浅いコーナー、傾斜の強いスラブを直登する感じである。左側の浅いクラックを両手でとりズリ上がり、上の外形したスタンス左のガバを取れれは上へ行け
る。極小の右スタンスに耐えながら、ほぼ面に左足をスメアで立ち込む。思い切りと腕力勝負の厳しい登りで、左岩稜スーパーの登攀がはじまる。3本目のボル
トを直上するのが一番厳しい本来のルートである。しかし、最初からエーゼロ。3本目のボルトでは当然、左に逃げてぬめる外形テラスをトラバースした。少し
登ると、またまたきついスラブが立ちはだかる。上のクラックを右手で取りながら立ち込んで行くが、左ホールドが取れず2度フォールする。仕方なくクラック
上の動く岩めがけ、今度は左でクラックを取り、右手で動く岩を上から押さえ込むように右手で取る。それでもスタンスが見えない。右下にあるはずのピンにも
足が上がらず、とうとう両手が動く岩を抱く形になってしまう。ズリ上がると、スタンスも動く岩の上部に立つ事となり、ようやく切り抜けることが出来た。完
全に息が上がり、吐き気がしていた。つらい1ピッチを終える。
パックリ口を開けた岩の割れ目向こう側が、平行ピンである。セルフを取ろうとすると割れ目を挟んで、手が向こう、足がこちらとなり不安定極まりない。し
かし、それを語り始めると、岩登り自体の不安定さを否定してしまうと、岩登りでなくなるので、そう言う所なのだという記述に留めておく。それを頭の隅に追
いやり、2ピッチ目をスタートする。フリーではやる前から戦意喪失している私は、休憩の時からアブミを腰にぶらさげている。しかし、それでも恐ろしいス
タートであることは、前述でお判り頂けると思う・・・。(この口調で書くと、人に報告しているみたいなので、自分の日記でない感じがする
なぁ・・・。)・・・で、3ピンの3段梯子使用でフリーに切り替える。シビアだが、確実にある細かいホールドを拾って、見覚えのある立木へ到着した。満足
感一杯である。
3ピッチ目、以前のノーマルと合流する。今回もフォローだが、今後リードへの意識を持ち登る。左手足クラック、右手足スラブの登りに始めての時はスッタ
モンダした。あまりにも左のクラックに頼りすぎてしまった為で、今回は思い切って右はスラブに立ち込んでみた。実に納得の行く爽快な登りであった。クラッ
クを抜けると傾斜の落ちたスラブでピークへ抜ける。2度目のニードルの頭を撫でて、懸垂下降に移る。
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