水流渓人「hot-news」

2010年9月22日 「石坂川/霧島・・・再び」滝を巡る

先週、中途半端に遡行した事・・・?いや、ヤマメの気配が気になる?


 

  もう一度行ってみたくなった。途中から沢に降り、途中から林道に這い上がった先週・・・。手前と先に「経の滝」「浄めの滝」があり、涸れ滝ゴルジュがある 事が気になっていたからだ。沢は、歩き方で難しくも簡単にもなるが、初めて訪れる時、地形図から想像が膨らむ・・・そんな瞬間が好きだし、そんな時間を日 常に持てるのは、ちょっとした癒しの時間なんだなぁ〜!そして、地形図を頼りに自然の中を歩くとき、想像や緊張や達成感やを持ち歩き、そして明日への意欲 につながっている気がする。特に、今年は、初めて訪れる場所や山や沢にこだわってみているのは、なんだかそこらに求めるものがある気がするからだと思 う・・・。
 私が沢を歩くのを覚えたのは、高校2年の頃・・・。釣りは、川も海も良く行ったが、「遥かなる山釣り」という本を読んだ頃だろうか・・・。ヤマメやイワ ナ、それを釣る釣り師のロマンを強く感じた!荒れた高校2年・・・自分の気持ちの置き場や、自分を見失った時期の強い憧れを抱いた「渓流釣り」である。行 けば、沢の音だけがあり、背筋がゾクッとするほど強い自然の中に怖さを感じた!竿から伝わる力強いヤマメの魚信に、愛おしい命を感じた。大学は青森へと学 部が移る。十和田や下北の渓流に、イワナを釣る。何かを求めるというより、釣る事が自分を見つめる術になっていたのかも知れない。

 
  
ソールがパックリ口を開けていた! ぴったしカンカンで、「経の滝」手前に入渓
   
 

「経の滝」17m・・・大釜を持ち、滝の横に展望所と遊歩道があった!!

 
  
遊歩道をたどると、先週の入渓地点に出た! リリース山女魚が遊んでくれた!
  
  

「華の滝」15m・・・右を登れるらしいが、単独では巻きになった!

 
  

10m3条の滝 露岩にしぶきが上がる8mハング滝




何があるのだ?と、ゴルジュの門をくぐる。 振り返る・・・。
  
  
 
「浄めの滝」25mが現れた!登攀意欲を最高に掻き立てられる!!しぶしぶ撤退して巻く!
  
 

  まぁ、釣りはさておき、どの渓流も、渓谷も、流れも滝も、一つとして同じものがない。それで当然・・・、それこそ自然の成り行きだと理解しているくせに、 日常では物事を分類し、枠に捕らえ、都合が良いように無理強いしている。「自然の中に身を置く事が好きで・・・」などと、穏やかにも、心が広くも見えそう な理想を宣い、私は自分の隠れ蓑にしているのかも知れない。私の子供・・・という一つのくくりで、なんとも都合よくまとめ上げようとしているのかも知れな い。4人子供は、それぞれに個性があり、特徴があり、主徴があり、好みがあり、思いがあり、欲求や、能力があるのだ!それを、認めることが出来ずに、「家 族」という枠を・・・、私が決めた勝手な窮屈な枠の中に、なんとか詰め込んでしまおうとしている。滝を眺め、一瞬として同じ流れを形作らない事を、これだ け純粋に受け入れる自分がいるくせに・・・。
 私は、親として愚かだ!可愛くて仕方ないくせに、誰もがあるであろう初めての過ちが許せず、次男の頭を体を拳で殴ってしまった。言い聞かせるだけで良い のだろうか・・・。他人に迷惑をかけた事に、私は痛みを持って息子に理解して欲しいと思った。真剣で、強い態度で戒める事が、自分の息子に対する礼儀の様 に思えたからだ・・・。しかし、自然の中に身を置き、我の小ささを感じる時、どうして愚かな方法を選んだのだろうと、今、悔いている。彼の記憶に、歪んで 残らねば良いのだが・・・。私の右の手首は、数日痛みを感じていた。それほど強い拳だった・・・。
 数日後、朝になると頭痛を訴える息子に、心配で仕事も手につかない自分がいた。長女にもそうだ・・・。失敗したとき、落ち込んだとき、追い詰められたと き、私はよりどころにはなれていない。厳しく突き放し、反省を促す事ばかりをしてきた。でも、4人の子供は、それぞれに違う態度で私に関わってくる。それ に気付けば・・・いや、気付いているのに、私はいつも同じ態度で接してしまっている。本当に愚かだと思っている。
 
 ふと、閉塞感のある、ゴルジュの門が狭く深く立ちはだかった。そのまま巻いて通過しようとも思ったが、沢に降り、腰まで浸かりゴルジュの門の奥へと行っ て見た。「浄めの滝」が、実に幻想的に、そこにあった。仲間と来ていれば、必ず登っただろう滝を、何度も見据え、もう一度、門から出た。そうなんだ!一 度っきりじゃないよなぁ〜・・・、また来りゃいいんだよなぁ〜・・・。挑戦しようとする限り、諦めない限り、そこに、その滝はある。自然の中で、学んでい るはずなのに、日常で不自然にしている私なんだろう・・・。

 
  
縞々模様の川床 必死でしがみつくヒメシャラの大木
 

急に流れが途切れ、ハングした10mの涸滝が2段・・・なかなか圧巻だ!左を巻く。

 
一旦川床に降り、涸れた沢を詰める 巻き上がったところから、涸れ沢ゴルジュを振り返ってみる!
 
 
明るくなると、手洗い林道に架かる「大韓橋」 駐車地点に戻る。
  
     

 深い、涸れたゴルジュがあった。その溝(ゴルジュ)の中を通らず、左をてこてこと巻いて通過した。ゴルジュの出口で、谷は開け、明るくなった。涸れた沢水も、少し現れてきた。手洗い林道が横切り、大韓橋が見えた!
 時折、ポツポツと落ちる雨粒・・・、橋の下で遅い昼食を取ると、なんか明日から少し周囲の時間をのんびりと流してみよう!と思ったりした。詰まりそうな 大きな仕事も抱えている。突っ込んで仕事を進めようと、暗中模索状態になっているならば、引いて少し傍観し、糸口を見つけてみよう!子供達の個性を認め、 少しスタンスを変えてみよう!たまには、夜の街で飲んだりしてみよう!
 自分の芯は変わらないだろうが、足元を確認するぐらいの余裕は持つように日々を送ろうなぁ!私が、少し変化したら、周囲や家族にも何か良い風が吹くので はなかろうか?深いゴルジュ(溝)を、わざわざ舐めるように這い回らなくても、明るい尾根に出てみると、次は明るい谷も見えてくるはずだ!!

 
 

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