いつも濡れた第4スラブの取り付きが完全に乾いていた。黒々と色の変わったスラブを楽しみながら45m登ると、初見の登りはIV+でも緊張する。ずいぶ
ん草木が茂り、2Pのルートがわかりにくい・・・、バンドからカンテへと書かれているトポを見ながら、たぶん・・・と取り付き、茂みの中に隠れたピンを見
つけ出す。ピンの左横を微妙なバランスで乗り越すと、なんだなんだとロープに導かれて立ち木でピッチを切る。
川キョンは、以前に4Pまで山の会の会長のフォローで登っているのでルートはつかんでいる。チョックストーンに゜なった岩の隙間を抜け3Pの基部に至
る。左IV級/右VI+級・・・、当然の様にと言うか、折角だからIV級に入らないように注意し、小松の親分は登り始めた。ずいぶん変則なムーブをみつけ
とうとう切り抜けた。フォローする私も川キョンも「お助けアブミ」を駆使し切り抜ける・・・ナサケネー。
ブッシュで、しばし行動食を取り、いよいよルート核心のVII級が始まった。のっぺりとした傾斜のキツイスラブを直上し、棘の草付テラスに上がると、さ
らに傾斜のキツイスラブが始まる。どうもこうも歯が立たず、すべてアブミのかけ替えで上がっていく。川キョンに3メートルほど下で、同時にフォローが上
がっていく。核心のピンに川キョンはアブミをかけたまま外せる体勢にならず残置してしまった。私が回収し核心を終える。チョンボ無しではフォローも満足に
出来ないが、結構笑い顔にしていれる私は、挑戦の成果だと思う。
後は、ピッチのトポ関係なく、ビレー位置を気にせずロープ一杯で支点作りをしながら登る。実に私でも快適に登れる。最終ピッチは、私と川キョンがダブルリードで稜線へ達し登攀終了となる。
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