水流渓人「hot-news」

2006年9月27日 「水曜登攀隊/比叡2峰・正面壁ルート」宮崎県
 

 いよいよ・・・というか、ついに・・・というか、とおとお・・・というか、待ちに待った?・・・といおうかぁ〜、小松の親分から「2峰正面をやりましょうか!」と連絡が入った。自分では登れないのだから、想像する事は止めて、もう一度、所属山岳会の報告写真を見直した。当時、整備中であったルートも、支点の打ち直し、若干のコース変更、ピッチの追加が【鹿川・庵】の方たちにより成され、0P〜5P(合計6P)に新装された。後は、多くのクライマーに楽しんでもらえれば、その甲斐有りであろう!!
 本日、平日にも関わらず代休参加が叶ったタエちゃんである。水曜登攀隊には、2004年6月「天空への階段ルート」、2006年6月「サマーホリディ83ルート」に続いての参加である。ちなみに、西都山岳会での付き合いも長いが、nama会長同様【鹿川・庵】の会員でもあり、多くの登攀や海外遠征登攀もしている女史である。この夏もヨセミテ遠征に行ってきたばかりで、この正面壁ルートも3度目の登攀である。ルートを知っていると言う者の同行は、とても心強いが、初見を大切にする小松の親分でもあるので多くを聞かない・み・た・い・だ!!

  
取り付きへと2峰の基部へ入る。 0ピッチ取り付きから見上げる。
     
0ピッチから登攀が始まった。 1P基部で・・・あ〜このハングを越すのかぁ〜
     

去年12月に、矢筈岳展望所より撮影した1枚。
   

1Pのハング越えをA0でクリアする小松の親分。
         
フォローするタエちゃん@ヨセミテ帰り
真下から写すと、ルートの豪快さが判る!
あれぇ〜、アブミ残置?回収不能?
上から、可愛く「後、お願いしまぁ〜す!」
と言う、タエちゃん@ヨセミテ帰り(^^;)
     

 タエちゃんがハングをやり過ごすのに苦労しているのを見ると、なんとも不安な気持になる。腕の力を使い果たさない様にしなくては・・・と、スタートするまでは考えていたものの、必死で左の大きなフレークにお尻を引っ掛ける事が出来た時には安堵した。その上のピンも取り難いが、ジンワリ立ち込めば、アブミのフィフィを架けることが出来た。ピンが多いとヌンチャクをたくさん使う。小松の親分は、初見でのリードなので、この先・・・を考えると、ギアが足りなくなる事を恐れ、上の支点にクリップ出来たら、近い下のヌンチャクは回収しながら登る。ヌンチャクが架けられていないと、届かない所も多くフォローでもしんどい場面が多く出て来た。何度かアブミにしがみつくと、今度はフリーで登る事が恐くなる。「体力温存!」とか「実力以上!」とか「無理無理!」とか「アブミ大好き!」とか、ハゲたおっさんが1人ぶつぶつ呟きながら、終始アブミの架け替えに徹して登る。客観的には見聞きできないだろうが、主観的に考えても呟く状況は気色悪いと思う!でも、考えてみると、案外ブツブツ呟き・・・囁き・・・ながら登る人って・・・多くありません??
 結構たくさん呟くと、ようやく終了点に付いた。今回は1Pを終えて、すでに口から魂が抜け出ていた(-o-;)。

    
2Pの凹角をリードする小松の親分。しかも、嬉しそうに・・・だ(^o^;)
  

 2P?・・・どう登ったのか記憶が飛んでいる。両腰に、細引きでぶら下げた「2丁鐙」をガンマンの如く、素早くたくし上げてはピンに架けた。・・・ぐらいの事しか思い出せない。途中、レストを取ろうと架けたフィフィが、カラビナに縦に引っ掛かり・・・そうかと思うと、下に下げたアブミが岩の隙間に挟まったりした。案外、イライラせずに、ゆっくり、恐る恐る、何度もやり直す自分に感心したりもした。しかし、そうしないと上に行けない現実もある。(^o^;)
 

    
2Pの終了点から3峰方向を写す。
  
  

3人で登るということで、私のビレーしている写真が存在した。タエちゃん、ありがとう!!
  
3Pは、とても傾斜のあるスラブを直上し、ハング下を右トラバースする。
 

 とても高度を感じるルートだ。ここまで来たら、小松の親分の登りが、とてもリズム良くなってきていた。ここも、たくさんあるピンの2/3程度しかランニングを取っていない(正確には、上を取ると下を回収しながら登っている。)ので、フォローする方としては、チト・・・ヌンチャク掴みが出来ずに辛い。私は、ほぼ正確(-_^;に人工登攀をしているので、快適であるが、さすがにハング下の豪快なトラパースでは、最大のビビリを感じてしまった。しかし、どのピッチの終了点も、ゆっくりと出来るサイズではない。靴を脱ぎてぇ〜!そればかり思っていた。

 
ハング下のトラバースへ向かうタエちゃん ハング下を通過し、振り返っての1枚!
    
未だにフリー化されていない4Pの出だし 5Pは登りはじめが核心
 

 4Pの後半は、今回伸ばされたルートへと入る。きついスラブをA0でやり過ごすと一旦かつての2峰正面壁ルートの終了点となるが、左上へ面白いルートが抜かれている。微妙な浅いクラックをどう使うかがポイントで、私はA0になったが、今回、恐怖ばかりを感じていた今までと違い、初めて楽しく思えた部分でもある。ハング下の、妙にくつろげる面白いテラスに平行ピンが打たれている。とても泊まりたくなるV字方のすっぽり収まれるテラスである。

  
4P終了点のテラスから1峰を写す。先週の「復活の日ルート」が良く判る。ニードルも絶景だ!
    
終了点へたどり着きましたとさ・・・
水流渓人とタエちゃん@ヨセミテ帰り タエちゃん@ヨセミテ帰りと小松の親分
終了点から見下ろせば高度感が素晴しい! 少し薄暗くなり始めた下降路
    

 薄暗い森の下降路で赤テープを見つけながら下っていた。登り終えた実感なんて、チトも感じていなかった。充実していたのだろうか・・・。その時は、そんな感情より、ただただ足を下に向けて踏み出す事だけを考えていた。一般登山道と合流する。そして車道に降り、車に戻った。とにかく下山報告を・・・と、山岳会の会長の携帯に電話をかけた。放心状態のままの会話だったと思う・・・「本格的な岩登りをした気がしました。」そう言うだけが精一杯だった。
 私が、このとてつもなく思えていた2峰正面の事に感動出来始めたのは、帰宅してカメラの画像を整理し始めた頃だった。
 

    
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6:30自宅発----佐土原駅----7:40日向サンパーク----比叡駐車場----9:20入山----9:40取り付き----10:00登攀開始----11:401P終了----13:052P終了----15:103P終了----16:50終了点----17:10下山開始----17:50駐車位置下山----帰路---20:30自宅着

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