水流渓人「hot-news」

2006年8月9日 「我が家は、家族全員が基本だな!/石堂山」宮崎県

 

9日は、ぜひ皆で「沢登り」をしよう!
そして、その沢は尾鈴の初挑戦のルートにチャレンジ!と決めていた。
皆の都合を合わせ難くなって来ている状況で、この日は特別だった。
ケガや体調不良になる者もいたが、前日に皆の意識は「沢」で統一された。
支度も整った夜、明日朝5時起床を決め目覚ましをセットした。
申し訳なさそうに、次女が私に「留守番」を打ち明けた。
「とりあえず、今夜は寝よう!朝起きて考えよう!」
そう言って、家の灯りを消した。

  
2005年3月に登った「烏帽子岳」からの「石堂山1547m」方面

 沢が無理となったのは次女が女性であるからだ。長男は鼻水を垂らし、次男は突き指で小指が腫れている。ママは左肘を腱鞘炎で腫らしている。「それでも計画通りに沢なのか?」と思った。しかし、「計画したんだから、なんとか実行できる方法はないか?」とも考えていた。朝、リーダーである私が判断しないと、それでも沢へ行くことに反対する家族はいない事に気付いた。だから中止した。『家族全員で出来る事・・・。』その大切さを忘れてはいけないと強く感じた。
 『よし!皆で近くのまだ登っていない山へ行こう!』その掛け声で、家族全員の気持ちが、また一つになった。実に晴れ晴れとした気分で、てきぱきと沢支度から通常の登山支度へ、そして『石堂山』もすぐに決まった。市房山、天包山と並んで米良三山の一つである『石堂山』1547mは、何度か計画して道路の崩壊などで断念していた山だ。山と渓谷社「宮崎県の山」には、登山口から登り2時間25分、下り1時間25分、井戸内峠から累計標高差967mと紹介されている。地形図を確認すると、この真夏に急登は?とも思うが、歩ける家族である事には違いない。

  
    
井戸内峠。ゲートは開いていた。 登山口で支度をする。
   

ヒオウギを見つけたd(-_^)good!!
       
杉林から6合目となる稜線へ ミヤマクワガタ(死骸)を見つけた。
   

 杉林の急登から、なだらかになり始めると、自然林となり6合目の標識に飛び出す。左から突き上げてきている上米良の1合目からの稜線に、実にお得な近道で合流するのである。子供たちは喜んだものの、ここからでもたっぷり2時間登りを楽しむ事になる。しかし、木陰が多く、立ち止まると谷から吹き上げて来る風が気持いい。何より、その中に『家族全員』がいるという満たされた気持に勝る物は無いと思えた。「標高が100m上がる毎に休憩しようか!」と言う私の号令に、「今、何m?」の質問が次第に多くなってきた。(-_^;

  
左に、堂々とした「市房山」1720mがデーン!と見えてきた。
 
7合目、ここは休憩ではない!と注意する。 登山道を彩るのはシコクママコナ。
  

 こういう自然林の登山道は快適極まりない。本当に登山で和やかな笑いの出る子供たちを見れたのは、嬉しかった。

 
8合目付近の林道に出た!山頂が見えた。 林道から、また登山道へ。
    

先頭を歩く次男が、またクワガタ♀を見つけた!いや、クワガタが私達を見つけた?
    
あれが山頂?違うのだよね・・・ これが山頂!
   
山頂?違う?を繰り返す事数回、急登が続く痩せ尾根。
   

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山頂からのパノラマ。
 
トンボ飛び交う石堂山山頂にて・・・【家宝・家族集合写真】
 
山頂で昼食をしたあと、こんな空を見上げながら、寝たりお菓子を食べたり・・・
こんなのんびりした山頂の過ごし方は、久しぶりだなぁ〜
  

 家族で山登りをするようになって、本当にいいナァ〜と思ったのは、皆で「山頂」を目指すという同じ目的を共有できる事。登り始めると、9合目を目指すしているのでもなく、山頂よりもっと上を目指しているのでもない!そりゃぁ〜歩いている間の思いや、歩いている動機は別々かも知れない。でも、歩き始めると家族6人は、「山頂」へ向けて歩いているのであり、登頂すれば同じ達成感に包まれる。そして、その深い自然の中で、家族がお互いの息遣いを近く感じている。言葉では説明しにくいが、何かを共有するという事を「言葉だけ」でなく、「理想だけ」でなく、形として実感できる。そんな感じだと思う。
 私は、より深い感動を「より冒険的」「より困難」という状況で作り出そうとしていたのかも知れないと思った。それは、家族で山登りを始め、流れとして岩登りや沢登りを体験し、それをやり遂げる事が出来た。自然な流れなのだろうが、いつもそれ以上の冒険(危険?)をすることが目標になっていないだろうか?そして、それを実行しない事は夢から逃げているのではないだろうか・・・と、自問してしまう。今回、素直な気持ちで「家族全員で・・・」という事を選べた。ひょっとして、それは冒険から逃げる事でなく、もっと家族の登山を深める意味が強かったのでは・・・と思い直した。深い部分での成長の様な気がした。

        
下山。達成した爽快感?いや、単に下山が楽だから? 会話の弾む楽しい下山である。
     
痩せ尾根で・・・。呼び止めないと振り返ってくれない。いい景色だぁ〜。
 
 
待つ次女。追いつく次男。 ヤクシマホツツジ・・・見っけ!
カナブン?あんたは何してんの? もうすぐ6合目
杉林に入ると終点は近い! 隠れる次女。見つける長女。
  
 

 次男も手をつながなくても下山できる。小学5年だから当然?そうかも知れない。でも、左手足に少し障害がある彼にとっての下山は、大変な挑戦である。上手く前に出ない左足を、彼は彼特有の動作で岩場やガレ場に踏ん張っている。後ろから見ていると、私は辛くて仕方ない。でも、彼は何も言う事無く当たり前の様に挑戦していく。その頑張りに、私は泣き虫の父親ではいられない・・・。登り2時間45分。下山2時間40分。下りに時間がかかるのは彼とママのスピードが家族のスピードを決定付けるからだ。それでいい。そうやって今まで私達家族6人は歩いてきた。登りは人並みに頑張っていると思う。誰に評価されるものでもない家族の登山は、他の誰にも評価されないから純粋にいいのだと思う。家族の中だけに流れる時間が多いほど、何か大切な「宝物」が増えていく。形でなく、物でなく、評価でなく、そんな何かだ。

      
ママ46歳。私47歳。いい歳だと思う。
  
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5:45自宅発----穂北コンビニ----7:20井戸内峠----7:30登山口----7:55登山開始---8:106合目----9:20林道8合目付近----10;40山頂----昼食・休憩----12:00下山開始----13:20林道----14:256合目----14:40下山終了----天包・小川経由----16:30自宅着

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