2006年6月14日 「1峰北面・サマーホリディ’83ルート/水曜登攀隊」宮崎県・比叡山
今日の「水曜登攀隊」には、同じ山岳会のマルチスーパーウーマンなタエちゃんが代休で参加だ。集合場所の道の駅「日向サンパーク」の駐車場からは、今は無き父が私を初めて磯釣りに連れて行った「七ツバエ」が見えていた。6時集合。 向かう車内では、わいわい楽しいおしゃべりが続き、あっと言う間に比叡のトイレ横駐車場にたどりついた。ニードルを登ってから取り付くか、直接向かうか迷っていた。空は青空が広がったが、時折吹く湿った風を肌で感じると、とりあえず北面をやってから考えよう!という事で意見が一致した。
ここで、私は地獄を見た!ハングを乗り越し、フォローしたタエちゃんはビレー位置に到達したのが声で判った!私に繋がっているロープの色で「ピンク登ります!」「どうぞ!」となった。ハング下までは何てこと無い!ここにRCCボルトが1本あった。そして、ハング下のクラックに小松の親分のセットしたフレンズがある。『よし!そこまで登り上がって乗り越そう!』と、タエちゃんが登った少し上を考えた。フレンズを外し、下のクラックに不安定な半ばレイバック状態で、ハング上のきついスラブにホールドを探った。一歩ずり上がれば、小さいカチホールドに届きそうだった。フォローなので思い切って行けばいいだろう!と、左は下のクラックを押さえたまま、右でカチホールドをとった!しかし、体勢の悪さと言ったらこの上無い・・・。右に重心を移そうとしたら左足が抜ける。なんとか右を10cm程上げて耐え、右カチホールドを左でも押さえた・・・・・が、しかし、このブタな体重をカチだけで持ち上げれる力はどこにもなかった。無理矢理右足を上げようとして滑った。一瞬、身体はハングの外に投げ出される感じで、ロープの弾力でビョ〜ンとぶら下がってしまった。鼻がツーンとする感じで、体勢を立て直そうにも状況が判らない。ようやく、RCCボルトに足が届き、まず『どうしようか?』と考えてみる。「大丈夫ですか?」と上から声がかかる。「いや大丈夫じゃない!墜落した!」と答える。 少し、指と腕の力を回復させようと、しきりにシェイクを繰り返した。『やはり、タエちゃんの行ったところかな?』と、右にズリながら右端の縦ホールドに指がかかったが、左が押さえきれず、フリクションだけでは上に行けなかった。それから、さらに2度ぶら下がり状態になってしまった。どう脱出していいのか判らなかった。肩にはスカイフックもある。出せばアブミも持っていた。でも、なんとかならないかと思った。なんともならない程、指と腕に力は残っていなかった。「タエちゃんのもう1本のロープを下ろします!」スルスルと黄色いロープが、私の近くに来た。張られた黄色のロープにセットされたスリングに右足をかけ少し上がる。少しピンクのロープが上がる。2度繰り返すと、傾斜が落ち、カチホールドが有効な位置に来た。 そこまでして「岩登りなのか?」と、イライラするものか残った。出切る筈ない私の限界なんだろう・・・と思ってしまった。辛かった。
なんて事無い3Pを登ると、Aピークに抜けた。予報通り、午後から雨が降るナァ・・・と、湿った風が吹いていた。昼食を取りながら、満足げな小松の親分とタエちゃんの会話を聞くたび、いじけた卑屈な私の言い訳を話してしまった。下降路をたどりながら、なかなか気分が変えれないでいた。「やっぱ、もう一回挑戦すべきですよ!」と小松の親分に言われ、恥ずかしくなった。リードでは登れない事は判っている。ならば、また誰かにリードしてもらいロープを張ってもらってのトライしか出来ないのだから・・・。 しかし、腰の悪い小松の親分は、嬉しそうに「次はどこに挑戦しますか?」と、あくまでも前向きである。
麓屋に寄ってみた。かつて風呂やトイレがあった場所を整地し、new麓屋が出来ようとしていた。しかも、その作業のほとんどを山の会の有志で実行していた!!!
5:25自宅発----6:05日向サンパーク----7:20比叡駐車場----7:40出発----8:30登攀開始----9:40/1P終了----11:00/2P終了----11:30Aピーク終了点----休憩----12:10下山開始----12:40下山----麓屋----日向「お舟出の湯」----16:10自宅着
Copyright (C) 水流渓人 All Rights Reserved
〔BACK〕