1P/40m
とにかくきついスラブを直上する。5.10bといえばVII-級であるが、A1と表示されている。小松の親分はA0でリードした。真新しい金色に光る
RCCボルトが天空へと導いている。とうとう登攀が始まったのだと我に返るまで少し時間がかかった。進退極まりアブミに立っても、その傾斜のきつさを思い
知らされる。一応、冗談がまだ言える程度で登りあがる。
2P/25m
5.9なのでVI級だろうか。平行ピンを過ぎ、その上5mの立ち木で確保。左にフェイスに出る感じで直上するが、ここは難なくフリーで行ける。
3P/50m
5.10aだからVI+級なのだろう。すべてグランドアップで開拓されたルートなので、個人的には○級表示の方が親しみやすい。右上にかけて3峰の大ハ
ングが見えている。傾斜はないのだがスラブをトラバースする所が案外怖い。小松の親分は凹角の右に打たれたピンを直上し、カンテ基部の平行ピンで一度ピッ
チを切る。本来のルートは、凹角の中間部辺りから左のきついスラブを登りカンテに至るのが正解みたいだ。初見クライミングで登攀する私達には登攀よくある
ことで、後のザイルの流れを考えればそれでいいのである。カンテ直上からきついスラブを直上する上部は、タエちゃんと私が、同時リードでテラスに立つ。オ
オスズメバチが飛び交う。
4P/30m
5.9・・・VI級。チムニーを直上。左足はフットジャムでチムニー内のクラックに入れ、右足はきついスラブに立ちこむ。ズリズリ上がると、今度はバッ
クアンドフット気味に体勢をかため、チムニーの抜け口を目指すが、どうしても抜けれずアブミの世話になる。スラブに出れば少しでテラスに立てた。
5P/25m
本当に5.9なのか?左から回り込み、少しへこんだスラブを直上するのだが、そのきつさとシビアなバランスは厳しい。アブミでピンに立つが、それでも上
に届かない。独特なムーブで小松の親分が乗り越したが、私には到底無理である。なんとかヌンチャクをつかみアブミをかけることが出来た。その上のグスクズ
岩のクラックもポロポロで怖いが、思い切ってトラバースし倒れた立ち木と岩の隙間を抜けて登攀終了となる。ここは、開拓の頃のルート設定で迷ったのか右に
延びるピンに行くとルートを外すかも?いや、別にどちらにルートをとろうと登る人の嗜好でいいのかも知れない。
下降路が見つけられず、懸垂下降に移る。水曜登攀隊の史上初の懸垂下降での下山である。しかもそれが「天空への階段ルート」であるのだから、緊張極まりな
い。本当に勉強になる。懸垂下降でのいろいろな場合の失敗例が頭の中で渦巻きながら、なんとか取り付きへ戻れた。すぐにギアを片付け水場へ直行。「ここの
水は非常に旨い!」
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