2005年6月1日 「ミヤマキリシマと新燃湖のコバルトブルーに逢いに行く」宮崎県/新燃岳
決して、相棒が仕事でクライミングが中止になったからでない。 決して、相手がいないからママを誘ったのでもない。 そして、前夜にママと夫婦喧嘩もしていない。 ましてや、おべんちゃらみたいに、このページを書いているはずでもない。 ほら!タイトルに書いた短歌みたいなやつがありまっしゃろ!! 「新燃の 火口湖よりも 深い愛 ピュアなコバルト 湛える夫婦」 私達夫婦の愛はいつも新鮮に燃えている。霧島の懐深く密かにたたずむ新燃岳の火口湖は、いつも神秘の色を湛えているが、それをも超越する深い愛に私達は包まれている。そう、純粋なまでに何の混じりけもないコバルトブルーの愛が、私達夫婦の間には滾々と湧き上がり湛えているのだ・・・。ウーッ寒ぅー(>_<)
この時期、九州の山々はミヤマキリシマでピンクに染まる。霧島へ行くことだけは決めていたが、どんな印象的な楽しみ方をしたらいいだろう・・・と思っていた。深い味わいを持った深山霧島の花・・・、それはこういうことだった。
前夜、喧嘩もしていないのに(^o^;)あまり口をきいてくれないママに、キイチゴを採って手渡した。爽やかな自然の甘酸っぱさは、次第にママの口に言葉を取り戻してくれた。(-_^; ゆるい登りをひたひたと歩きながら、緑だけの森にいた。緑の濃淡と林床のコントラストは、本当にやさしい色だ。感じようとする心さえあれば、沢山の色が見えてくる。わずかな空気の動きを感じることが出来る。夫婦で歩いている事が当り前でなく、とても有難いことに感じ続けながらの時間を過ごせる。
何かをする時、私は周囲にも同じ様に楽しんで欲しいと願う。その思いが余り、利己的な期待をもしてしまう。体調の悪いママに、もっと明るく出来ないか!などと、自分の明日の休みを楽しみたくて、仕事の疲れを癒したい気持だけで、さんざんママに悪態をついた。側にいた長男が、いつも寡黙なはずの息子が、饒舌に私に話しかけ仲をとりもとうと気を使ってくれた。彼は、その時の話を姉2人にもしたみたいだ。 いつも間にか子供達に気使われる親になったこともくすぐったいが、ママにとっても何の飾り気もなく自分のままでいられる空間・・・それが家庭である。喜怒哀楽を自然のままに出せる場所が家庭であると思っている。声を荒立てて、腹の内を出せば、自分はダダをこねている我儘な親父なだけである。自然の中で、たった1回深呼吸をしたら、そんな小さな感情はフッと消えていった。いまだに痛い左足を引きずりながら、初めて下山でママに追いつけなかった。
帰路、野尻町付近で「煙?」・・・気が付けばラジエターの温度計が振切っていた。とりあえず専門家に・・・と、加盟しているJAFに電話する。30分程度で来てくれたが、現場での修理は不可能!レッカー移動の上、預かりとなるそうだ。早めに気付いて良かったとの事、もう少し走り続けていたら、インタークーラーまでダメになっていたそうだ。預りならば、近くで同じ山岳会の仲間が修理工場をしているので電話すると、代車を積んで来てくれる事になった。娘達を迎えにも行けず、バスで帰るように言い、夕食も子供達だけでする様に伝える。たまには仕方ないが、私達夫婦にとっては与えてもらった素敵なデートの時間だったのかも知れない。野尻町「のじり湖ピア」の駐車場で、迎えを待つ間、売店で買った煎餅をかじりながらあれこれ話した。 すっかり暗くなってしまった道路・・・腹も減ったので、ついでに2人でラーメン屋さんに寄ってデートを締めくくった。
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