水流渓人「hot-news」

2008年3月21日 「第一スラブスーパールート」比叡1峰/宮崎県

 
 

休みとは・・・、ストレス解消の為なのか?

 
 

 「楽しみ」は、自らが意識的に行動を起こし、そして感じる事ではないだろうか?日常の中に存在するストレスは、ほとんどが生きてゆくが為の労働行為から生まれている。一生懸命に仕事に没頭している時は、ほぼ強い達成感を感じているが、その仕事を取り巻く環境に摩擦が生じると、仕事に集中できない。そういう状況を労働環境が作り出すならば、それは成長がマイナスになる事は確実である。楽しむ為の登山であり、岩登りのはずが、そんな摩擦から逃れたく来たのだろうか・・・。
 人はそれぞれに、自分の中にある何かを感じながら、山を登るのだろうか?少なくとも、ザイルを組むお互いが、同じことを考えながら登っているはずはない?・・・よな!人は、それぞれに違う人生を歩いているんだし、違う生活環境があるんだもんな!岩登りは別でなくてはイケナイのたろうか・・・そのルートを登るために、安全に登るために、そして素晴しい達成感のために、少なくとも同じ様な気持ちである必要性が無くてはならない気もする。

 
  

抜ける様な青空が天を覆い、花崗岩が輝き、ツツジが春のピンクを飾っている。

 

 ロープをつないでくれたのは、熊本のじんさん。息子さんの高校入試も終わり、ホッとしている時期だろうとお誘いした。去年の年末に水曜登攀隊に参加し、なんと「FYKルート」を登った強者ぶりには驚かされた。しかし、あれ以来の岩に対する恐怖が、岩登りへの意欲低下につながっていたそうだ。
 取り付きに立ち、ロープをセットする。まったく頭の中が岩に集中しないまま、階段状の1Pをスタスタ登る。ミツバツツジが、目に沁みる程に綺麗だ。岩肌が手の平に感じない。置いたスタンスがふわついている。2P・・・、少し左上すると、一気に高度感が増す素晴しいピッチである。クラックにシューズを差込むと、ビレー点。短いが、ここでピッチを切る方が、セカンドは安心して登れる。

 
1P、スラブにミツバツツジ。 1Pを上がって来るじんさん。
 
   

 2Pは、難しくはないが、一気に高度感が300m出る豪快な感じが好きだ。

  
  

 上を見上げると、比叡特有のスッキリしたスラブが広がる。青空・ミツバツツジ・・・実に文句無い眺めではないか!!このビレー点で、私はギアを回収しながら、愛用の【DMMの環付カラビナ】と【BDのATCガイド】を落下させてしまった。ハッとした瞬間、私はようやく岩登りに来ている感覚に引き戻された。ギアを落とすなんて、本当に情けない事だと自覚し、ようやく登る事に集中出来た。

  
 
亀の甲スラブへ(じんさん提供) フォローするじんさん
  
 
ATCガイドを失い、エイト環で確保する。 5・6Pはつないで一気に登った。
 
 
核心の7P(じんさん提供) 7Pの終了点から下を見る。
 
 

 最終ピッチをフォローしてくるじんさん。高度感を楽しめる。川床まで600m程度ある。

  
  


登攀を終了し、千畳敷にて。

 

 なんだか、ブツブツ呟いている数日だが、目に沁みる空の色や、比叡の花崗岩は、とてもやさしく包み込んでくれた。だから、私は山に来るんだ!と判った。つべこべ言うのは私の性分だが、「まっ、いいか!」と、明日に迎える気になれた。日差しは強く、もう初夏の日差しである。暖かく、乾いたスラブを「楽しむ」事が出来たんだとつくづく思った。

  

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