水流渓人「hot-news」

2005年4月19日 「西都市・銀鏡の烏帽子岳へ・リハビリ第四弾」宮崎県

 


 

 
 骨折から97日目にして、ようやく山頂を踏んだ。山に登れたのにリハビリ?・・・。標高差約500mを登るのだから、登山なのだろう・・・!でも、岩登りで痛めた足なのだから、やはり岩復帰することが本当の意味での完治なのだと思う。3ヶ月以上が過ぎ、周囲の仲間達からも復帰を促される。それ以上に重い焦りを感じている。実際、前日はママに比叡行きを誘ってみた。私の具合以上に、ママの体調が許さない事は判っているくせに、誘ってみた。でも、同意してもらえれば、何が何でも攀じる決意もあった。
 マッ・・・軽く「アホちゃうか!」と、窘められただけ(^o^;)で、朝からいつもの様に、洗濯物を干し始めたママである。
  

  
  
国道219号線を人吉方面へ、一ツ瀬ダムを過ぎ銀鏡トンネル手前を右折
  
 
  

 結局、「何するかなぁ・・・。」と考えながら、朝食を食べテレビを眺めていた。見た事のあるピンクの花が画面に映った。諸塚の六峰街道沿いからすぐの「二上山展望所」のアケボノツツジが見頃だと言う・・・。子供達が学校に行っている間の時間利用なので、今から行くにはなぁ〜と、ぼんやり考えていた。
 「烏帽子岳!」と思いつくと、とりあえず「弁当!」と連想する。そこらのオカズを詰め込むだけでも、コンビニ弁当より数段旨い・・・と、連想は続く。支度を整え9時30分にようやく自宅を出た。
 「私は寝かせてもらうわ!」と言っていたママも、ずっと助手席で喋っていた。「本当にきつい山とちゃうよね?」と何度も聞く。「すぐすぐ!」と答える私も、不安一杯の足の状態である。
 
【烏帽子岳】1126m
 所属の西都山岳会で、10数年に山開きを実施した。最近は、毎年秋に「市民ハイキング」のタイトルで、地元・銀鏡(しろみ)地区が主催しお手伝いをしている。銀鏡川を挟んで、龍房山・雪降山・オサレ山・空野山・・・、小川を挟み、天包山・石堂山・樋口山が一望できる。登山口付近は植林された杉林だが、尾根からは自然林が満喫できる。米良の山特有の急峻な勾配だが、その分高度が稼げて山頂が近い。山頂からの展望は素晴らしい。

  
林道途中から見上げる。 ホイ来た!登山口。
杉林はすぐ終る・・・一番辛い登り始め ここからが楽しい歩きになる
   
我が山岳会の古田氏命名「ししの平」
ここからの展望も格別で、銀鏡部落が見下ろせ山頂が仰げる。

 ほぼ中間地点(時間的)となる「ししの平」に出る。ひたすら体が馴染む程度に歩いて来た。ずいぶん遅いと思っていたが、標準的な40分で到着していた。あらゆる角度の状況で接地する左足・・・、痛い!でも我慢できる。岩に馴染めるようにとつま先を引っ掛けるように意識して歩を進めてる。
 「ししの平」からは、ますます傾斜がきつくなる。傾斜がキツイと言う事は、高度が上がり距離が無いという事。大腿筋・・・脹脛・・・、バンバン張ってくる。それが楽しくて嬉しいのだから・・・、そしていつもの事だが平日の誰もいない自然の中・・・。しかも青空。
 こんな足じゃ、岩登り・・・ママが言うように「アホ」かも知れない。落ち込んでいるより、今日を楽しまなくては・・・と気分を盛り上げようとしていたら、「アッ!ほら!あそこ!アケボノツツジが咲いてる!!」と、ママが見つけて叫んだ。

   
8合目付近の岩場に咲くアケボノツツジ 快晴の山頂で・・・
いつもの様に、ママより少し下がって写す(^^;)
   

曙躑躅(アケボノツツシ)は青空に映える。
 
山頂より西方側は伐採により視界が広がる
   
   
  山頂から龍房山方面 下山
  

 山頂まで1時間30分で歩いた。通常のタイムである。私は足が痛い・・・、そしてママは椎間板ヘルニアと自律神経失調症。いままでみたいに、山頂に立ち、素晴らしい展望を楽しんだ。数年前に比べると見える山の名前が判る・・・。私よりママの方がよく判る。アケボノツツジの咲く近くで弁当を広げた。最後に、ママがドラ焼きを出して食べた。
 
「なんやかんや言いながら、入院する事も無く・・・。こうやって来ているんやから、まぁ良し!とせなあかんなぁ・・・。」
そういうママの一言に、うなづいている私である。

  
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帰路、一ツ瀬ダムの資料館に寄ってみた。

 九州最大のアーチダム「一ツ瀬ダム」。資料館でビデオを見た。西都市に暮す私には、このダム建設に関わる多くの話を聞いている。それは、ばあちゃんや両親、または世間話の中であり、今でも時折耳にする話である。ダム湖底に沈んだ多くの家・・・、その保証金をもらった人達・・・。ダム建設による地元の賑わい・・・、関わった人々。下流域の川。思い出しながら、武勇伝にも聞こえる電力会社の作ったビデオを見た。その中に力強さは感じられなかった。悲哀に満ちた、ある人達が浮かんで消えた。それは、今までに無い大金を握った事で、全てを無くしてしまった人。あるいは、景気に便乗した事で商売の因果に巻き込まれ人生を埋めた人。具体的に顔が浮かんで消えた。少なからず亡き親父もこの因果に巻き込まれた男の一人であるのかも知れない。

  
 

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