2006年6月7日 「ニードル左岩稜/水曜登攀隊」宮崎県・比叡山
上の写真は、左がニードル。そして、右がその左岩稜ルートの後半となるAピークへのルートである。この割れ目は、ニードルの頭からラッペルした位置になる。向こうに見えるのが、比叡2峰である。頭から降りてそのまま下降路をたどる時は、この割れ目の向こうに降りる。 いつも、ニードルは嘲笑うかのように私達を跳ね除けていた。下山後大雨になった日、いっぱいいっぱいだったスーパールート、恐怖と敗退を体験した右ルート、手強すぎたWフレーク、突風が吹き荒れた日、どれひとつとして同じ表情はなかった。しかし今日、梅雨の合間の晴天を迎えた。 気象のコンディションは良いが、小松の親分は椎間板ヘルニアとなりコルセットと鎮痛剤でこの日を迎えている。でも、彼のモチベーションは、この【割れ目】で、当然の様に完登すべく右のルートだけを狙っていた。 「水曜登攀隊の精神・・・初見ルートへの挑戦は、やはり興奮しますね!」 と、晴れやかな顔で言ってのけた。痛くないのか?止めてもいいんだ!・・・と、私に言わせることもなく、しなやかに上を目指した。
ようやく、この核心5Pを登り、小松の親分の感が戻ってきた感じがする。登りながら、終始自己確認をしていた。初見には多くのリスクがあるが、私達はいつも確かめ合いながら、挑戦してきた。通院しながら、多分気力でリードしているのだろうが、素晴しい登りをまた見せてくれた。 完治する事を祈るばかりだが、その痛みと焦りとイライラは判る!私も椎間板を悪くして半年の入院をした事がある。現在、ママも治療を続けながら日々を頑張っている。なんとも時間のかかる病気だが、これまた水曜登攀隊の一部として受け止めて今後に繋げて行こうと思っている。私達は、どれだけハードに上だけを目指して挑戦するか!ではなく、できる限り「長く岩登りを続けたい!」と思っている。その時々に合ったルートを楽しめればいいかなぁ〜と思っている。焦る必要はまったくない!そう思っている。
やはり、初見ルートへの挑戦は、充実感が違っていた。それは、どんなルートでもそうだが、かなりの神経をすり減らし、緊張を維持しなくてはならない。だから、大きな充実感を得る事が出来るのだと思う。素晴しい一日を、この比叡の岩場に感謝したい。パートナーに感謝したい。 焦る事無く、影響される事なく、淡々と水曜登攀隊のペースで続けていきましょう!そして、それこそが何か素晴しいものを残してくれそうな気がします。
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