強い憧れと、チームとして通り過ぎるわけにはいかん!と感じていた。それは、リード出来る相棒がいての話であるのだが、いよいよ取り付きに立つ事になった。
通称「2峰正面」と呼ばれているこのルートは、比叡開拓時代の象徴として、君臨している。1967年、「三澤澄男・日高英雄・佐々木睦人」3氏により開
かれた・・・と記録されている。人工ルートの全盛だった頃の話である。10年ほど前、私もよく存じ上げている日高英雄さんと、所属会の会長がボルトの打ち
変えをしながら挑んだ!時間切れとなり岩場でビバークしたのを、私達仲間が、深夜この2峰下に集結した。携帯電話を持っていなかった頃の話だ!今年始め
に、「鹿川・庵」の方たちの献身的な整備の御陰で、生まれ変わった「正面壁ルート」である。全国のクライマーが触れたいに違いない素晴しいルートであ
る!!
0P・・・20m/5.7(5+級)
フィックスロープをたどり取り付きに行っていたのを、その下部のスラブにルート取りしたものだ。最初の3ピンまでが楽しい。チト微妙なバランスも要するので、舐めてかかるとイケナイ!
1P・・・40m/5.10+(7級)・A0
有名なハング越えではじまる厳しいルート。アブミも使い慣れないと、腕力に頼ってしまうので要注意!フレー化されたそうだが、私はアブミ!!断然アブ
ミ!!人工とフリーの切り替えが恐い!アブミに徹すれば、快適?いや・・・スケール感にビビッてこの先に思いを馳せてしまう。
2P・・・35m/5.10-(6+級)・A0
どう登ったか記憶に無い。ここはどのピンにもアブミを架けた気がする!しかもフォローなのにだ!
3P・・・45m/5.10-(6+級)・A0
所属会の会長が、切り抜けるのに、極小岩角にナッツワイヤーをかけそれでアブミに立った!と聞いていた。そこには、すでにピンが打ち足されていたが、賢
明な処置だと評価したい。ハング下のトラバースも豪快だと聞いていたが、豪快というよりこの上ない高度感で震えそうになる。
4P・・・35m/5.9+(6級)・A0
ツルンとしたスラブのボルト連打から始まる。ここのフリー化が最終課題だそうだが、私には問題ではない。確実にアブミに徹するのみだが、そこを過ぎる
と、今回追加されたルートで実に楽しい。終了点も「よくみつけたな!」という快適なハング下テラスである。泊まってみたくなる。
5P・・・35m/5.10-(6+級)
いよいよ仕上げか!と思って気を抜くととんでもない。出だしのきついスラブをやり過ごすのに気合いを入れなおさなくてはならない。整理登攀とも言える後半の快適なスラブを抜け終了点に立つ。感無量。
実に6時間50分も費やし、今後の課題は大きくなる。車道の近い、比叡だからこそ!と思うが、下山報告した会長より叱咤される。しかし、子分が登って嬉しそうにも聞こえた親分(会長)の声でもあった。
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