「沢に行こうかァ〜!」と言っても、返事が重いのは、風邪を引いて鼻水が出ているからだ。かくいう私も、鼻水止めの薬(ダンリッチ)のせいで、鼻がカパ
カパ痛くて頭はボーっとしていた。歩いていても自分の足と地面に、もう一皮あるみたいだ。ようやく、こうこうしてても時間は過ぎていくから・・・と焦り始
めてようやく道具の準備が完了した。
あまり水に浸からなくても・・・正確には、滝の直登が困難だから「巻き」を多用しなくてはならない【袋谷】に決めた。しかし、3年ぶりの記憶は実に断片的で、どこも繋がらない感じだが、行けばなんとかなるかなぁ・・・と思った。
だから、不安の無い様に装備は一通り装着している方が良い。大人の多くない遡行は、やはりリスクは大きい。とにかく慎重に行動することを意識した。
沢に下り立つと、そこは別世界でひんやりした空気に包まれている。子供の背丈ほどの落ち込みは乗り越すが、冒険は止める。ゴルジュも、以前登った側面
に、子供とママを確保するためのロープをセットした。次男はリーチが足りずに、引っ張り上げた。巻きの道も゛、実に不安定な所が多く、緊張の連続でもあっ
た。しかし、滝を越すたび、渓相は、しばしやさしい流れを見せる。リュックに忍ばせたロッドにルアーをセットして、子供に教えながら歩く。なんと、次男が
21cmの幅広ヤマメを釜から光らせた。慎重に抜き上げ記念写真!長男もガンバルが、とうとうヒットしなかった。私が3匹ゲットし、夕食のおかずに一品を
追加できた。
今回の「巻き」は、相当な急登ばかりで、ルーとファインディングも神経を使う。以前の記憶は、結構当てにならず、その都度、今の視野で考えて突破する。
下降に一箇所微妙な所があり、迷わずロープで確保して川に下りた。ゆっくりとしたスピードの遡行は、途中の景色を存分に楽しめる。渓の中でたくさんの蝶の
乱舞にも出くわした。精悍な顔の幅広ヤマメにも会えた。
ある程度の時間が過ぎ、林道が左に現れてきた。(正確には、藪でまったく見えなくなっていた。)間違いなく、3年前には、ここから林道に登りあがった場
所だと思った。思ったら、とにかく藪を掻き分けるしかない。私の後に次男・長男・ママと続く、背丈の1.5倍以上もあるカヤと棘のあるノイバラを掻き分け
た。30分、イタイイタイと掻き分けては道を作る。フッと正面が明るくなったら、林道に飛び出した。私の後から続く次男・長男・ママが、藪から飛び出す都
度シャッターを切った。皆、いい顔をして、靴もスボンも泥だらけになり、上半身には枯れ草が張り付いていた。
帰宅して、疲れた体を湯に漬けると、ヒリヒリとした。また、印象深い家族沢登りが出来たと思った。
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