長男だけが起床時間に起きてきた。姉2人は、しっかり夢の中・・・。何度起してもベッドから出てこない。現地に着くまで2時間は車で眠れるのだか
ら・・・・・との誘い言葉でようやくリビンクに来た。朝食を簡単に済ませ、おにぎりを8個持って自宅を出た。
途中、いつもの門川町のコンビニへ立ち寄ると、子供達も起きて店に入った。それぞれに、食べたいお菓子を一つ手に取りレジに並んだ。私は甘そうなクロワッサンを10個買った。
家を出るとき曇っていた空は、綱の瀬川が見える頃には青空に変わっていた。登山口となるトイレ横の駐車場周辺は、たくさんの車が止まっていた。平日ばか
りの状況しか知らない私には、なんだか賑わっているのが不思議な感じがした。さすがに県外ナンバーの車ばかりで、比叡の岩の人気が判る。
なんとか、1スラ取り付きへ入るところのスペースに車をねじ込む事が出来た。私と子供3人分の必要な道具を、私が確認しながら準備した。1人ずつのハー
ネスを装着する。準備している横を7人が1スラ方面へ、3人がTAカンテなどがある方面へと入って行った。それから15分ぐらいかかって我が親子チームも
出発である。目標タイムは・・・と、頭の中で考えていたが、遅くても4時までには下山できれば・・・と、気負わない事にした。
取り付きまでは、杉林をいきなり急登である。終始文句を言う長女の後を、「ゆっくりゆっくり。」となだめ、「お前にビレーしてもらわないと、今日の成功
は有り得ない!」とおだてながら歩いた。次女と長男は、ずっと先に行っている。取り付きの壁が見えたときには先行の3人パーティの方のリード者が、今から
登ろうとしている所だった。近くに座り込み、子供たちはシューズを履き替える。私はギアをセットし、ロープをさばいた。先行3人パーティのフォローが登り
始める。子供のハーネスにロープを結ぶ。ギアの回収の仕方、セルフビレイの大切さ、ロープのさばき方を一通り言葉で説明する。長女の確保器にダブルロープ
を通すと、どちらの手で止める?と聞く。彼女は、右手でグッとロープを引いて見せた。「登るよ!」「うん!」。3ピン目で、ロープが左に流れる。そこにだ
けヌンチャクを2つセットし、長女・長男のロープをそれぞれに通し、下にいる子供たちに、ここでの注意を促した。長男が登る。続いて、長女が登る。3ピン
目には次女のロープをクリップさせる。最後に次女が登って1Pが終了した。
次女が、「うぁ!紅葉が見える!綺麗やネェ!」と、嬉しい事を言ってくれた。ロープを逆に手繰って私がリードする体勢を整える。少し、ロープがねじれ気
味だが、子供に任せて私はさっさと登り始めてみた。ビレイしている長女の横で、長男がロープの送り出しを手伝っているのが見える。少し早く登ってみると、
必死でロープを送り出す長女が見えた。次女は、自分につながるロープを混じらないように横にたぐっていた。順調に2P・3P・4Pとピッチを重ねる。4P
のテラスで小休止をする。あと5Pと、短い6Pで終わりだと言うと急に子供たちは賑やかになった。
終了点で、記念写真を写した。皆、いい顔をしていた。下降路まで、稜線を移動する。大人同士ならロープ無しだが、最後まで緊張を持続するために私と最後
尾の次女が15m感覚でつながり、その間に長男と長女がカラビナに通しただけでつながって移動した。
下降路の横の記念碑の建つ展望所で、もう一枚集合写真を写し下山する。千畳敷に到着すると、次女に見せてあげたかった「案内碑」がある。「ほら!この写
真見て!」と言うと、自分が写っているから嬉しそうにしてくれた。特別な事をしたわけでもなく、当たり前の様にいつもの仕草の子供たち・・・本当にたくま
しく成長している。「ありがとう!」
|