フェースだが、落ち着いて行けば確実にホールドが見つかる。3ピン過ぎると、階段状になり後は楽勝!長男は、インクノットが外れず大変だった
そうだが、ギア回収も回数をこなし上達する事だろう・・・。要は、経験した程!というのは何事も同じ!って事だな・・・。
6Pスラブ/35m/4−級
快適極まりない最終ピッチ。川底から、向こうの六峰街道の山々がフルスケールで見える。高度感を楽しんで終了点を迎える。達成感を感じながら、コンテで稜線を歩く。雨になる。
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