少し風がある。テーブルや道具をテントに引っ張り込み、朝食を準備した。ＡＣ電源があるので、炊飯は簡単だ！昼食用に門司で買った「辛子めんたい」を入れたオニギリも作った。キャンプ場での集合写真は、たぶんもう機会がないかも・・・と思うと、写せる時に写しておく！あれこれ準備をして９時にキャンプ場を出発した。
　安芸大田市の三段峡までは１時間である。混雑前の移動はお手のもので、一番近い駐車場にも楽々である。

　歩き始めると、その渓流のスケールの大きさに驚いた。２日続けての歩きで、子供達はちょっと不満もあるみたいだ。私とママは嬉しいばかりで、遊歩道沿いに咲く花が気になってしょうがなかった。たくさんの種類の花達に出会いながら、皆に遅れながら歩いた。でも、分岐来たり、間隔があいてしまうと子供たちは待っていた・・・その習慣は、家族登山で培った習性である。
　この三段峡には「五大壮観」と呼ばれる『黒淵』、『猿飛』、『二段滝』、『三段滝』、『三ツ滝』の景観がある。三ツ滝以外は見ることに決めていたが、結構時間がかかるトレッキングとなった。１０時に出発し、出会橋が１２時だった。この出会い橋には、タクシー・バスが来ている。ひょっとして・・・と思い、バス停に時間表を確認に行ってみた。１３時より３０分置きに長淵に出ている事が判ったので、やる気の無い子供達（特にいつもの長女・次男）の為に、帰路バス利用（それでも11kmは歩くのだが・・・）を約束して「三段滝」「猿飛」「二段滝」へ向かう事にする。まぁ、大して興味の無い頃だろうし、無理強いも可哀相かな・・・と思ってしまう。アウトドア・・・やはり、厳しさより楽しさであるわいなぁ〜！

この森の雰囲気は、本当に安らぐなぁ〜！

　水梨駐車場で、一気に観光地ムードになる。ここまで5.7km歩いてきたのだが、駐車場からの観光客ですれ違う人も増えた。５分歩けば、茶店に到着した。トイレを済ませ、「三段滝」に向かうが、昨日の宮島の歩きと今日の歩きで、歩くのはもう充分モードが次男･長女には漂っている。1.5kmをブツブツ言いながら歩いていた。しかし、到着しなくては終らない事は頭のどこかで判っているらしく、足は前に進んでいる。到着したら引き返さねばならない事も判っている。しかし、引き返しても分岐からさらに1.5km先の「猿飛」「二段滝」へ行くことも判っている。ならば楽しめばいいのだが、意地張って歩きたくなさそうに歩く子供でもある。
　実に素晴らしい景観である。滝や渓谷もさながら、森の素晴らしさは九州では味わえない雰囲気の森である。見渡す限りの新緑に、震えが来るほどである。いつも、私は子育てに「本物の自然」を経験させてあげたい。そこに行く事で、そこを見る事で、彼女ら、彼らが将来からだの何処かに覚えていれば、きっとその感覚は回帰する本能として宿ってくれるに違いない！と思っている。自然の中に身を置き、それに価値観を見出せる感性を有すれば、子供達はきっと「豊かな」人生を歩いてくれるものと信じている。いくら金を消費しても、いくら物を駆使しても、いくら言葉で語っても、単純にそれが「豊かさ」ではないことを子供達は知っているはずだ。「豊かさ」とは、ほんとうにピュアな部分で、「自分に克つこと」「足るを知ること」・・・そんな中でなくては触れた事にも感じた事にもならないと思う。それを感性として身につければ、日常において、見上げた星にも・・・、吹く風にも・・・、水の流れにも・・・そんなささいな事に感謝し楽しむ事ができると思う。だから、私は家族と居る限り「遠慮」「我慢」「取り繕い」「体裁」は必要ないと思っている。家族という単位の中では、素直に自分を表現する事が大切だと思う。

　明日から仕事のあきジィ達は、今夜の夕食を皆で食べて帰る。さびしいが、仕方ないヨナァ〜！三段峡からの戻りに、途中の食料品店で食材を調達し、バーベキューをした。延々と飲み明かしたいが、それは無理・・・。「今度は夏に会えるかﾅｧ・・？」と、口にするたびに寂しい気持ちになってしまう。ゆきバァと夫婦という形態を形成し、ますますかけがえの無い親族である。賑やかに過ごした２日。あきジィとゆきバァ・・・２人の生活に戻るとき、きっと寂しいだろうﾅｧ・・・と思ってしまう。そう思うとき、私はママを遠く宮崎まで連れて来てしまったことを、少し後悔してしまう。でも、この特別な２日間の思い出があるから、次回への楽しみも膨らむというものだ！
　話したい事の半分も話せなかったが、夜９時、あきジィ・ゆきバァの乗った車はキャンプ場を後にした。その後、私は、昨夜飲み潰れて付き合えなかった子供たちの「大富豪ゲーム」に参加した。