ニードルを登ってから「サマーホリディ'83」ルートへと思っていたが、午後からの雨の予報と、吹く湿った風に北面を目指す。去年から、「北面も挑戦し
てみましょうか?」などと相談はしていたものの、最近はあまり登られていないとの情報が先行していて、やはり心理的に足が向かずにいた。週更けに、山岳会
の会長が「サマーホリディ’83ルート」を登った報告が会のMLに流れた。
・・・で、取り付きに立った。登る人が少ないのは、ブッシュの介在ですぐに判る。取り付きにハンガーボルトが打たれていたものの、上に錆びたハーケンが
1本しか見えていない。変形凹角から、レイバックで直上し、一旦右のスラブに出る。続いて左斜上にスラブを登り、左角のトゲだらけのブッシュを3mほど登
り、右トラバースする所がポイント。2mほど右に移れば、ホールドが増えビレー位置へ・・・。
2Pはルート核心のピッチ。クラック主体の、実に渋いルートだ。前半は、スルスルとハング下まで行ける。ただ、このハングの乗り越しがキツイ。ハング下
にあるRCCボルトに、眺めのヌンチャクをセットすると、小松の親分はハング下のクラックにフレンズでバックアップを取った。足を滑らせながら、悪い体勢
のままハングを乗り越して行った。フォローのタエちゃんは、少し下のハングの末端を捉え、右に回りこんだ縦ホールドと岩角を抱くようにズリ上がった。私
は、小松の親分のセットしたフレンズにA0になりながら、ハング上のカチに手を伸ばしたが、支えきれずに墜落。とうとう登れず上からタエちゃんのメイン
ロープを垂らしてもらい、【通称:ゴボウ状態】のロープクライミングとなってしまった。相当落ち込んでしまった。
3Pは、ホールド豊富でAピークに到達。風に吹かれて食事をしたが、すがすがしさより、結構、重い気分のままでいた。遠く、雨雲が此方に迫ってくるのが見えていた。辛いクライミングとなった。
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