4月後半以来、何度か試みた家族登山も、都合や天候で中止ばかりしていた。夏休みも、どうしても「登山」でなくても家族で何か出来ればそれでいいと思っ
ていた。重ねて、ママの体調も思わしくないままだったが、「体育の日」を前にして、7年前の家族登山を始めた頃、まだ長男が3歳で歩いた霧島縦走を思い出
していた。とにかく、ママの体調次第で、「池めぐり」でも、「韓国岳」往復でも、はたまたお弁当だけでも良かったのだか、大自然に身を置くことで何か転換
できるのでは・・・との期待も強かった。
案外スムーズに子供達の参加も決まった。家族全員で続ける「何か・・・。」それが登山であるだけだ。強制?そう外から見たら見えるのだろうか?家族全員
が登山する我家がめずらしいのか、よくそう言われる。子供達も大きくなるに従い、それなりの都合も出てくる。まして、周囲に家族と登山するなどという友達
がいるはずも無い。でも、かみ合わないズレも、少し強行することで、8年続く家族登山をすることで修正されるのである。たくさんの言いたい事を言い聞き、
成長を感じ、最終的には楽しい時間と充実した達成感を味わえるのである。姉達が使った登山靴やリュックを弟達が使い、ママの服や靴を娘達が使うようになっ
てきた。やもすれば、少しの変化も感じずに過ぎる日常も、この自然の中に身を置くことで、たくさんの再確認をすることができる。
「お父さん、ほら!リンドウ。」
次女が見つけて教えてくれる。
家族6人での縦走、それは次男だけがまだ参加していなかったから霧島に決めた。常に先頭を歩けるだけの体力は出来上がっていた。
韓国岳の山頂で、ままの意志は高千穂河原へ向いていた。本当に4座達成出来る・・・!、その喜びはたとえようもない家族の財産となり、皆の記憶に蓄積さ
れていくのである。子供達より3倍以上遅い下山速度のママである。でも、私の視界には、常に家族皆の姿が入っていた。
日々の生活の中では、「欲」に支配される。「勉強しなさい!」「早くしなさい!」「ちゃんとしなさい!」「がんばりなさい!」親として、どこまで子供達
へ立ち入れるのだろう・・・。本当は、こうして笑顔で自然の中を歩き、おいしく弁当を食べれる事だけでいいのではないか?私には、本当は4人の子供がいる
というその実感だけでいい・・・はずである。
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