水曜登攀隊・雌鉾シリーズ「第5弾」
雌鉾スラブ初登ルート「KYCルート」へ行って来ました。
宮崎のスラブ登攀の口火を切ったと言われるルートです。
登攀難易度のどうのこうのと言うより、「岩を登る」事を純粋に楽しめた感じです。
それは、やはり開拓された方への思いを辿る旅でもあります。
前々回登った「四月の風ルート」の50mぐらい上流でしょうか・・・
特徴のある取り付きの岩が確認できます。
ルートはここから5本も派生していますが、ルート図と見比べると極めて明確であります。
【1P・6+級(IV/A0)・25m】
川床で登攀の身支度を済ませ、ロープはセットしないまま5m程登り上がった所がスタート位置。少し不安定なので要注意。雌鉾は、下部と上部に傾斜の強い
難しい所があるが、正にこの取り付きからは右にかの「四月の風」の絶壁を眺め、右に迫力のある「大滝」を見据えて取り付くのである。岩肌のざらつきや苔を
見ると、登る人の少なさを感じる。いたって傾斜の強い壁に、打ち替えられた?RCCボルトと初登時?のリングボルトをつないで直上(やはりA0)する
と・・・難しいのは4本目まで・・・バンドへ到達する。青空が出たぜ!
【2P・3級・25m】
バンドを左に移動し、ちょとした草付のテラスに登り上がる。ただ、少し下目トラバースしないとホールド・スタンスが消え、苔たスラブのトラバースとな
る。フォローだし・・・と、エイヤー気分で行った私は、ちと5級程度の怖さを覚えた。上から小松の親分がニヤニヤしていた。
【3P・4+級・35m】
快適な4級気分で見上げた3P。真っ黒に苔ている。ルート図が草付きすぐ下のルート取りに見えるのと、交差するスプリングスカイルートに入り込まないの
を気にする余り、直上気味に行った小松さんが、進退窮まる・・・。立木にスリングで支点をとり一端ロープダウンで、顕著に右上にカーブするバンドにルート
を変更する。「ここがルートじゃね!」と言うも、私も立木まで行かねば支点回収できないのでニジリニジリと、苔を登る。そこからは快適に振り子でルートに
戻りガシガシと登る。ノーピン。
【4P・ブッシュ・50m】
「ブッシュ」と書いてあるルート図。見れば間違いなくブッシュ。しかも50mと書いてある。「ブッシュ」「3級」「4級」と言えば、登場するのは私であ
る。ルートを見つけながら・・・ということ以外、汗をかくぐらい。フォローで上がってきた小松の親分に、「このブッシュは、6級は間違いなくあるなぁ
〜!」と言ってみたが、返事は貰えなかった。小休止。当然ノーピン。
【5P・4級・35m】
「積さん行きますか?」と譲って貰った「4」のつくグレードルートだ。見上げれば、中央バンドまでピンは見えない。「そうっすね!上部に奮闘してもらわ
んといかんので・・・。」と言うことで、スラブの貴公子と呼ばれている?いない!私がヒタヒタと登る・・・ノーピンは考えなくても大丈夫?フォローの小松
の親分は中間ぐらいまで、立って歩いて登ってきた。スラブ直上のフォローは楽なのを気づかれたカモシレナイ・・・と少し心配になったが、「よし!ここから
楽しんで行こう!」と、俄然リードする気満々なので安心した。
【6P・6+級(IV+/A0)・40m?】
傾斜のきついスラブを直上。小松の親分がA0。フォローの私は「好きなアブミ」でちょっとしたバンドに上がり、左に10mほどトラバースしてフレークを
掴み上がる。小松の親分は上手くカムをセットして上がっていった。フォローの私は、特に、特に、特にフレークやクラックやチムニーを苦手とする体型なの
で、しばし息を整える。コツを聞こうと思っていたら、小松の親分から「ここは、あえて何も言わないから、楽しんで下さい!」と先を越された。縦のフレーク
がだんだん横にカーブする所で、いったん右のスラブにスタンスをとる。アンダーに持ち替えて・・・・と思うが、上がない。「上からニヤニヤした小松の親分
の顔が見ている。」厳密には、ブッシュがあるのでそれを掴めば簡単なのだが、とごかに糸口があるはず・・・とアンダーのまま立ち込むと、草下に隠れるよう
に「大好きなガバ」があった。掴んだ瞬間、「正解!」と声がかかった。少し嬉しかった。フレーク付近には当然ピンは無い。正規ルートは50mと記されてい
たが、早めに平行ピンあり。
【7P・ブッシュ・10m?】
左にトラバース。この草付きも、そのうち無くなりそうだなぁ・・・と進むと、直上のピン。小松さんにも来て貰い、しばしルート談義。すぐ左上のコーナーが、間違いなくルートみたい・・・と合意。
【8P・??・5m】
上のガバを掴み上がり、左にトラバースする。新しく打たれているRCCボルトに支点を取りヌンチャク掴みで左のブッシュを掴みテラスに上がると、コーナー下に立派な確保点が出てきた。
【9P・6+級(V/A0)・45m】
見るからに目が回りそうなコーナーである。でかい!そして、圧倒的。見ると、どこに手がいるのだろう?と思った。草はたくさん生えている。「とりあえず
行きますわ!」コーナーの下をアンダーに握り、凹角に立ち込む。右足が角に立てる様になっていた。左のボルトにロープを掛けるとホッとした。レイバックす
るコーナーの隙間が枯葉と土で埋まっていた。準備の良い小松の親分、この体勢のまま歯ブラシで掃除を始めた。その土と枯葉は、ロープから手を離せない私に
降りかかるのである。上を向いて何か言おうとしたら、口にジャリジャリと入ってきたので、黙って耐える。掃除後、じわりとレイバックで上に行き、コーナー
の内壁にあるポケットに立ち込めば、コーナー外のピンに届いた。たぶん、このピンが阿万会長の話していたピンだなぁ・・・と思いつつ、あのピンが無けれ
ば、決死の乗り越しであったと思う。
このコーナーを乗り越してからは、快適なスラブ登りで、あまりにもあっさりと2の坊主下に到達した。
【10P・3級・30m】
坊主の基部を通り、3の坊主との間に行く。リングボルト1本あり。ただ、声が届かなくなるので、あらかじめ合図を決めておくと良い。
【11P・4+級・15m】
2の坊主の頭が、ルート終了部となっている。いつもは、クラックを直上し、岩を抱く様に乗り越すか、アンダーで左に少し出て登るのだが、小松の親分は2
の坊主と3の坊主の隙間・・・通称「インディアンチムニー」を登って終了点を迎えた。空身だったので、リュックを引き上げ、私は通常ルート
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