2006年11月15日 「水曜登攀隊/大崩山・小積ダキ・中央稜ルート・上部」宮崎県
そして、先週に続き、我々は林道詰めの車内で軽い前夜祭をした。 「明日、どうします?」 と、受けた電話に、 「登れなかった中央稜の上部をやっておきましょうか!」 と、言う以外になかった気がする。 義務感にかられた訳でもない。意地になった訳でもない。行きたくなった。それは自然な形で、あの深い懐の大崩の大自然に抱かれたくなったのだと思う。そうでなければ、3時間もかけて取り付きにたどり着く事なんて、辛いだけだと思う。でも、私達には一体何が見えていたのだろう・・・。先週、必死に登った下部の人口ルートの続き・・・、その続きを辿ってこそ見えてくるものがあるのでは・・・と、強く・・・そう、強く感じて仕方なかった。
35m V スクイズチムニー 20m V- ブッシュの中の岩穴 40m W+ クラックから凹角 20m W-A1 右にトラバースして草付の凹角 40m W クラックからスラブ ・・・と、日本の岩場には書いてはあるのだが・・・。
休憩は無し・・・で、登攀が開始された。空身でスクイズチムニーを攀じ登ると、10m程度登った最初のピンでリュックを上げる。もう一つのチムニー下に平行ピンがあるので、ここでピッチを切るのが順当だろう・・・。チョックストーンまで、チムニーに体を入れずに一気に登る。直上するとチムニーは、斜めに走るが、以前には中に入り込みここで大変な思いをしたので、チムニーから体を半分出し加減で上がると、案外楽に抜ける事が出来た。
チムニーの後、草付を抜け「岩穴」を通り「下の窓」をくぐる。よくぞここにルートを見出したものだと感心する程ミステリアスなルート設定だ!下の窓を抜け、広めのテラスから見上げる中央稜ルートは圧巻である。青空と、大崩特有の白い岩肌が、たまらなく美しい。緊張感を持続しながら、クラックを登り凹角の手前でハンギング体勢でのビレーとなる。下から吹き上げる風が強く冷たい。クライミングシューズで締め付けられる足先の感覚が無くなって来る。 凹角に、私の登るアブミをセットしながら、小松の親分はフリーで抜ける。上の窓からフェースをアブミトラバースすると、以前は無くなりそうな草付だった所の草がすっかり無くなり、ボロボロの屑岩の中をズリズリと這い上がる。
最終ピッチは、以前どおり2つにピッチを切る。スラブを右に出て少し直上し、アンダーフレークを掴み左へ移動すると、キツイ凹角を直上する。ここにも、小松の親分は親切丁寧にアブミやスリングを残置していた。楽に登りあがる事が出来た上に、切った最後のピッチを私に譲ってくれた。3ピンA0で掴み上がると傾斜が落ちて一気にピークへ到達した。この上ない達成感である。
11時58分。午前中にピークに立った!3時間28分の登攀時間とは凄いではないか!と自画自賛である。終ってしまえばこちらのもの?2週続けてでも上まで抜けた!という達成感は大きい。しつこい?いや情熱だろう!そう感じた小積ダキのピークである。冷たく強い風が吹く中での登攀は、辛く感じだが、ピークでは風に吹かれながらでも握り飯が旨く感じた。
2時間かからずに小積ダキから林道の駐車位置まで戻った。15時には、美人の湯の露天風呂からは、2時間20分前までは立っていた小積ダキを眺めていた。この上ない異質の満足感は、大崩ならではの満足感なのか?早く帰宅し、家族での食卓を恋しく感じていた。 日向市を抜ける頃、先週同行したタエちゃんから電話がかかって来た。仕事で、今回は同行できなかったが、そりゃ同じメンバーで完結させたかった事だろう・・・と思った。
14日/20:30自宅発----21:00都農神社----23:40登山口先の林道詰め 15日/4:00起床----朝食----4:47登山開始----6:08坊主尾根出合い----7:09象岩下トラバース----7:40坊主谷下----8:20中央ベランダ----8:30登攀開始----9:46下の窓----11:02上の窓----11:58小積ダキピーク登攀終了----片付け・昼食----12:40下山開始----14:36下山完了----15:00祝子川温泉・美人の湯---18:00自宅着
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