西都山岳会が山行を実施する場合、集合場所は「中央自動車」になる事が多い。今日も、6時出発で中央自動車である。現在副会長をされているシズエさんのご
主人の会社である。三々五々に集まると、朝の挨拶をしながら私の車に5人が乗り込み、賑やかに比叡に到着した。到着したのは、西都山岳会のクライミング
ベース「麓屋」である。前日からクライミングを楽しんでいた先発隊6名と合流した。ここ(旧麓屋)は、地区の公民館をかねているので、今朝は地区の人たち
とその乗ってきた車が傾斜地の狭い車道にごったがえしていた。
分乗して鹿川キャンプ場の駐車場に向う。それぞれ、わいわいと支度をしているのに混じると、本当にしばらくぶりの大所帯を感じる。と同時に、少数での山
行を繰り返していると、なんだか落着かない感じもする。しかし、キャンプ場付近から沢に降り立つと、皆の慣れた歩きに、安心して行く自分を感じた。
沢は、幅は無いもののさすがに岩登りで有名な雌鉾岳に沿う沢で、スケールを感じて満足感に浸れる。次々と小滝や5m程度の滝をクリアしていく。日陰だ
が、水は心地良い水温だ。日頃、クライミングをしている連中は、さすがに微妙な所をクリアして行く!挑戦して行く!腹が減ったナァ・・・という状況の頃、
谷が開け、30m+10mの斜滝が出現した!あまりの美しさに、しばし呆然と眺めていたが、視線の先に雌鉾岳のスラブと坊主岩が見えているのに、さらに感
動が増す。「昼飯にしようや!」と、ザックをおろし、存分にその景色を楽しんだ。
再出発!斜滝は2段になっていて、上部は非常に厳しい登攀を強いられた。岩組?だけが、左の段違いの浅いクラックへと取り付き、他は滝の右を巻いた。
リードがロープをフィックスしてくれるまで、浅いクラックにウェーディングシューズで耐えるのは、それはそれは恐ろしい感じだった。ここを抜けると、ナメ
に続き斜滝10m+斜滝30mをクリアして、鉾スラブの取り付き近くの登山道が交差していた。ここからは、沢の流れを忠実にたどることが厳しくなる。深く
V字に切れ込んだ谷は、いつも鉾スラブから見下ろしている谷だ!他にあるまい・・・と思える程の自然の造形美の中を進んでいる私達が、なんと幸せなことだ
ろうと思った。中でも印象的なエメラルドグリーンの滝つぼで流れの下まで泳いでみたが、私なんぞのひ弱な男には『とりつくしまもない・・・。』圧倒的な形
相であった。巻くも進むも、上級者の世界となる。終始トップを行くnamaさんの貫禄を感じる。全員が、次に登山道の渡渉点となるナメに立ったとき、満足
の感動が込上げてきた。
「こっから下山しようや!」の掛け声に、皆、沢靴を脱ぐ。遡行中もそうだったが、下山ともなるとお喋りの声は山の津々浦々にこだました!鉾岳の名花「ツ
チビノキ」に時折出会いながらの下山は、この上ない。右を見れば、あの大スラブである。また、時々、なんとか休みを合わせて皆と歩きたいなぁ〜と、思いな
がら鹿川キャンプ場に到着した。
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