水流渓人のページ「登山日記」No.144
 
2003/10/08
比叡山「奥の細道」ルート
素晴らしい好ルート 
 
1P核心を乗り越す 2Pも緊張するピッチ 狭くなるスラブ


 TAカンテや3KNスラブの取り付きから、さらに奧10b程度の所。白いプレートが岩に貼り付けられている。出だし数bは苔むしている。
【1P】25m(左6級/右5級)
 基部に立ち、相棒の小松の親分は、直上左コースのY級にだけ神経を集中させていた。二人とも初めて触るコース。いわば、一生に一度しかない初めての初回 のトライである。こだわるのは当然である。左の出っ張り岩の透き間から傾斜の強いスラブへ、少し右斜めに上がりピンに支点をとる。そこからが核心である。 始めはピンの左を何度か小松の親分は探りながら、何度もクライムダウンをする。どう見ても、2手がない・・・。「ピンの右じゃないかなぁ・・・。」と下か ら声をかけるが、右X級を意識しているので、なかなか右へ行こうとしなかった。それにしても登れないので、ビンのすぐ右上のホールドを一度触り、「ここ じゃわぁ・・・!」と声をかけてきた。それでもY級である。両手で浅いホールドをとり、体を持ち上げ左足をかなり上のスタンスに上げる。その間、右足はず り落ちそうな面にスメアを信じて立ち込む。小松の親分は、思い切って立ち込みクリア。左斜めに登り上がり、松の木にビレー点をとる。ロープが35mほど出 ているので、たぶん正規ビレー位置より上である。
 「ハイッ、登って来い!」私も、核心まで行くと同じムーブを試みるが、左足のスタンスまで当然のように届かない。傾斜で縮まる腕がパンプする前にピンに 立ってしまった。悩むことなくサッサと切り抜け、気抜けしたように簡単に登り上がってしまった。右斜め下を見下ろすと、少し下のバンドにリングの平行ピン が見える。
【2P】45m 5級+
 見上げるときつい傾斜である。変な胸騒ぎがする傾斜である。小松の親分とルート図を確認しながら、予想コースを話し合う。見えているときは、話し合うの は有効だ。直上し、左にずれてフレークを上がり、今度は右へ移る・・・あそこか?ここか?の事前予想会は、「まっ、登った都合で・・・。」と、いつもの結 論のもと登攀開始となる。
 松の木でピッチを切ったので、正規ルートへは少し右へトラバースして直上する。凄い高度感と傾斜である。実に細かいホールドとスタンスを拾いながら直上 すると、実に厳しくなる手前で左にフレークが現れる。ルート図通り左へ移る位置である。ガッチリと効くレイバックは、少しホッとするが、少し上がると右へ とピンが現れる。少し安心するスタンスに導かれて、右の逆層気味の岩の手前を上がり平行ピンである。
 神経を使う繊細なピッチであるが、「素晴らしい。」の一言に尽きる。エーゼロの1Pに比べ、難しく感じるし長い緊張感で、達成感はこの上ない。
【3P】40m 4級
 ここから見上げると、その名の如くブッシュが両側から迫ってくる。今までの傾斜は何だったのか?と言うほど、快適そのものの傾斜が見えている。そして、 青空。W級となれば私の出番・・・だが、終了点を小松の親分に譲るには、ここもリードをお譲りする。
【4P】45m 3級
 ますます両側にブッシュが迫るが、ルート上は快適なスラブである。半ば中腰で歩ける所も交えながら、ルンルン進めるV級ルートである。早く登れると返って息が切れてしんどいものだ・・・と、フト思う。左足首の軽い捻挫が痛くなってきた。
【5P】45m 4級
 ここからは、またスラブの幅が広がり、左のナックルピークを見ながら快適だ。そして、ルート半ばのザラザラスラブは、傾斜は緩いが、目立つホールドが少 ない細かなポケット拾いのバランスクライミングで楽しい。到達点が下降路と言うのが、実に私向きなのである。

 全体的に、何度も登りたくなるルートの1つと言える。次回は、ぜひリードでやってみたいと思った。しかし、チョンボ有りだろうなぁ・・・とも思う。1時前に下山し、得した気分で温泉に向かう。
 

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5: 30自宅発----6:10都農神社---8:00比叡・登山口--8:30下部登攀開始--8:50奥の細道取り付き--11:15登攀終了点---- 昼食---11:55下山開始----ニードル基部--12:30下山終了----麓屋----門川温泉----16:00自宅着
 
参加者 ぱぱ まま 長女 次女 長男 次男 ゲスト
出欠
        西都山岳会
年齢 44
        小松の親分
ピーク合計 194
         
 
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