2006年4月29日 家族登山「親子で3KNスラブスーパールート!!」宮崎県・比叡山
「どこ登る?」と、長女と長男が聞いた。全員でなんとか登ってみたい!との先走った意気込みだけで興奮していた私は、全員で登る為の確保システムばかりをイメージしていた。良く考えても、体調の悪いママに「岩」というモチベーションを持たせるのは可哀相な事は理解している。次男に比叡のマルチを登らせる・・・というより吊り上げる状況しかない事も理解している。そういう状況であるに関わらず、『それでも岩登りなのか!』という実に無理な傲慢な計画なんだ!!と言う事である。判っている!判っているけど・・・なんなんだろう・・・この感覚は。自分で抱いた夢に押しつぶされそうになっているのかも知れない。 なんか少し重い気持ちまま、それでも家族を比叡に連れて来てしまった。ママと次男は、登山道から1峰展望所で私達を待ってくれる事になった。車の所で、「調子が良ければ、スーパールートを登るかも知れない!」と告げた。自分のテンションを上げなければ、いや上げる事こそが親子であれチームのリーダーとしての欠けてはいけない大切な事だと思っている。「楽しもう!」そういう気持に入れ替えが出来たのは、取り付きにつく頃だった。
3KNスラブの1P/4+級/30m・2P/4-級/35m・3P/4級/30mを登り、 スーパールートは右へ4P/5-級/40m・5P/5+級/45m・6P/3級/15m
「調子良ければ、スーパールートに・・・。」と言ったが、迷いも無くスーパールートへ挑戦した。どのグレードであれ初見リードというのはぞくぞくしてしまう。娘の確保で安心はしていないが、何かあっても納得できる確保ではある。前回登った左のノーマルルートを見ながら、今スーパールートを登って居るのは、欲や試練というものでもなんでもないと思った。理由は簡単である。私さえ登れれば、後はフォロー出来る長女であり、次女であり、長男であるからだ。それだけだ。 話は変わるが、HPに自分の記録を残す事がとても苦痛になる時があるという話を聞いた。HPを開設したばかりに、登山が自分の為なのかHPの為なのか判らなくなってしまった!と言うのだ。私はそうは思わない。誰の為でもなく自分の為、家族の為に、出来事を残せるなんて素敵な事だと思っている。出来事がなければ更新はなしでいい。たまたま出来事があるから更新しているだけで、しかも素敵な出来事がイロイロあるから、行って楽しみ記録して楽しめる。今回も、「家宝」となる記録をこうして書けるのは有難い気分だ! そういうHPネタでスーパールートを選んだのではなく、「岩」は気持ちを実に純粋にしてくれ、そして駆け引きなしに挑戦するものを讃えてくれる事を知っているからだ。そして、この子達が大人になった時、家族を持った時、きっとこの日の事を思い出し、何かの糧にしてくれるだろう事を信じて居るからだ。だから、私は手を抜く事無く、出来る限りの親としての自分をさらけ出したいと思っている。思い続けたいと思っている。
よし!長女。テンションありありだが、なんとか頑張り通して登り上がる! ビレーする者、その厳しさを思い知った上でリード者を確保せよ!!と注意した。身をもって知った事と思う!
よし!長男。この核心ルートで、ようやく感を取り戻してくれた!いい登りだった!!
よし!次女。するする登ってきたので驚いた。セオリー通り、タッタッターと核心部での動きが素早い!
5Pを登り終え、6Pはロープ1本で中間にカラビナ通しだけで2人が入り3級15mを済ませ、ママと次男の待つ「展望所へ急ぐ。ナックルピークに立つと展望所のママが見えた。次男も手を振った。こうして、何事も無かったように合流できた事は素晴らしい事なのだが、これが当り前でなくてはならない。ガブガブと水を飲み、遅い昼食を少量で済ませた。
「危険さ」だけが、成果とか満足ではない事は常識的に知っている。では、言っている事と、やっている事が違うのでは?と言われそうだが、それを理由付けしたり、言い訳する気は無い。「楽しい」だけだ。そして、その行為は、冒険の要素を秘めた魅力的な遊びに、決して損は無い行為だと思っている。「冒険」は、そこらへんにゴロゴロ転がっていて、それを「魅力的」と感じる事のできる感性のみが興味と挑戦をかき立ててくれる。こだわりのない遊びは、私には出来ない。家族にもさせたくない。だから、「岩登り」を親子で挑戦した。下山する時、あちこち擦り剥いたり、引きずる足の事を、誰もが満足げな表情で語った事・・・親父は見ていたぞ! 「ビレーしているときは、ヘルメットを脱いでみたり、目を擦ってみたり、おしゃべしてみたり、全然登っている人をみなかったり・・・はダメだからな!」 と、長女に注意している私の横で、次女がママに 「こうやって連れて来るんだから、それくらいは覚悟の上でないと、もうついて来てあげんかいね!」 と、聞こえるように耳打ちしていた・・・・・。
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