小林市内から見上げた霧島連山は、くっきりと見えていた。左から高千穂峰・中岳・新燃岳、獅子戸岳を隠すように夷守岳、下に矢岳・竜王山、そして薄い布を被せた様に雲を被せて韓国岳、最後に甑岳である。青空に映えて、実にいい気分だ。
今日は、冬休み最後なので家族全員を考えていたが、中学生の娘達は明日が課題テストらしく、留守番を宣言していた。まぁ、家にいても大して勉強がはかど
るわけでも無いだろうが、親のいない娘2人の自宅もいいもんだろう・・・と、さっさと支度して出かけた。
生駒高原から道は上り坂になる。カーブが連続し一気に高度が上がる。左に韓国岳、右に甑岳となる鞍部にさしかかる。やはり韓国岳は5合目当たりから上
が、すっぽり雲の中だが、その下に続く樹木が樹氷で真っ白である。ママと長男・次男が、車内で一気に「雪遊び!」と叫んだ。この時点で予定していた「甑
岳」が中止決定した。
韓国岳の硫黄山登山口付近の道路脇の駐車スペースに移動し、11時半の時計を眺め「もう、車内で昼食を済ませて、とりあえず雪があるところまで歩こ
う!」という事になる。本当に体調の悪いママが心配だ。空身でダブルストックにさせる。とにかくゆっくり、しばしゆっくりとしたペースで歩き始める。3合
目を過ぎると次第に樹氷が見え始めた。まだ滑りはしないが、前もってママには4本爪アイゼンを装着させる。だんだん雲の中に突入すると、一気に銀世界と
なってきた。5合目を向かえてママの体調を確かめる。ここで長男にも簡易アイゼンをつけさせる。私のリュックには6本爪アイゼンがあるので、行けるところ
までは装着しない事にして歩き始める。皆、山頂を目指す気持だ。周囲は素晴らしい樹氷である。
だんだん風が強くなるが、足は止まらない。ゆっくりだが、順調である。8合目を過ぎると、頬を打つ風が痛く感じる。視界も悪くなる。後少しで山頂標識と
思えば気も楽だ。子供は「雪遊びどころではない・・・」といった雰囲気に、少しガッカリしていたが、お互いの髪やまつげや帽子や服が凍り付いたのが面白い
様子だった。装備がしっかりしているので、多少の寒さや風には対応できる。対応できると、また違った貴重な体験が出来る。次男は、風に押されそうに歩い
た。長男は初めてアイゼンを履いた。
山頂標識で写真を写すと一気に下山する。ママの体調も崩れない。ママの髪が凍り付いて面白い造形になっている。ゆっくりとしたペースだが、登り2時間、
下り1時間。登山口を迎えると吹く風が暖かく感じてしまう。長男5年・次男3年の息子組・・・はしゃぐ様な楽しさの表現もしないが、登山を嫌がることもな
い。そう言えば、長男は元旦恒例の「今年の一言抱負」で、私ともっとクライミングに行きたいと言っていた。
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