掃部岳は、西都山岳会で平成8年に山開きを実施した。林道の落石を除けたり、道標を設置したりし西都市側からの登山道をポピュラーにした。当時、私は大し
て山歩きもしてはいなかったが、整備登山に小学1年生の長女を連れて参加したことがあった。以来ということになるが、子供達の修学時間を利用しての山行に
は、近場でアクセスも良い。
どうしても参加したい長男も一緒に「欠席届け」で登山口へ向かった。西都から国富方面へ、そして途中から寒川(さぶかわ)へと進路をとる。道幅も狭くな
り、橋から砂利道へ・・・、前川方面へと入っていく。最近整備されたのか、実に走りやすいオフロードである。まだ残る紅葉を眺めながら、記憶をたどる。
あの頃と変わらない登山口が出迎えてくれた。身支度を整えて、いきなりの急登に取り付く。地形図では、大尾根の肩まで300bの高度を上げないといけな
い、落石に注意しながら、暗い照葉樹の中を一歩一歩登った。大尾根に出ると、少し明るくなり、傾斜も緩くなる。ツガやヒメシャラの混じる広い尾根歩きは、
実に快適である。所々、伐採跡の斜面から「尾鈴山」や「市房山」「石堂山」が見え始める。たくさん会話をしながら歩く・・・。踏み跡が見えないほどに積
もった落ち葉を踏みながら、自宅から40分もかからない登山口がたくさんある幸せを思った。
少し遅いスタートであるが、別に急ぐ必要もない。のんびり、ゆっくり稜線を目指した。大尾根の最後も少し傾斜がきつくなり、右の樹間から山頂も見え隠れ
し始める。稜線へたどり着いた所が「第2展望台」で、ここから左へ「式部岳」へ道を分ける。霧島連山も正面に見えてきた。右に進路をとり、まず小ピークを
目指す。その間の、ブナの大木やヒメシャラの群落も素晴らしい。森をぬけると視界が広がり、山頂直下へ飛び出す。左側は、以前と同様茶色い土がむき出しと
なり、そこだけ草木一本生えていない。「なんでだ?」と考えつつも、減った腹は、速く山頂を目指してしまう。
山頂はすぐそこだが、進路は完全に藪になっている。ひょっこり飛び出すと、山頂標識が目に入ってきた。記念撮影・・・、そして準備してきた「チャンポン」を作る。熱いチャンポンを3人並んで一気に食べた。
山頂からの石堂・市房は、素晴らしい全容である。下山準備に取りかかる頃、青空が広がった。山頂を下り、小ピークからは、雲に浮かんだ「霧島連山」がスッ
キリと見えている。右に目をやると「白髪岳」もポッカリと大きい。第2展望台を過ぎると、一気に下山する。肩からの急下降は、ママと長男には少し辛いよう
で、何度も立ち止まり追い付くのを待つ。でも、安全にケガもなくが第1である。
少しゆっくりしすぎたが、5時の所用には十分間に合うと思いながら林道を快適に走る。舗装路との出合い間で来ると、警備の肩から赤旗で停止を促された。
「すみませーん。午後から時間規制をしていまーす。5時まで通れませーん。」「あちゃー!」しかし、そこから20分もあれば自宅へ到着した。
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