水流渓人のページ「家族登山日記」No,95

2002/6/5
大崩山
おおくえやま
〜ワク塚−りんどう丘−小積ダキ−坊主尾根〜

袖ダキにて ササユリ 無事下山
 
 土・日曜日いい天気だった。週間天気予報で、火・水曜日には雨マークになってた。なんだか暗い気分の月曜日の朝刊だった。
 そもそも、5日には山の会の仲間と「大崩山」のササユリ鑑賞登山をする事になっていたが、早い段階で中止になってしまった。雨なら仕方ないなぁ・・・、 女房に沢登りにつき合わないか聞いてみたが、いい返事が出てこない。腰や首の調子が今ひとつの様だ。いろいろ考えたりしていたが、気持ちは沈むばかりで あった。それが、何と火曜日が快晴の朝を迎えた。予報も水曜日の好天を示している。
 夕食後、ひとりで行くことに決めた。準備をしていると、勉強部屋から長男が出てきて、一緒に行きたいと言う。ここのところ学校週5日制で、誘いづらい状 況だが、休ませる価値のある山でもある。自主休校「野外授業」だ!などと、納得する理由を見つけだし朝を待った。
 3時半起床で、4時過ぎに出かけた。2時間半で、上祝子地区の温泉へ到着した。寝ていた長男も起きて、朝食を済ます。立派なトイレもあるので用足しをす ると、早速登山口へ向かった。3台の県外ナンバー車が駐車している。身支度を整え、ゆっくりと歩き始めた。いつも、歩き始めが結構辛い、体調や呼吸が整う までにはある程度の時間が必要だ。少し汗がにじみ始める頃、大崩山山小屋へ到着した。今まで通り過ぎるばかりで、中を覗いたことがなかったので、見ていく ことにした。扉を開けると、宿泊者がいてびっくりした。大分からの若者、前日から泊まり込みでくつろいでいるという。しばらく山談義をして別れる。
 ワク塚への左折道に入ると、すぐ川渡渉の丸太橋である。小積・ワク塚の岩峰群を見ながら小休止である。今日は、ゆっくりしたペースで楽しみながら歩きた かった。間違えば大けがをしそうな箇所も多いこの山である。その分、価値も満足も大きい山でもある。そんな山に、息子と来ている満足感は大きいものがあ る。しかし、親の責任としてはケガ無く帰宅させることも大きいウエイトである。丸太橋から、息子のウエストぴったしに作ったシュリンゲに確保用のテープを 結んで、危険個所を通過した。後はしばらく森の中の登りが続いた。
 「後どれくらい?」の声が、頻繁に出始める頃、「袖ダキ」へ到着した。初めて見るここからのパノラマには、誰もが圧倒される。息子は、この迫力迫る「小 積ダキ」と「ワク塚」を見て、「大きな一枚の絵」と表現した。風景の遠近感があるようで、全体が一体化した迫力の風景に見えるからであろう・・・。見とれ ていると、鹿児島からの登山者と出会う。ここから尾根伝いに行ったことがないと言われるので、尾根伝いに歩き「乳房岩」へ案内してあげた。
 今回は、下ワク・中ワクはカットした。狙いは「上ワク」へ息子を立たせてみたかった。安全に登らせるために、そこに時間をかけたかった。実際は、緊張し た上ワクの岩場も、息子は平気で登ってくれた。確保する私の方が面食らうぐらいの度胸だ。見ていて感心したのは、大人でも難しい、足のホールドの乗せ変え を見事にやってのけた。嬉しかったが「次に出す足の事を考えて行けよ!」と注意した。ムリかと思った下降も、上体を岩から離し足場を見ながら確実に降り た。
 昼食場所に決めていた「りんどうの丘」へたどり着いた。水場がワク塚よりだったか、小積よりだったか記憶が薄く、伊藤商店のイラストマップが役立った。 食べながら、眺めながら、こんな極上のテラスは他にないと思っていた。多分単独でなく、しかも息子が一緒だ・・!そんな感動も相乗しているのは間違いな かった。
 小積ダキのてっぺんから、坊主尾根や象岩を眺めた。これからたどるコースを息子に説明した。「あんな低いところからここまできたんやね!」と、祝子川の 谷底をのぞき込んでいた。象岩のワイヤートラバースからは、また、テープ確保をしながら歩いた。急峻なロープ場・ハシゴ場などの悪場も、しっかりとした足 取りで慎重に下る。途中で、目当てのササユリをカメラに納めた。宮崎では絶滅寸前と言われる花である。この大崩の深い懐に抱かれ、いつまでも絶えることの 無いように願うばかりだ。その事を、息子に話せた意義は大きい。しかも、そこに至るまで、7時間以上経っていた。親子で歩き、その自然の大きさ強さを感 じ、そして、人間の盗掘でその個体数を激減させた弱い自然の花を見た。親が子に伝え残していきたいものは、親自身が作った財産とか伝統とか、そんなもので はない様な気がする。今は理解できなくても良い感覚を、言葉だけでなく同じ大崩の地を踏みしめながら話した。

4: 20自宅発--6:33祝子川温泉--7:10登山開始--7:43山小屋--8:05ワク塚分岐--9:40袖ダキ--11:15上ワク--11:40 りんどう丘分岐--12:10リンドウ丘--昼食--12:50出発--13:10小積ダキ--14:20見返りの塔--15:00林道分岐--15: 40山小屋--16:05登山口--祝子川温泉美人の湯--19:10自宅


参加者 ぱぱ まま 長女 次女 長男 次男  
出欠          
年齢 43            
山数合計 140        57     
Copyright(C)  水流渓人 All Rights Reserved
 
inserted by FC2 system