1P・・・・・VII- 45m
これは、スラブ登りの集大成とも言うべき厳しさであった。いや、そこに・・・そのルートを抜いた凄さに、しばし圧倒されっぱなしであった。そう、最初の
ピンに届かないのである。最近の若い子達が言う「びみょう〜」・・・、そんな軽い言葉ではない。岩のザラつきをスタンスとし、岩の粒をホールドとす
る・・・と言っても過言ではない。
エーゼロで、しかも何度もレストを取りながらでも45mをリードしきった小松の親分に、心底敬意を送った。それは、私が約束されたフォローを許されるか
らだ。比叡に珍しいペツルのボルトではじまるこのルートは、其れが故しばしの安堵感を受けてしまう・・・しかし、それは2ピン目で現実を知ることとなり、
充分に錆びたリングボルトにすべてを預ける事となる。微妙を通り越し、この上ない緊張を45m持続しなくてはいけない。それをリードで抜けたのだから、や
はり小松の親分の強さであり、上へ抜ける執着である。
2P・・・・・VI+ 45m
快適なスラブであるが、数箇所バランスを要する箇所があり楽しめる。私は、ここを降りている。滑落・骨折して降りている。今日は、その岩を見据えて登りつめる。
3P・・・・・V 45m
つまり、ここが滑落したルートである。たくさんの後悔や、たくさんのもしを考えてはみた。そして、見上げてリードをする事から逃げている自分がいた。ヒ
ビッているのが正直な気持だが、冷めている自分も判っている。なんだか、少しぎこちなくリードした小松の親分だか、それが実力でない事は私が充分判ってい
る。
フォローしてみれば、少しパワーは要するが、少しの我慢で上に抜けた。してやったり!とも思わない。さぁ、次の挑戦はどのルートなのだ?と、意気込む水曜登攀隊がいた。
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