水流渓人「hot-news」

2006年11月22日 「水曜登攀隊/比叡山/・ファイナルスラブルート+Cフェース・左方カンテルート」宮崎県
 

 
 
2週続けて大崩に行った。1回では全部を登れず、下部上部を分けて登った。でも、その分経験として蓄積され、力となって残ったはずだと思っている。
 水曜日の朝、携帯メールが鳴った。クライミング集団「鹿川・庵」のKYさんからである。比叡り駐車場で待たれている旨の内容・・・。「どこか連れて行ってください・・・。」と書かれてあるので、いつも以上に緊張する。先週、庵で還暦のお祝いがあったそうだ。西都山岳会からも庵会員の会長他、数名が参加した。ますます、その姿勢は尊敬するばかりで、憧れの大先輩である。緊張するが、嬉しい事この上なし!でもある。
 いままでの様に子供たちを佐土原駅に送ると、小松の親分と合流する。「KYさんが一緒なら、FYKルートをやりましょう!」と、言い出した。当然、言い出すのは小松の親分ではあるが・・・。FYKルートと言えば、2度登らせてもらったが、比叡最難関ではなかろうか・・・。あーまた、あの恐怖が・・・と、車内から恐怖の渦に巻き込まれる水流渓人でもある。

 

 
  
朝焼けに染まる空を、運転しながら写してみた。ホッとする光景だ!
  

 しばらく比叡登山口付近では、水道工事の為時間規制になる。今日は、上手く「開放中」と貼ってあり、一安心。駐車場に着くと、すでにKYさんは到着されていた。驚いたのは、他に3台も駐車してあった事だ。KYさんから、その方達は北海道から来られている方たちで、『鹿川・庵』の方たちと交流があり、向こうが来られてクライミング・・・こちらが行ってアイスクライミング・・・という関係だそうだ!それにしても『鹿川・庵』が全国区であることを目の当たりにして驚くばかりである。
 KYさんにお会いしてすぐ、「FYKルートという話が出ていますが・・・。」とお話すると、少し驚かれていた。数日前の雨で、北面はだめでしょうから・・・と、当初予定していたCフェースの左方カンテルートの事を話すと、計画通り行きましょう!と、貫禄の方向づけとなったが、「では、南面の登っていないファイナルスラブ・ノーマルルートを登って、下降路を少し下ってCフェースへ行きましょう!」と、やる気満々の水曜登攀隊・・・いや、小松の親分である。

     
庵の方が、北海道の方たちを「TAカンテルート」に案内されていた。 TAカンテに繋がったクライマー達。
しきりに、KYさんと話されていた!
   
さぁ【ファイナルスラブルート】の始まりである!!
ファイナルスラブルート、KYさんも10年前に登ったダロウカ?と遠い目をされた。
錆びたリングボルトが、数本見えるだけだか、大崩に比べるとしっかりして見える(^o^;)
特徴あるノッペリした傾斜のきつい黒光りスラブを、死に物狂いでしがみつく!
息を飲む右トラバースとそこからの直上が、とても恐ろしい核心部・・・
小松の親分、リードお見事!!
  
核心部を過ぎた! フォローのKYさん、満足げに「キツイ!」と仰られていた。
 

 実に厳しいファイナルスラブの1Pである。どこにスタンス?ホールド?は、この黒光りスラブの特徴ではあるのだが、錆びてかたまったリングに支点をとった後、チンチン縮み上がる(男性特有?)といおうか、キュ〜〜ンとなるといおうか、とにかく厳しい右トラバース・・・そして、小さいアンダーホールドを右手で耐え、足スメアで、ずいぶん上のホールドを左手で取って核心終了・・・しかもピン遠〜しである。リードした小松の親分も唸り声を上げた!続く私も「アヤリャ!」みたいな「ウォアァ〜!」みたいな自分でも唸った事の無い声を上げて通過したが、最後から来られるKYさんも何やら唸り声を上げられていた(-_^;。
 唸りの壁?の核心を過ぎると、本当は結構難しいのだろうが、ヒタヒタと登って草付の終了点である。2Pは、すこぶる快適なのだが、気がつくとかつての骨折現場である。お二人に、「ここは、リベンジせねば!」と促されたが、「ここは、死の匂いがする!」と気色の悪い事をブヅフツつぶやいてかんべんしてもらった。しかし、上にロープが張られれば、果敢に登る横着者の水流渓人である。

  
2Pを登り上がって・・・正面を見たら→ あの落ちた骨折現場ではないか!
    
勇気を出してリード!・・・なんてしません(-_^;。難なくフォローでクリアだd(-_^)good!!
  

 ファイナルスラブルートは、3Pで樹林帯に吸収されてしまう。靴を履き替え、藪こぎ直上5分で登山道に出た!左に歩いて1峰展望所まで1分である。すぐさま下降路をだどり、10分程度で北面Cフェースの取り付きに立った。

 
今日は、この看板を2度見た! Cフェースの基部に立つ!
 
北面Cフェース「左方カンテルート」の始まりである!
1P45m/7-級・・・キツイ傾斜、耐えるしかない!多種な登りである!
  

 1983年に開かれたCフェースの「左方カンテルート」であるが、今年、KYさんを中心に「鹿川・庵」の方たちが、見事再生された。なにがなんでも押さえておきたいルートであった。基部から見上げるCフェースは、さすがにフェースでしかも逆層?見事な傾斜で立ちふさがっていた。しかし、いいペースでリードする小松の親分、KYさんを従え嬉しいチャレンジであった事に違いない!

  
腰にヒラつくものは、「アブミ」ではない! 下から追い上げるKYさんをパチリ! 
  
なんと、比叡の紅葉は今が見頃!
  
2Pは、カンテをつかみあがり、かぶりを超える!ピン1本(@_@)
 

 2Pを見上げて、意気消沈したものの、案外・・・産むが安しであった。カンテを足スメアで掴み上がり、かぶり気味の下に立つと立てクラックがガッチリと効いた!そう、驚くほどガッチリ効くのだが、もっと驚いたのは自分のスタミナである。アヘアヘ・・・ヘナヘナ・・・が、自己状況であるのだが、今日は耐えられる(^_^ゞ。2週続きの大崩は、確かに力になっていると実感した。アブミは使用することも無く、とにかく気持ちよく2つのルートを、3時間23分で完結させた。

 
終了点手前のスラブ 確保の小松の親分、フォローのKYさん
 
    

 有難い同行者に恵まれ、小松の親分のモチベーションもグッと高かった。私は、後ろからついて来るKYさんと、頭上に広がる厳しいルートに、終始「緊張+怖がり+オロオロ+必死」であった。還暦と言え、KYさんの岩に対する姿勢、そしてその登攀ぶりは真直ぐで、いつまでも憧れの大先輩である。また、お誘い・・・ご同行ください!
 

    
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6:20自宅発----佐土原駅----7:50日向サンパーク道の駅----9:10比叡トイレ横駐車場----9:25入山----9:40ファイナルスラブ取り付き到着----9:55登攀開始----11:35終了----登山道へ----11:50展望所----下降路----12:05Cフェース取り付き----12:15登攀開始----13:18登攀終了Cピークへ----下山開始----14:00下山---16:15自宅着

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