別ルートを登る仲間達と別れ、私達親子は1峰に残った。目指す「TAカンテルート」は、駐車場が直接入山する。5分歩いて、車をロックするのを忘れたの
で、私だけ空身で戻る。いきなりの登りは、ウォームアップにいいかもしれないが、結構息も切れる(-_^;
【下部】4-?・・・ロープを結ぶ。息子のハーネスに結びながら、諸注意をする。初めてATCを使う。初めて私を確保する。ここで、彼の登りを確認するが、怖がらずにいいバランスで登って来る。迷わずルートへ向かう。
【1P】4+・・・先行パーティが取り付いていた。せめて息子を危険な状態から解放するために、テンポ良く登りたかったが、仕方ない。しばらく待って、先
行のフォローが上がる尻から登りあがる。ルートを確認せずに来たみたいで、質問を浴びるが、フォローする息子の動きから目を離す訳にはいかない。ここが、
TAカンテの核心になるのだが、スムーズに上がってきて驚いてしまった。登りあがって振り向き、高度感に少し緊張している様子である。
【2P】4-・・・草つきから、階段状を登り左トラバースでカンテの基部に至る。息子とのコールが確認しにくく、何度か大声で怒鳴る。先行パーティを避け
て「3KNスラブルート」へ転進しようと思い息子に話すと、次女である姉が登ったルートを登りたい!と主張するので、そのまま待ちながらの登攀となる。
【3P】4・・・フリクションばっちりの快適なカンテを45m登り、落ちそうな岩陰で確保。フォローする長男も、グイグイ登ってくるが、先行さんが上のビ
レー位置を通り越してしまっているのをアドバイスしてあげる。おかげで、息子のロープを緩めがちになり、少々嫌な顔をされた。落ちそうな岩を心配して触り
たがらないので苦労して変なムーブで乗り越していた。
【4P】4・・・カンテ最高の高度感が楽しめるピッチ。子供はフリクションクライムは初体験なので、顕著なホールドが無いとずいぶん怖いらしく、岩に体が
へばりつく。体を起すようにアドバイスするが、お腹から上をのけぞらせるだけで、越から下が岩に張り付いているのでバランスが悪い。課題が見えた気がし
た。しかし、このスラブの感覚は、人工物では感じとれないものであり、回数をこなす以外に無い気がした。
【5P】4+・・・ルート最後のピッチである。スラブ特有のフリクションクライムから、顕著なクラックをつないで登る楽しいピッチである。クラックは面白
いのか、最後だけいいバランスである。傾斜が増せばそうもいかないだろうが、案外、体型が細身で水泳で鍛えているので、私より遥かに上達が早いと思
う・・・。後は彼が続けるか?である。
一応コンテで、稜線に抜け、下降路まで稜線を歩く。下降路付近に座り、弁当を食べる。何か異質の連帯感を感じたのは親父だけだろうか・・・。下山し、仲間達を待つために3峰下の水場へ駐車すると、もう息子は眠っていた。
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