水流渓人のページ「登山日記」No.201
 
2005/10/05

「第一スラブルート」(雨の登攀訓練)
比叡1峰
   
雲に包まれたルート 濡れたスラブ 流れの中を攀じる
 

  
 状況は、霧雨。第1スラブはすっぽりと雲の中である。
 これから本降りになるのは判った状態で登攀具を身につけた。
 1P、黒く湿っているのは苔である。小松の親分が、「行きます。」と取り付く。案外、最初の所だけが微妙に滑るが、5m直上すると階段状でホールドもガ バで思いっきり行ける。かえってビレー位置近くの草付きの方がいやらしい。登り上がると、異常な湿度で汗が吹き出る。「蚊がたくさん!」と報告を受ける。
 2P、草付き大テラスは、蚊の餌食である。小松の親分が左に回り込みスーパールートのスラブへ向かう。難しくは無いが、いつもは高度感が一気に増 す・・・のだが、今日は雲の上を歩いている気分である。ついもは途中でピッチを切っていたが、まだ効くリクションに45mロープを延ばして平行ピン。フォ ローの私は、案外怖くて体が張り付いているのが判る。以上に指先・足先に力が入っているのが判る。
 3P、そのまま亀の甲スラブ下のテラスまで私がリードする。リードの方が、より神経が高ぶるが、ここは難しくもなく上がれた。左に見えるはずの豪快な ニードルも、眼下の綱の瀬川の河原も見えない。霧雨から雨に変わる。休憩するまもなく、亀の甲スラブへ。
 4P、小松の親分が、亀の甲へのバンドへ豪快に上がる。するするとロープが出て「登って来い!」のコール。亀の甲スラブは、ザラザラの上にホールドも豊 富である。ただ、この日私はチムニーからバンドへ抜けるところが体勢が悪く、どうなることか・・・と思った。怖さ故、チムニーを上がり過ぎてバンドへ乗り 移る場所を間違えていたからだ。情けない。
 5・6P、私がリードで簡単なスラブ・・・のはずを取り付く。本降りとなる。中間部のフレークを過ぎると、ピンがない。フレンズで支点を作ったものの、 雨の中20mランナウトしてビレー位置。ザーザー降りだ。とにかく、フリクションで立ち込むところが怖いし、実際滑る。当然だろう。
 P、ここからスーパーの5+級を行くつもりでいたが、この降り方では諦めざるを得ない。くやしそうな小松の親分だが、ケガしては話にならないので、強く ノーマルを私が主張した。それでも、フリクションクライムのこのピッチと本降りの雨は、辛い登攀となった。
 8P、いよいよ最終の登りとなる。いつもは私に有終の美ピッチとして頂く所だが、ここは慎重に小松の親分に言って貰う。5級程度に感じる。

 いつかは、訓練としてやっておかなくてはならなかった「雨のクライミング」だが、危険度も困難度も相当に増すことは確実だ。毛羽立つ9mmのロープの重 いこと・・・。下降路までは、コンテで行くことにした。こんな所で滑ってはしゃれにならない。安全こそが、後に続く確実な方法と再確認する。ますます激し くなる雨足に、汗もかかず千畳敷を迎えることが出来た。あまり疲れはしなかったが、精神的な疲労は大きい。パンツまで濡れたので、着替えて車内で遅い昼食 をとる。
 

写真レポートのページへ

  
自宅6:20----都農神社7:30----比叡トイレ駐車場9:50----登攀開始10:30----終了点13:40----下山----駐車位置14:30----帰路----日向お舟出の湯----自宅17:20
 
参加者 ぱぱ まま 長女 次女 長男 次男 ゲスト
出欠           西都山岳会
年齢 46           小松の親分
ピーク合計 254            
 
Copyright(C)  水流渓人 All Rights Reserved
 
inserted by FC2 system