水流渓人「hot-news」

2007年4月11日 「比叡3峰下部/ウォーターカップ2ルート」宮崎県
 

2007年、初めての水曜登攀隊・・・。
「ウォーターカップ2ルートをやりましょう!」・・・小松の親分の声が受話器に響いた。

 3月末、所属している【西都山岳会】の総会があった。名ばかりの事務局をしていた私は、Nama会長の休息宣言を聞いた。今年で50年を迎える山岳会である。現会員の殆どが、おそらくNama会長に憧れ、強いリーダーシップに包まれ山を楽しんできたはずである。その会長が、会長役を外してくれ!というのだ。献身的・精鋭的に宮崎の岩場をリードし続けるクライミング集団【鹿川・庵】の会員でもあるNama会長、率いる事よりしばし楽しむ事に自分の身を置きたくなったのだろうか・・・。あと数年で還暦・・・、しかし、その体力・技術・統率力で、彼に敵う者が会にいるはずもない。他にいぬなら、50年の歴史に終止符を打つのみ・・・、と彼なら言いかねない!すべてが釈然とせぬまま、Nama師匠の座席温存という形で、これまで以上に名ばかりの会長役を私が引きうけた。(そうせざるを得なかった!)
 西都山岳会は、「麓屋通信」という形で会報を出している。第7号の記録に、水曜登攀隊の「大崩山・小積ダキ登攀」、水曜登攀隊+川キョンの「比叡1峰・ナックルフェースFYKルート登攀」のレポートも掲載された。その会報に報告されていたのが、この「ウォーターカップ2ルート」の記録である。その記録は、もちろん初見でNama師匠が女性3名をフォローに挑んだ記録である。しかも、このルートを、アプローチシューズで登り切っているのだからすさまじい!!

  
2峰の水場を過ぎ、トンネルを過ぎてすぐの空き地に駐車する。 我等が麓屋を正面に見ながら、車道を少し進むと左下に林道がある。
     
コンクリート舗装の林道を下りる。
橋手前を左へ
樹林帯へ入る所には赤テープ有。
     
降りながらトラバース気味に左へ20分。 取り付き?
   
入手したルート図では、次のピッチからがクライミングのグレート表示があったが・・・。
正面に岩壁を見て、登ろうとするのはクライマーの心理だろうか?
苔と泥と草の中から、古びたハーケン3枚が出てきた!
最初は、1箇所にしかとらなかったプロテクションを、さらに2箇所増やした!
草の介在が、あまりにも乗り越しを困難にしているからだ・・・。
少し、クライムダウンしかけたときに1本が抜け、1本が折れた。
棚寸前で、川キョンの引いたロープが止まった。
一瞬だった。
グレート表示がないのは、やはりルートではないのだ・・・と、ようやく納得できた。
初見・・・、素晴しい達成感と、計り知れない危険が隣り合わせだ・・・。
 
腐ったハーケン 抜け落ちた後、残1箇所の支点を回収に行く。
 
1Pへ向かうにもロープ必需のアプローチ。
貧弱な立木を掴み上がる。赤テープがちゃんと付けられていた。
しっかりしたRCCボルトを見つけた。
松の木が目印だが、すでに枯れている。
1P、後は、ボルトがルートを導いてくれた。 1Pフォローの川キョン
  
2P/5.10aは、8m程度トラバース後、直上する!
写真を、あえて近く大きく掲載したのは、ここのスケール感を出さない為ですよ!
私のレポートを見て、行かれる方たちへのプレゼントであります(^_-)〜☆
    
トラバースは恐く、直上は厳しい(^o^;) 2回目なのに、記憶の薄い川キョン
 

 今日は、久しぶりに『川キョン@大先輩+アフリカ帰り+僕らのアイドル』も同行していた!今頃気が付いた!そういえば、自宅を出るときには私の車に乗り込み、子供達を佐土原駅に送って行き、都農神社で小松の親分と待ち合せ、この比叡に来るまでもずっと一緒だったんだ!!(・・・などど、言ってゴメンネ!寝てばかりいるからだ!)
 そんな(どんな?)可愛い川キョンが、もっと可愛いのは、ここには以前Nama師匠と来ているのに記憶が薄い?無い!って事だ。初見の水曜登攀隊を、純粋に初見の状況に導いてくれるからだ。だから、最初からアプローチは、私の感だけでズイズイと歩いた。たぶん、この辺りだろう・・・と、「見た記憶ある?」と聞くと、必ずあれこれ話すので、聞いたふりをして参考にせずに探すと「赤テープ」を発見した。「よしっ!ここだ。間違いない!」「じゃここから登りましょう!」と、小松の親分と合意している傍らで、まだあれこれ話している・・・そんな可愛い『川キョン@僕らのアイドル』である。恐いのは、ピン(ボルト)が出てきてもまだピンと来なかった時だが、水曜登攀隊は暖かい人柄なので怒る事もなく笑顔である。
 ルートに乗っかれば、少し記憶も重なり始めたが、初見でリードする小松の親分の耳には、天然耳栓だったのかまったく聞いていない素振りで、次々と取り付いて行った。

 
2P/5.10aへ ケタケタ笑うニードルが見えている。
    

最終ピッチ5.10cをリードする小松の親分。軽く初見オンサイト!
 

最終ピッチの微妙なスラブを攀じる【川キョン@僕らのアイドル】
何度か、『落ちそう!』と言ったが、落ちない先輩なのだ!
しかし、3日ほど前、私が落ちて
踵骨折した同じ場所で落ちたそうだ!
しかも、ビレーしていたタエちゃんの上に降り落ち無傷だから凄い強運の女神なのだ!
   
終了点で記念撮影・・・だが、
「おひけぇなすって〜!」体勢の川キョン
水曜登攀隊
まぁ、今年もボチボチ行きましょうな!
 
本当の狙いは、そのまま左方カンテルートに繋ぐ予定だった。
途中、何度かぱらついていた雨が、とうとう降り始めた。
恨めしく見上げた3峰上部の圧倒的な岩峰・・・・、しゃぁ〜ない温泉行きまひょ(^^ゞ
 
雨に霞む矢筈岳 帰路は、トンネルを通り10分。
  

 今年は、年明けから落着いた感じで過ぎている。長女が高校3年、次女が高校1年、長男が中学2年、そして次男が小学6年である。ママは、今年はPTA役員を放免され、宮崎市内に勤め始めた。家族の接点の時間が少なくなって来ている現状はあるが、それなりに充実はしている。ますます大変になる子育て財務でもある。幸せは大きい分、負担と努力も大きな物になる事には違いない。煙草も止めた、飲み屋にも出かけない、生活はいたって質素だが、こういう遊びをしていたり情報を発信していたりすると誤解も多い。でもそれは相手が想像する事であり、家族に影響がある事でもない。現状を認めれば、この岩登りも大きな感謝を抱く事が出来る。家族がいて、そして仲間がいて、それぞれに「夢」があって話せて・・・。
 誰しも悩んでいる。私、家族、そして仲間。それは悩みとは言わないかも知れないが、「夢」があるから、それに向かって悩んでしまうんだと思う。でも、最近気付き始めたのは、「夢」に対して悩みだと思っていのは、それは違っていて、「夢」に対しては【挑む】って事なんだと・・・。憧れに思っている僕たちのNama師匠は、悩んでいたのでなく、さらに【挑む】為なんじゃないか?と思えてきた。自由に【挑戦】する時間が、もっと欲しくなったんじゃないかなぁ・・・と。それまで、私は50年を迎えた西都山岳会の会長として、何もせず・・・、ただ何もせず・・・、「お前なんかに任してはおけん!」と言われるまで何もせず・・・、師匠の会長席を磨いて待っておきますd(-_^)good!!

     
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 6:25自宅----佐土原駅----7:40都農神社----9:15比叡3峰駐車場----9:30出発・林道へ----9:42林道コンクリート橋・左折分岐----10:02取り付き赤テープ----11:20スタート----11:40/1P取り付きへ----11:50登攀開始----12:20/2Pスタート----13:08/3Pスタート----13:55/5Pスタート----14:40終了点----ギア収納・休憩----15:10下山開始----15:20駐車位置----日向お舟出温泉----帰路----18:30帰宅

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