水流渓人「hot-news」

2006年10月11日 「水曜登攀隊/雌鉾岳・庵ルート」宮崎県
 

 1992年、山小屋「庵・鹿川」が新築されたのを記念して拓かれたルート・・・と、日本の岩場に記されている。去年、「四月の風ルート」に挑戦した。雌鉾のスラブを、難しいルートからチャレンジし始めたのは小松の親分である。川床から見上げた下部の岩は、あまりにも強い傾斜で、前に倒れんばかりに迫っていた。今回は、その四月風ルートの30m上流が取り付きとなる。私は、ルート図は確認したものの、じゃ「何ピッチ?」とか、「グレート?」の疑問も興味も無かった。各ピッチが始まる前に、相棒と確認し合う時、「あぁ〜、そんなに難しいグレートなのか・・・。A1って書いてあるなぁ〜。」と、ぼんやり思う「金魚のフンクライマー@水流渓人」である。それに引き換え、新しいルートを迎える度に、嬉しそうな相棒でもある。

今回も、実に気迫溢れるルートだよぉ(^^;)
   
上鹿川の田は、丁度、借り入れで忙しい! キャンプ場手前から見える鉾岳
  
登山口から、鉾立谷に歩き着く!
考えてみれば、標高差300mのアプローチ
取り付きを確認する。
親切な丸太斜輪切りのルート名看板あり!
 

 今日は、少し気温が高い。登山道を歩きながら、何の会話も無く吹き出る汗に耐える。いつもの休憩岩で、汗を拭き、お茶を一口・・・、今日はすぐに歩き出した。私は、先週に続きチョークバックを忘れた事に気付く。だからと言っていつもあまり使わない・・・。危険な所を登っているので「手に汗をかく・・」のだろうが、案外、無頓着な自分に気付く・・・。かと思うと、「今日も定期テストなのに、あいつはまた昨晩も勉強していなかったなぁ・・・。大丈夫なんだろか?」と長女の事を考え、明日から定期テストが始まる次女・長男になんと言ってハッパをかけようか・・・と考えていたりする。

【庵ルート】
 
5級下 Z- A1 205m 3〜4時間
 
1992年9月20日
三澤澄男・工藤利光・蒲原邦行・山本和也・生田真也
 
1P・・・30m 6+級 A1 スラブ
2P・・・45m 6級 スラブ
3P・・・15m 4-級 バンド
4P・・・35m 7-級 A1 スラブ
5P・・・15m 4級 A1 スラブ
6P・・・25m 6級 スラブ
7P・・・35m 6+級 A1 スラブから膨らみ
 
「日本の岩場」より
 
     
1Pの登攀が始まった。 すごく厳しい・・・(-o-;) A0でリードする。
     
1Pの終了点に到達し、確保体勢に移ろうとしている。
下から見ても判るが強い傾斜・・・、そしてピンが遠い(-_^;
3箇所、マイクロナッツ穴を見つけ、私はアブミにナッツをセットして上がる。辛い!
         
勝利?のV字サイン谷(^^;) 2Pの核心を越え、手を上げる小松の親分
     
3P、「15m!しかも4-級」と聞けば出番もある水流ちゃん・・・
これも、一応、正真正銘の初見のリードなのだd(-_^)good!!
      
4P・7-A1・・・と聞けば黙ってフォローの水流ちゃんヾ(^^ )、そして挑む小松の親分(^-^)
  

 4Pを登れば、中央バンドのすぐ下である。最近の水曜登攀隊は、以前のように休憩ばかりしていない。早い登攀速度でもないのだろうが、手早く次の行動に移る意識が出来ている。少なくとも私のこれからの登山の中に、アルパインだとか本格的な山岳を目指す事は、可能性が低いと思う。しかし、今後の登山へ対する意識とかではないのなら、どうしてより危険であり困難な岩登りをするのだろうか?人に聞かれ、何か理由を雄弁語りたいと思った時期もある。どうのこうのという前に、自分の内面に岩登りの世界は存在している気がする。早い行動は、少しでも危険を回避できる・・・。そして、危険な岩登りをしているのは、単純に「楽しい」からである。語る事無く、影響される事無く、淡々と行動して行き、少しでも多くの足跡を残してみたい。そして、それは、誰に評価される事も無く・・・という状況が、実にいい。
 あと3Pで終了・・・を、おそらく相棒は「楽しまなくては・・・。」と思っているのだろう。おそらく、多分、きっと私は「早く終りたい!」と考えている。水曜登攀隊の、いや小松の親分の「初見ルートチャレンジ」の精神に、私は有難く同行させていただいている。きっと、何かが自分の中に見えてくる・・・と信じている。

 
案外難しい5P/15m、あなどるかなれ! 四月の風と同じ確保点
  
傾斜がきついので、谷までスパッと切れ落ちて見える!間もなく素晴しい紅葉だ!
 

 「いい天気だぁ〜!」
 「いい風だ!」
そして、ここを登り終え、
「素晴しいルートだった!」
と早く言いたいと思った。あまり登られていない?のだろうか、苔や葉や砂や、滑る要素の多いルートである。1992年の開拓なので、支点のピンはしっかりとしているのだけが有難い!
 関係ないが・・・、鉾のスラブを登る音・・・と言えば、「ニッチニッチと攀じる!」とか、「ニジリニジリと攀じる!」とか、「ズズズ、ズリズリと攀じる!」とか言いたい!大意は無い。しかし、実にそんな感じだ!ここでそれを深めても仕方ない(^o^;)のだが、案外、厳しいルートを登っている最中に、「ニッチニッチ」「ニジリニジリ」「ズリズリ」と、頭の中で音がしている気がする。(>_<)ナンノコッチャ、ダケドソンナ人イマセン?

  
6P 4級/A1 チト、ホールドもあるが、やはりA1だった。
    
7P 6+級A1 強いスラブから・・・ 核心部の膨らみを越す!キツーッ
   

登攀終了となった樹林帯で、「まぁ、記念に1枚写してもらえますか?」
「はい!」「私も映してもらえますか?」と、お互いの写真を写し合う、
客観的に、気色の良いものではい【水曜登攀隊】のオヂサン2人d(-_^)good!!

 
登攀所用時間3時間55分
     
昼食を済ませると、フィックスロープの下降路をたどり登山道を下山する。35分。
  
    

 あの「四月の風ルート」で、鉾岳スラブの素晴しさ(厳しさ)を知った。カメレオンルート、KYCルート、庵の滝ルート・・・去年の水曜登攀隊が、何かとりつかれたみたいに鉾のスラブ(本当はスラブだけではなくかなりバリエーション方なのだ!)へ通った。足元に見える錦絵の紅葉の絨毯・・・。青い空・・・。そして、この「庵ルート」で、あの時の震えが再来した。素晴しいルートをたどる度、なんだか『おじぎ』をしたくなる。戻った登山口で、鉾岳を見上げ「ありがとう!」とつぶやいている自分がいた。
 「さぁ〜!温泉に行こか!!」
 もう、車の中で、次に登るルートの話が、今日の登攀を振り返りながら行われる。いたって前向きな、「初見ルートの旅」を続ける水曜登攀隊のオヂサン2名である。

    
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6:30自宅発----佐土原駅----7:30都農神社----鹿川キャンプ場----10:00入山----10:30取り付き----10:55登攀開始----14:50終了点----昼食----15:20下山----フィックスロープ下降路----15:55駐車位置下山----帰路----日向サンパーク温泉---19:20自宅着

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