水流渓人「hot-news」

2008年10月22日 水曜登攀隊「広タキスラブ/左ルート」宮崎県

天気に左右される・・・。それは、登る行為もだが、気持ちが大きく揺れるのも正直なところだ!
じんさんと、延岡市内で待ち合わせていた。
乗り合わせ、祝子川の側道を走る頃には、ジャンジャンと降り始めたのだ!

    

 初めて訪れる。しかも、3人とも初めて!そりゃぁ・・・何より価値ある事だよね!!そう思うようになったのは、小松の親分と水曜登攀隊(私が勝手にそう呼んでいるだけだか・・・ネッ)として、登り続けた岩へ対する姿勢かな?アプローチ、そして、そこに展開する初めての状況は想像すら出来ないが、ワクワクする気持ちと恐怖心と、たくさんの要素が存在する。
 「来週は、ニードル〜サマーホリディ83ルートにしましょうか!」・・・、その状況を変更しようと思ったのは、左肘の痛みからだった。スラブだったら・・・と、「広タキスラブへ行ってみませんか?」
 アプローチを、「日本の岩場/上」から読み取る。地形図を見て、想像する。ワクワクは、3日前から起こり、前日には不安に包まれていた。じんさんは、熊本から高森〜高千穂〜延岡のコースでやってくる!実に精力的に参加する主婦である!!まぁ、スーパー主婦である。・・・で、いつも子供達の夕食まで準備完了の状態なのであるヽ(^o^)丿 。以前、大崩山へ行くとき待ち合わせた延岡のパチンコ屋の駐車場で、今回も合流する。  

 
  

美人の湯から、大崩山の登山口へ向かう途中から「広タキスラブ」は凄い迫力で見えている。
降る雨に、濡れたスラブしか想像できなかった・・・・。

  
   
とりあえず、硯岩へとつながる尾根に取り付く 赤テープが出てきて、迷いは無い
 
  
滝の渡渉位置で記念撮影! 濡れたフィックスロープのアブローチは悪場
  
  

新しいピンが打たれている!

アプローチ核心部のスラブ(>。<)しかも雨

 
 

じんさんが上がってくる!

アプローチ終了点で記念写真!

 
 

いえいえ、取り付きまでさらに続くアプローチ!

雨なんで撤退?、少し試してみる!

 
 

 駐車位置から、クヌギ林の尾根に取り付く。ガイド本通りだ!15分も急登をやりすごせば、尾根左に立派な登山道が出てきた。歩くこと5分で、分岐を示すテープが出てくる。迷わず沢方面へ右折すると、赤テープは、滝と滝の間の渡渉位置へ導いてくれた。滝から見上げる広タキスラブは、「今日は、取り付き確認!」のつもりだから、登る対象に見えなかった。でも、車を出発する前、「とりあえずロープ、ハーネス、ヘルメット、確保下降器・・・。」「じゃ、ボクは登攀ギアをとりあえず・・・。」と、リュックには積み込んでいる。
 滝を渡渉し、いよいよ滝右の急登に取り付く。以前、古いフィックスロープが切れケガ人の出た場所だ!あれから、新しいRCCボルトが設置されていた。日陰で、染み出しで、ニュルニュルで、泥で、いわゆる悪場である。念のためにロープを出したが、濡れた状況は、より慎重な行動が必要であった。
 アプローチの終了点ではないが、小松の親分が確保していた位置が、右ルートの取り付き地点。もう、登攀は無いと思っているので、ここで3人記念撮影をする。「折角だから、左ルートの取り付きまでは行って見ましょう!」と、さらに、フィックスを左トラバースする。とても難しい箇所があり、なんとA1気味に登りあがる事になる。しかし、取り付きに立つと、広大な広タキスラブ、そして硯岩が大迫力で広がっていた。惚れ惚れする岩場が、そこに広がっていた。私にとっては、雌鉾のスラブを初めて見た時より、鳥肌が立つ思いだった。
 まぁ、昼食でも!と、3人で食事を取る。今日は、ここまでの筈だが・・・。

  
  

濡れた広タキスラブ・・・、取り付き確認に来ただけだから・・・。

 
 

スケールのあるスラブ、そして硯岩
  
 

 食事が終わり、しばらくすると日が差してきた。風が一気にスラブを乾かしてくれた。迷いに迷ったが、一向に撤収する気配の無い我々は、「最近、ついてるよなぁ〜!雨だけど、登れる!」と、調査モードから、一気に挑戦モードである。ピンは見えない。取り付けば、上を目指す以外ない事は、フォローの私も十分判っていた。

  

 濡れた出だしを過ぎると、白く乾いたスラブとなる。結晶は大きく、ザラついたフリクションと、遠過ぎるピンは、実にクライマーを試す。負ける事無く、小松の親分は、じりじりロープを伸ばして行く。
   
 

ルート核心、5+級の段違いの乗り越し。「滑らない!」言い聞かせる事がすべて!かな?

 
  
3P 4P
  
  

 「硯岩」、ここにもルートが開かれている。その硯岩越しに、大崩山の「小積ダキ」や「ワク塚」が見えていた。「次は、ここへ来いよ!」と、あざ笑うかの様に、小積の塔が雲を突き刺していた。そして、また雲に姿を消す。

  
 

下を見下ろすと、広大なスラブが広がっている。クロスケオテ谷・・・その名も興味ある。

 
 

 この広タキスラブから、小積の中央稜が見えた!逃げているわけではないのだが、挑発して聳える。どうしてだろう・・・、別に行くか行かないかは、自分で決めれば良い事なんだが、こうして、見る我々を弱者だと言っている。毎年、この大崩が吸い込むように、誘い込む様に、高笑いをして頭にこびりつく・・・。

 
  
懸垂下降で・・・ 取り付きへ戻る。
 
 
気持ち良くない支点 掴まないと仕方ないフィックスロープ
 
 

 広タキスラブ、初見でチャレンジした私達は、なんとも言えない充実感を感じていた。下山も慎重に・・・と、右ルート取り付きとなるフィックスロープ設置アプローチへは、懸垂下降することにした。安全を意識したからだが、登山口へはライト点灯下山になることが判断された。真っ暗になった尾根は、いったいどこ?と、焦りと迷いを生じさせる。しかし、道でなくても、地形は正直だ。意識した尾根を、意識道理に下ると、私の下山はピタリ駐車位置となった。大した事ではないが、じんさんが「水曜登攀隊は、やはり2人でスゴイんだ!」と言ってくれたのが、私には嬉しかった!!

 
 
少し紅葉が始まっている。下山しながら、達成感に浸る・・・。

     

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