水流渓人「hot-news」

2005年10月5日 「雨の第一スラブ登攀・比叡1峰/水曜登攀隊」宮崎県

   

   
雨の登攀訓練となる・・・。
  

 当日の朝、比叡方面の天気予報は、かなりの確立で「雨」であった。「とりあえず・・・。」と言う事で、私は、娘達を佐土原駅に送り、国道10号線を北上していつもの都農神社へ向う。
 その頃、曇り空ではあるが、お互い「振りゃせんじゃろ〜!」みたいな勝手な思いがあったのかもしれないが、高千穂方面へ向う国道218号線から槇峰大橋にさしかかると、いつも見えている比叡1峰や矢筈岳の岩峰は雲の中である。

  

 雲の中にポッカリと矢筈岳、ため息の出るような水墨画の世界が広がっているが、それは「見る」という世界の話・・・。対岸の雲に隠れて見えない比叡の岩場に取り付くには「恐怖」をもってしか見えてこない。

       

 比叡1峰の登山口となる駐車場。立派なトイレはいつも有り難く使用させていただいている。水曜日は、北方町のゴミ収集車が来て、このトイレ横のゴミを回収しているが、やはり自分のゴミぐらいは持ち帰りたいものである。

   

 この駐車場から第一スラブ方面を見上げるが、すっぽり雲の中である。
 私がトイレに入っている内に、小松の親分はトイレ横の1〜4スラの取り付きになっている基部を偵察に行った。
 「しっかり、濡れてますねぇ〜。」との報告。

             

 少し雲が切れて、ニードル方面が見えてくる。
 霧雨に包まれながら、気乗りのしない様子の小松の親分に、「登ってみましょう!」と気分を高めてみる。

  

 岩登りで、「雨」が降れば当然中止である。登攀中なら撤退が順当だと思う。それだけ危険度は高まる。経験の無い「雨の登攀」も正に初見の事であるが、それをあえて経験しておく事は、大切な経験となる事は確実である。それをどれだけ強い気持で望み、そして維持し、確実に安全な方法で切り抜けることは出来るはずである。敗退もまた良し!の手段である。
 第一スラブルートを登ることにした。傾斜はさほどでもなく、入門ルートであるが、ピンは最小限にしかない。果たしてそれが、この雨の中でどうなるかは判らないが、経験の有るルートであることには違いない。
 すべては、「水曜登攀隊」の今後の為・・・

  

 濡れた苔でぬめる1Pであったが、なんなく草付のテラスへ抜ける。
 写真は、草付テラスから2Pへ向う小松の親分。段違いを乗り越すと、一気に高度感が出る場所だが、本日は雲で隠れていた。問題なく効くシューズの摩擦に、少しホッとする。

  

 3Pの終了点。亀の甲スラブの基部テラスに立つ。俄然雲の中を登っている。それにしても、この湿度で蒸し暑く感じてしまう。引き返すならここだが、前に気持が行っているので、その言葉も出ない。

  

 残念だが、迫力のニードルはボンヤリとしか見えていない。
 濡れたスラブ・・・或いは濡れているように感じるスラブは、やはり難易度が上がる感じた。知らず知らずに、足のつま先や手の指に強い緊張を感じている。

  

 4Pの亀の甲スラブへ。出だしのチムニーが滑って嫌らしい。フォローで行った私は、上に上がりすぎてどうなる事かと思った(^^;)
 高度感の出るスラブは、濡れても快適そのもので登れる。

  

 5・6Pは、一気にロープを伸ばす。中間地点からピンがなくなるので、20mもランナウトするとさすがに怖い。おまけに、とうとう途中から本降りとなってしまった。
 ビレー位置から下を見下ろした写真。一瞬、トイレ横の駐車場が見えた。

  

 7Pは、スーパーへ行くつもりでいたが、雨足は強くなるばかりだ。諦めきれない小松の親分の顔であるが、ここは強くノーマルから草付に逃げて上がる事を主張する。

  

 あと2ピッチで抜けると思うと、少し気が楽になるが、本降りになってきた雨は、とうとう岩場を流れ出している。
 基本の動作は、緊張が続く間はしっかりとしていた。今日は、駐車場まで気を抜くわけにはいかない。

  

 7Pのノーマルを行く。いつもなんでもなかったスラブだが、フリクションクライムの箇所が多く、とても悪く感じた。右に逃げようとした草付も微妙に難しい。本日1番のグレードに感じた。

    

 最終となる8Pであるが、滝のように流れる雨に、しばしホールドやスタンスが信用しきれない。

  

 カムを足してリードした小松の親分・・・さすがである。いつもはなんともないこのピッチも、慎重に行かねば大変な事になりそうな感じがした。 
 終了点から下降路入口までコンテで行く。

  

 やっと下山。雲に煙る千畳敷。

  

 千畳敷からニードルを見上げる。

  
  

 まっ、いつもの水曜登攀隊だから・・・と、一応記念撮影をするオッサン2人である。私が半分にちぎれてしまっているではないか!今回は、いつもの「ピースサイン」はない。

  

 帰路、それはそれは凄いドシャブリとなった。本当に今後へつながる良い経験になったと思う。

   
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