2005年7月18日 「尾鈴・甘茶谷/家族沢登り」宮崎県
なんだか、家族中に「夏風邪」が蔓延しつつある。前回の沢登りで、ママは鼻水たれになった。以前から鼻水たれの次女と長男・・・、しまいに私もタラタラ鼻水タレになった。 ・・・で、水曜日がやってきた。長女は課外授業で学校へ、次女は学校の海の家合宿に出かけていった。また、前回と同じメンバーで、どこ行こうか悩んだが、蒸し暑い登山より、「ヤッパ、夏は沢やな!」のセオリー通りが筋だ!しかも、水に入らん様に沢登り(そんなん出来るんかいな(^o^;)?)ならエエんちゃう?という事になった。
ん?今回は、尾鈴でも一番手前の「袋谷」の沢を選んだ。一旦、沢から林道が大きく離れる。その間に、言い知れぬ素晴らしいゴルジュが体験できるのである。林道が見えるまでゆっくり楽しめば、それなりの沢の満足は得られる。なんせ、尾鈴の沢は、期待を裏切るはずが無い。 とかなんとか言いながら、「袋谷」は実に3年ぶりである。たぶん、大きな3つの滝が登れないだろうから、ドギツイ急登の「巻き」がある。しかも、結構危険度は高い。やはり、慎重に取り付き、前回の滝登りや泳ぎでは体験できない、「巻く」という大切な技術習得に大変有効な沢である。釣り人も結構少ないので、副産物?も期待は大きいヾ(^^ )。
「巻く」と言っても、ぎりぎりまで可能性は追求したい。側面の攀じれそうなところを見つけ、ロープを出す。8m程度の登りとなるが、立木支点で次男・長男・ママの順に登らせる。リーチの足りない次男は、中間部の立木ホールドに手が届かず、ごぼうで抜く。
尾鈴は、石の大きさが素晴らしい。本当に迫力のある谷が多い。自宅から30分圏内だと言う幸せ・・・。この夏は、尾鈴の沢だけでも堪能しきれないほどに有り余るという・・・幸せ!である。
面白いなぁ・・・兄弟って!駆け引きも遠慮もないとはこの事だ!釣った次男は、容赦なく自慢するし、釣れない長男をバカにする。イライラ・ムシャクシャするのは長男。焦れば、変な所にルアーは飛ぶし、木の枝に引っ掛かる。その都度、弟の容赦ない罵声が飛んでくる。「釣ったが勝ち!」その通りである。親父は、経験と、ズルさと、いいポイント狙いで3匹ゲット!フッフッフ〜どうだ! 最後の「巻き」を終えた所・・・入渓しておそらく1.5km程度しか過ぎていない所で、左からの尾根が迫る。それを過ぎたあたりで林道が近づくのは知っていた。4時間、ゆっくりと楽しんだので遡行終了とした。・・・が、見えたのは、3年前はヒノキの苗木だった斜面が、猛烈な藪となっていたのである。(-_-メ)2m以上もある雑草が生い茂り、視界なんかあったモンじゃない。ノイバラに閉口しながら、しゃぁない!と、かき分け登る。30分もかかって、ようやく林道に飛び出した時には、ため息しか出なかった。息子達、そしてママ・・・よく頑張ったナァ〜。気が付けば、私の手は傷だらけになっていた。
沢を歩く時、不思議に止まっていた皆の鼻水は、また夕食の頃ポタポタと思い出したようにたれ始める。そんな言より、今日の副産物の「ヤマメの塩焼き」を食べながら、たくさんのシーンを思い出しては話した。 「沢を登ること」「巻くこと」「釣ること」「藪を歩くこと」「複雑な流れ」「滑ること」「ハーネスのこと」「ロープのこと」「シューズのこと」・・・。数々の今日のシーンが話題に出た。息子達は何を思い、勝手な私の提案に付いて来ているのだろう・・・と不安になる。本当に子供達の為になっているのだろうか・・・と疑問にも思う。稀で貴重な体験かも知れない。しかし、我が子たちは、ほんのささいな小さな日常の幸せ・・・を、見落としていないだろうか?とも思う。 会話の途中で、次男が唐突に私に聞いた。 「お父さんって、出来ないことってある?」 少し、私はたじろってしまった。彼の中での私の存在は、そんな大きなものなのだろうか?いったい私をどうとらえているのだろうか?・・・と。でも、その答えは見出す事は必要もなく、時が彼に真実を教えてくれるはずであり、自然な形で、私は息子達にすべての事を越えられていくのである。それだからいいのであり、それが自然なのだと思う。 「出来ない事かぁ・・・。お父さんは、ゆっくりしか歩けない。長い距離も歩けない。難しいルートの岩登りは出来ない。釣りに行ってもあまり釣れない。沢山ありすぎて全部言えんなぁ〜。」
Copyright (C) 水流渓人 All Rights Reserved
〔BACK〕