水流渓人「hot-news」

2006年6月14日 「1峰北面・サマーホリディ’83ルート/水曜登攀隊」宮崎県・比叡山

 

午後から雨の予報・・・。
それでも・・・、いや、それならもっと早く出発しよう!
「北面、やりましょう!」と、小松の親分は言った。
  

 今日の「水曜登攀隊」には、同じ山岳会のマルチスーパーウーマンなタエちゃんが代休で参加だ。集合場所の道の駅「日向サンパーク」の駐車場からは、今は無き父が私を初めて磯釣りに連れて行った「七ツバエ」が見えていた。6時集合。
 向かう車内では、わいわい楽しいおしゃべりが続き、あっと言う間に比叡のトイレ横駐車場にたどりついた。ニードルを登ってから取り付くか、直接向かうか迷っていた。空は青空が広がったが、時折吹く湿った風を肌で感じると、とりあえず北面をやってから考えよう!という事で意見が一致した。

  
うろうろして取り付きを探す 取り付きとなるボルト見っけ!
  

支度をしながら、ルート図と照らし合わせる。
タエちゃんは、4日前にnama会長と登っているが、
水曜登攀隊の初見を尊重し、喋る口をしばし封印した!
いつもの様に「あとは行ってみにゃ判らん!」という合言葉で登攀開始となる。
  
  
1Pをスタートする。 1P中間部。
  
  
フォローするタエちゃんを写す!
5+級とは思えない厳しさである・・・。
       
ニードルが後方に聳える! さぁ!核心の2Pへ取り付く!
    
2Pの核心となる小ハングを乗り越さなくてはならない!ほぼナチュプロだ!
    
2Pのハングへ取り付くタエちゃん 上手い事ハング上に出た!
   

 ここで、私は地獄を見た!ハングを乗り越し、フォローしたタエちゃんはビレー位置に到達したのが声で判った!私に繋がっているロープの色で「ピンク登ります!」「どうぞ!」となった。ハング下までは何てこと無い!ここにRCCボルトが1本あった。そして、ハング下のクラックに小松の親分のセットしたフレンズがある。『よし!そこまで登り上がって乗り越そう!』と、タエちゃんが登った少し上を考えた。フレンズを外し、下のクラックに不安定な半ばレイバック状態で、ハング上のきついスラブにホールドを探った。一歩ずり上がれば、小さいカチホールドに届きそうだった。フォローなので思い切って行けばいいだろう!と、左は下のクラックを押さえたまま、右でカチホールドをとった!しかし、体勢の悪さと言ったらこの上無い・・・。右に重心を移そうとしたら左足が抜ける。なんとか右を10cm程上げて耐え、右カチホールドを左でも押さえた・・・・・が、しかし、このブタな体重をカチだけで持ち上げれる力はどこにもなかった。無理矢理右足を上げようとして滑った。一瞬、身体はハングの外に投げ出される感じで、ロープの弾力でビョ〜ンとぶら下がってしまった。鼻がツーンとする感じで、体勢を立て直そうにも状況が判らない。ようやく、RCCボルトに足が届き、まず『どうしようか?』と考えてみる。「大丈夫ですか?」と上から声がかかる。「いや大丈夫じゃない!墜落した!」と答える。
 少し、指と腕の力を回復させようと、しきりにシェイクを繰り返した。『やはり、タエちゃんの行ったところかな?』と、右にズリながら右端の縦ホールドに指がかかったが、左が押さえきれず、フリクションだけでは上に行けなかった。それから、さらに2度ぶら下がり状態になってしまった。どう脱出していいのか判らなかった。肩にはスカイフックもある。出せばアブミも持っていた。でも、なんとかならないかと思った。なんともならない程、指と腕に力は残っていなかった。「タエちゃんのもう1本のロープを下ろします!」スルスルと黄色いロープが、私の近くに来た。張られた黄色のロープにセットされたスリングに右足をかけ少し上がる。少しピンクのロープが上がる。2度繰り返すと、傾斜が落ち、カチホールドが有効な位置に来た。
 そこまでして「岩登りなのか?」と、イライラするものか残った。出切る筈ない私の限界なんだろう・・・と思ってしまった。辛かった。

       
必死で耐えようとした左の中指にはパンパンに張った血豆が出来ていた。
    
2Pの平行ピン!実にクラッシックだ! 登攀が終了した。
  
  
小松の親分とタエちゃん。 水曜登攀隊。後方は雨雲接近!
 

 なんて事無い3Pを登ると、Aピークに抜けた。予報通り、午後から雨が降るナァ・・・と、湿った風が吹いていた。昼食を取りながら、満足げな小松の親分とタエちゃんの会話を聞くたび、いじけた卑屈な私の言い訳を話してしまった。下降路をたどりながら、なかなか気分が変えれないでいた。「やっぱ、もう一回挑戦すべきですよ!」と小松の親分に言われ、恥ずかしくなった。リードでは登れない事は判っている。ならば、また誰かにリードしてもらいロープを張ってもらってのトライしか出来ないのだから・・・。
 しかし、腰の悪い小松の親分は、嬉しそうに「次はどこに挑戦しますか?」と、あくまでも前向きである。

    

 麓屋に寄ってみた。かつて風呂やトイレがあった場所を整地し、new麓屋が出来ようとしていた。しかも、その作業のほとんどを山の会の有志で実行していた!!!

  
そして、其処からは絶景が望める。
  
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5:25自宅発----6:05日向サンパーク----7:20比叡駐車場----7:40出発----8:30登攀開始----9:40/1P終了----11:00/2P終了----11:30Aピーク終了点----休憩----12:10下山開始----12:40下山----麓屋----日向「お舟出の湯」----16:10自宅着

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