まだ、そんなに調子が良くないだろう・・・に、小松の親分は比叡に来た。向かう車中で、「どこを登りますか?」の会話の中で「3峰か、ニードルを上まで抜けるか・・・。」と言った。
ニードルの取り付きに立つ。凹角を行くノーマルの1Pからスタートする。1ヶ月ぶりの岩だと言いながら、上手な登りだ。リュックのベルト位置が合わないのか、入念に調整したりハーネスのギア位置を何度も確認した。
2Pは、6級のニードルの有名なフレーク登りである。外れなくなっているフレンズのスリングは、ばらばらに繊維がほぐれてしまっている。フレークを掴み
あがる前に、一つフレンズをセットする。フレークのスタートが少し微妙だが、思い切り掴みあがると、一旦安定足したスタンスに立てる。そこで残置フレンズ
のぱらぱらスリングにロープをかけ、今日はもう少し上に、もう一つフレンズをセットした。ここからフレークの溝は次第に細くなる。右にフィンガートラバー
スとなるが、ポケットにスタンスをとり、右の岩角を掴みポケットの足を右から左に乗せ替え、右のコーナーに右足を踏ん張り体重を上手く右に移せれば、右の
岩角から乗りこせる(理想は・・・)。私は、その後あるハンガーボルトから上の直上が、スタンスが決まらず、またガクガク動く岩が怖くて嫌らしく感じた。
3P、頭に抜けるピッチ。クラックからスタートするが、コツを掴めば安定している。それをやり過ごすと、楽しいスラブ登りで40mの楽しいルートであ
る。頭でしばし後半のルートを確認し、ラッペル体勢に移る。そのまま下山する場合には、頭から見て左下方へ30m程度降りるが、後半ルートへの取り付きは
鞍部の右ぎりぎり15m程度降りる。風があり、投げたロープが左に大きく流れてしまい。回収時、引っ掛かってしまったが、私が回収のために割れ目を少し下
り簡単に回収できた。念のためメインにバッチマンノットをして下る。
小休止の後、4Pへ・・・いよいよ初見となるルートである。微妙なスラブを登り、草付バンドを左へトラバースする。慎重に行かないと、かえって草付は危険な気がした。
5P、たぶんここを登るのだろう・・・という感じで、古いリングボルトがある。少し上のハングには古いハーケンに残置スリングがあるが、どうも嫌な感じ
である。案の定、クラックを微妙な体勢で登る感じだが、バランスがとりにくく難しいピッチとなる。フレンズにA0になりながら、なんとか小松の親分は抜け
る。「ここかな?」と言いながら、新しいリングボルトの平行ピンでピッチを切ったが、なんとも不安定な立ち位置となる。アヘアヘ言いながら、限界のクライ
ミングとなるフォローの私だが、なんとかA1にならずに切り抜けたことが成果?だろうか!振り返ると、すでにニードルの頭が下に見えた。感動だった。5m
ほど上ると安定したテラスに正規平行ピンがあった。中間で切らずここの方が安心な気がする。
高度感あるニードルの景色を存分に楽しんだ後、最終6Pへ向かう。古いハーケンは右にハング越えで上に伸びていたが、どう見てもA1?の感じだ。左斜め
に出て行くのがルート図の5級だと話し合いで決定!念のため少し上のクラックにフレンズを2個セットし上ると、古いハーケンを確認できた。フェース状だ
が、階段状なので快適にAピークへ抜ける事ができた。
やはり、その充実感たるや大きかった。すでにAピークからはニードルの頭は見えなくなっているが、迫力ある残像は、脳裏にしっかり焼きついていた。昼食を取り、第一スラブを懸垂下降する。
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