西都市街地から国道219号線を、村所・人吉方面に走り「銀鏡トンネル」手前で右折する。銀鏡の部落が途切れる頃、左「烏帽子岳」、右「南郷村」の分か
れ道である。林道を走る事数分で、看板に従い左の砂利道へ入る。ダート走行を楽しみながら、カーブを曲がり高度が上がる。杉林に入る頃左に登山口の看板が
見えてきた。
杉林の中をリズム良く登る。尾根に出会うと自然林の中となる。時折左に広がる景色を楽しみながら、吹き上げる風はまだ涼しい。かつて、この烏帽子岳で
「山開き」を実施した事が有る。その頃の案内板も名残として見かけるが、殆ど新しく替えられた合目表示の看板が順調に現れては過ぎていく。5合目が過ぎて
「ししの平」である。広がる視界に、しばし休憩するには絶好の場所である。ママも、速くなく立ち止まる事ないスピードで付いて来る。
ししの平を過ぎると傾斜も急になり、高度が稼げる。岩場交じりの登山道は、左側が大きく切れ落ちているので、要注意である。8合目付近で、岩場に咲くア
ケボノツツジが姿を現した。写真に収めようと、しばしルートを外れて岩場の立木伝いに回りこもうとしたが、あまりにももろい足場と、おぼつかない左足と、
近づいてもいい角度にならない事に気づき断念。帰路、上の岩場を回りこんでみる事にしようと思い、さらに進む。
あっけなく山頂を向え、時計を見るとほぼ標準タイムであり、この足で、しかもスタミナ切れもなく歩ける事に、少し嬉しくなった。ただ、骨折した箇所周辺
の筋、特に足首は安定感が無く、時折、こねたみたいにカクッとなり痛みが走った。展望の良い山頂で、周辺の山々の名前を言うのは楽しい。しばし、ママと言
い合いしたあと、近くに咲くアケボノツツジの見える場所で弁当を食べた。
昼食後、伐採により大きく開けた西側斜面へ行った。正面に大きく、天包山・市房山・石堂山・樋口山と鎮座している。すぐ下まで延びている林道が、実に残念だが楽しむ者とそれを糧にしている者との価値観の違いである。
下山は、足首には少し楽である。膝も痛みが無く、歩きやすい。8合目付近のアケボノツツジに近づき、岩場に突入してみた。やはり、浮いた岩と不安定な立
木をやり過ごして上に立つと、ここもやはり上手く写真を取れる様な場所ではなかった。しばし、慎重にルートを見つけて降り、登山道に戻った。後は、ほとん
ど立ち止まる事無く登山口へ辿り着いた。
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